2007-07-02

自分と同じものを作る仕組み~生殖~

こんにちは 😀
中学生以来の生物の勉強に頭がオーバーヒート 気味のしみっちょです。
今回は「生物」の最も大きな特徴の一つである「生殖」についてのエントリーです。
■「生殖」ってなんだ?
 現在、地球上には1,000万種類を超える生物種が存在すると考えられています。
これらの種は自分と同じ種の新たな個体を生み出し、世代を継続してきました。
このように個体のゲノムを複製しながら、新たな個体を生み出すことを「生殖」といいます。
その仕組みは無性生殖と有性生殖に分けられます。
というのが教科書的な記述なのですが・・・、なんだか分ったような、分らないような???
というわけで、気分転換にポチッしてから次に進みましょう! 😉
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というわけで「性のお話をしましょう」の著者である生物学者 団まりなさんのお言葉を拝借して、もう少し平たい言葉で理解してみましょう。

例えば、一番原始的な生物であるバクテリア(細菌類)が自分の体をぶちっと二つに割ること、これを生物学の世界では生殖と言います。
細菌類の体は仕組みが単純ですから、生きていくために必要なタンパク質を作る情報、つまり「DNA」さえきちんと分かれていれば、こうして適当に分かれても、活動のためのシステムに矛盾が生じることがありません。例えて言うなら、あんこ餅をふたつに引き千切ったようなもの。両方にお餅もあんこも付いてくるでしょ?これが単細胞が自分と同じものを作る仕組み、つまり生殖の基本です。

リンク
ふーむ 🙂 、生殖というと「性」ありきでイメージしてましたが「自分と同じものを作る仕組み」と理解したらいいのですね。
それでは無性生殖と有性生殖の違いは何なのでしょうか?
■無性生殖の特徴■
・個体が分裂などによって等価な複数の個体を生み出す。
・1個で生殖可能なため効率がよい。
・遺伝子レベルでの変化はないので、環境変化に弱い。
■有性生殖の特徴■
・からだの一部に生殖細胞(配偶子)ができ、2つの配偶子の合体によってできた細胞から新個体ができる生殖法。
・配偶子どうしの出会いと合体が必要なため効率が悪い
・新個体は両親の配偶子の組み合わせにより遺伝情報が親とは異なる、多様な形質をもった個体となるので環境変化に適応できるものが存在する可能性が高い
無性生殖が遺伝子レベルの変化がないのに対して、有性生殖は遺伝子の多様性をもたらしていることがポイントですね。 😉
今日は入口として「性」がある前の「無性生殖」にはどんな種類があるのでしょうか?
① 分裂(二分裂)
→母体がほぼ同大の2つに分裂する/多分裂:母体が同大の数個に分裂する
 (大腸菌、ゾウリムシ、ミドリムシ、ミカヅキモ、アメーバ)
図はゾウリムシの分裂
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② 出芽 
→ 芽のようなふくらみが独立し、新個体になる
(パン酵母、ヒドラ)
図はヒドラの出芽
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③ 栄養生殖
→ 根・茎・葉などの栄養器官から新個体を永形成する。挿し木や接ぎ木も栄養生殖の一種。
(ユキノシタ、オニユリ、ジャガイモ)
図はオランダイチゴの栄養生殖
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④ 胞子生殖
→ 母体の一部から多数の胞子(べん毛をもち水中を泳ぐものを遊走子という)を放出して増える方法を胞子生殖という。胞子生殖には、アオカビ・ミズカビなどのように、体細胞分裂によって生じる胞子(栄養胞子)で増えるものと、コケ植物、シダ植物などのように減数分裂によって生じる胞子(真正胞子)で増えるものがある。
真正胞子から生じる子は親の半分の遺伝子しか受け継がないため、親とは遺伝的に同一ではない。
(真正胞子による胞子生殖の核相は、2n→n/n。上記理由から無性生殖に分類しない場合もある)
図はベニシダの胞子生殖 
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①~④の図版は「生命の連続性」よりお借りしました。
ところで、①の例でも挙げたゾウリムシ。
環境が悪化すると分裂以外の戦略をとるようです。
詳しくは別のエントリーで紹介しますので楽しみにしててください。
参考文献:「生命科学」東京大学教養部理工系生命科学教科書編集委員会編

List    投稿者 shimicho | 2007-07-02 | Posted in 未分類 | 3 Comments » 

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コメント3件

 素人です | 2007.08.01 19:00

種の保存則というのはなんですか? 教えてください。

 私も素人 | 2007.08.08 15:13

私も素人ですが・・・素人だからわかることもあるというものです。実は「種の保存」という概念はプロの世界では抹殺されようとしています。特にドーキンズ一派は全てを個体さらには遺伝子へと還元してしまうことで「種」という概念すら消し去ろうとしています。しかし、グルードら古生物学の研究者からは「種」を抜きにして生物を考えることは出来ないとの反論もあります。また複雑系理論では階層的秩序という概念を使いますが、個体レベルに還元しきれない種レベルの現象というのもたくさんあります。従って、「種」という概念はやはり捨て去るべきではないと考えます。もっといえば、分裂を繰り返す初期生物にとって、個体と群または種を対立的に理解することの方が難があります。
「種の否定」の背後には個人主義思想があることは明白ですが、科学がそのような思想的制約を受けている状況は極めて憂うべきだと考えます。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=5313&pgh=0
他方で、「結合と変異」あるいは「保存と仕事」は生物の2大原理ですから、「種の保存」はかなり根源的な生命原理といえると思います。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=158453
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=158452

 yama3 | 2007.08.18 16:39

私も素人ですが・・・素人だからわかることもあるというものです。実は「種の保存」という概念はプロの世界では抹殺されようとしています。特にドーキンズ一派は全てを個体さらには遺伝子へと還元してしまうことで「種」という概念すら消し去ろうとしています。しかし、グルードら古生物学の研究者からは「種」を抜きにして生物を考えることは出来ないとの反論もあります。また複雑系理論では階層的秩序という概念を使いますが、個体レベルに還元しきれない群、種レベルの現象というのもたくさんあります。従って、「種」という概念はやはり捨て去るべきではないと考えます。もっといえば、分裂を繰り返す初期生物にとって、個体と群または種を対立的に理解することの方が難があります。
「種の否定」の背後には個人主義思想があることは明白ですが、科学がそのような思想的制約を受けている状況は極めて憂うべきだと考えます。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=5313&pgh=0
他方で、「結合と変異」あるいは「保存と仕事」は生物の2大原理ですから、「種の保存」はかなり根源的な生命原理といえると思います。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=158453
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=158452
それから、階層的進化については、tsutiyamaさんの8月10日の記事を参照下さい。

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