2007-08-26

多様性の指向とオス・メス分化

ヒトも含めて高等動物では、性は子孫を作る為の唯一の手段であって、性と生殖を切り離して考える事はできません。

しかし、本来、性は生物の増殖にとって必ずしも必要なものではありません。例えば、植物には地下茎やむかごなどで、無性的に増殖できるものが多く存在しています。
動物界でも、多細胞のヒドラは出芽によって子孫を作り、イソギンチャクや海産の蠕形動物は2つに分裂する事で増殖していきます。ミツバチやアリマキなどでは、オス無しの単為生殖が見られます。

また、単細胞生物では多くの場合、性と生殖は完全に分離しており、バクテリアは普通、無性的に分裂を繰り返す事で急速に増殖します。
このように一部の生物では、オスとメスが存在しなくても充分に生殖が可能なのです。

では、なぜオス・メス分化(性)が必要になってきたのでしょうか?

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■無性生殖と有性生殖
無性生殖 …親が単独である生殖(親子の遺伝子は同じ)
⇔環境の変化への適応性は小さい。
 生殖にかけるエネルギーは小
→数多くの子孫をつくる(数の戦略)
有性生殖 …親が二個体である生殖(親子の遺伝子は異なる)
⇔環境の変化に適応できる子孫の可能性がある。
 生殖にかけるエネルギーは大
→確実に育つ少数の子孫をつくる(質の戦略)

■生殖のしかた
配偶子をつくらない・二つに分裂…分裂・発芽
・多数に分裂…胞子
配偶子をつくる・同形配偶子…接合*
・異形配偶子…受精*(例外として単為生殖)
栄養性地下茎や根などの栄養器官が
分離して新しい個体をつくる
…さし木、株分けなど
*は有性生殖、他は無性生殖




子孫を殖やす、つまり増殖という点に関しては、こうした性を介さない無性生殖の方が、有性生殖に比べて格段に効率的です。
例えば、分裂によって殖える大腸菌は条件さえ良ければ20分に1回の割合で分裂し、その結果、1個の大腸菌が9時間で1億個体にまで増殖します。

しかし、考えて見れば無性生殖が旺盛な繁殖力を持つのは当然で、反対に、我々に身近な有性生殖の方があまりに手間ヒマを掛け過ぎているのです。
有性生殖をする為には、卵子と精子を受精させなければなりません。
例えば、被子植物では、受粉を助けてくれる昆虫を引き寄せる為に花や密を作り、裸子植物では風に飛ばす大量の花粉が必要となります。有性生殖は、大変な手間とコストの掛かる生殖方法なのです。
単に増殖だけが目的ならば、性は不必要というよりもむしろ邪魔な存在と言えるのではないでしょうか。

しかし、大多数の植物や動物は有性生殖で増殖しており、また多くの原核生物や通常は無性的に増殖する生物でも、特定の時期には有性生殖を行っています。
ではどこに、これほどまでに手間とコストを掛けて、非効率な有性生殖をするメリットがあるのか。どこに性の存在理由があるのでしょうか。

無性生殖で生まれる子は総て、親と全く同じ遺伝情報を持っています。1匹の大腸菌は、分裂を繰り返して急激に個体数を増やしコロニーを形成しますが、そこにひしめく大量の大腸菌は、突然変異を起こしたものを除くと総て遺伝的には全く同じコピーに過ぎません。

ところが有性生殖では、生まれて来る子は総て異なった遺伝情報を持っています。つまり、有性生殖の目的は、遺伝子の組換えによって遺伝的に異なる個体を生み出す事にあると考えられます。つまり、性とは、特定の相手と「細胞接着を介して遺伝的組換えを行うためのしくみ」と言う事がでます。そして、遺伝的多様性を生み出す事がその最大の目的なのです。

生物が多様性を拡大しようとする性向は、環境の変化に適応しようとする生物の生命原理であると言え、環境変化への適応態として有性生殖、つまり、オス・メス分化へと進化と思われます。




参考サイト;第3章 生態系の変動と進化
生殖


長文にお付き合い頂きありがとうございました m(_ _)m
by 村田頼哉

List    投稿者 yoriya | 2007-08-26 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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