ゾウリムシの不思議
※『ゾウリムシ』図版引用元:水中微小生物図鑑
今日は、有性生殖へのあゆみのなかで、変わり者の生物ゾウリムシについてです
ゾウリムシはその名のとおり、草履のような形をした原生生物(真核単細胞生物)です。
ゾウリムシは、基本的には細胞分裂=無性生殖によってどんどん増え、遺伝的に全く同じ個体のクローン集団を作ります。しかしある程度分裂をくり返すと、それ以上分裂できなくなり、すべての細胞が死滅してしまうそうです。
(分裂回数は種類にもよるが、約700回程度が限界といわれている)
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こうした限界を超えるために、ゾウリムシは接合(有性生殖)を行います。これにより、(限りのある)分裂回数をリセットし、若返るのだそうです。
(この接合は、細胞がある程度の分裂をくり返していなければ(≒性的に成熟していなければ)行う事が出来ません。この成熟には、約50回以上の細胞分裂が必要であるといわれています)
そして、接合の後、また分裂によって増えていく。
接合の目的は、異なる遺伝子を混ぜ合わせることです。
ゾウリムシは、遺伝情報を子孫に伝えるための「小核」と、日々の生活を営むための「大核」をもっています。私達の身体が、体細胞と生殖細胞といった二種類の細胞に区別して行っていることを、ゾウリムシは、一つの細胞の中で行っていると言えます。
接合の過程では、小核が減数分裂し、核の交換を行います。
図式化すると、こんな感じです(下図)。
※図版引用元:『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』数研出版編集部, 鈴木孝仁監修、数研出版(2007/02)
より詳しくは、コチラのサイトがおすすめです。
→水中微小生物図鑑 ゾウリムシの接合
→Cell Biology Lab ゾウリムシの有性生殖
ゾウリムシの「接合」は、異なる遺伝子をもつクローン集団の間で行われます。
雄(♂)と雌(♀)といった2種類の間で起こるのではなく、そこには「接合型」と呼ばれる何種類もの性別(のようなもの)が存在しているそうです。
盛んに細胞分裂を繰り返して、かつエサを食べ尽くした状態になった状況下で、相補的な接合型のゾウリムシを混ぜると、こんな感じで接合が行われるようです。わらわらーっと集まって(中央)、ペアになって接合(右端)という具合です。
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※図版引用元:ゾウリムシの接合誘導
「性の起源」を考える上で、大変興味深い生き物といえそうです。
★こちらの記事もあわせてご覧ください
雄雌の存在について① 進化過程での性と雄雌の登場
雄は闘争存在=変異存在 ②外圧適応が生殖の原点、雄はその圧力を前でうける存在
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