2007-07-01

二倍体の登場

生物は一倍体から二倍体へ進化しました。
二倍体への進化は、無性生殖から有性生殖への進化に深く関係しています。
今日は、二倍体の登場について考えてみます。
chlamy.jpg
<一倍体細胞の例:クラミドモナス>
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一倍体というのは、ゲノム(遺伝情報)を1セットもっている生物。
二倍体というのは、それを2セット持っている生物。
ゲノム1セットに相当する染色体数を nで表す。一倍体はn、二倍体は2nとなる。
一倍体の細胞をハプロイド細胞、二倍体の細胞をディプロイド細胞と呼ぶこともある。

例えば、細菌(バクテリア)やファージ(ウィルス)などは一倍体。
>大腸菌のような一倍体細胞生物は,1個の細胞が1つの個体を形成します。増殖のシステムは無性生殖と呼ばれ,個体のなかにある1組の遺伝子が2倍になり,分裂・増殖していきます。もちろん,不慮の事故によるネクローシス(壊死)で死ぬ個体もありますが,この無性生殖では無限に増殖できることから,基本的に一倍体細胞生物に“死”は存在しないと言えます。
リンク

例えば、ゾウリムシ、動物などは二倍体。
※一倍体と二倍体の中間にあると思われるのが酵母(単細胞性の菌類)。生活環と呼ばれる一倍体と二倍体の周期がある。
※植物には様々な倍数体がある。
>二倍体細胞生物は,大きく2種類の細胞から構成されています。ひとつは生物の体をつくっている「体細胞」,もうひとつは遺伝子を子孫に伝えていく「生殖細胞」です。(中略)いずれの体細胞も永遠に生き続けることはできず,ある時期になると死に至ります。
>生殖細胞は減数分裂によって,精子や卵子といった一倍体細胞になります。それぞれ別の個体に由来する配偶子が合体して受精卵になり,新たな個体をつくる。この増殖のシステムを有性生殖と言います。
リンク

>ジョーンズというアメリカ人の研究者がクラミドモナス(注:タイトルの写真参照)という単細胞の藻類を培養し、頃合いを見はからって培養液からチッソだけを抜き取ってみたのです。すると、すべての細胞が相手を探して合体(接合)してしまったのです。外部環境からチッソがなくなるということは、細胞が生きていくのに欠くことのできないタンパク質が細胞の中でつくれないことを意味し、それはただちに死を意味します。クラミドモナスは、死の脅威に対して、合体という方法で立ち向かったのです。ところで、ハプロイド細胞が合体(=接合)する、これこそ有性生殖です。チッソ飢餓がタンパク質をできなくし、結果的に有性生殖のきっかけとなることを、この実験はみごとに示しています。
(団まりなさんのインタビューより。リンク

死という脅威に対して、ハプロイド細胞(一倍体)が「合体」して立ち向かったという実験事実は、一倍体から二倍体への進化が、なんらかの逆境を乗り越えるためであったことを示唆しています。「合体」という現象が、ディプロイド細胞(二倍体)に繋がったかどうかは検証が必要なのでしょうが、二倍体が同じゲノムのセットであることを考えると、その可能性は高いと思われます。

有性生殖というのは、一倍体(生殖細胞)の受精(合体)によって二倍体(体細胞)になるというシステムです。有性生殖を行う生物は基本的に二倍体です。二倍体生物の登場が、その後の有性生殖のきっかけとなった可能性は高いのではないでしょうか。
(続く)

List    投稿者 fkmild | 2007-07-01 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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