2007-03-12

授乳が排卵抑制するメカニズム解明 ~最近のニュースから~

こんにちは 。清水です。
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(この画像はこちらのサイトからお借りしました)
母乳をあげてる期間は月経が再開しない
という話をどこかで聞いて(読んで?)、♂の僕としては体のメカニズムに非常に感心した覚えがあるのですが、それに関連するニュースを見つけました。
「授乳が排卵抑制するメカニズム解明」名大グループ、ラットで実証(3/9 中日新聞より)
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乳児が母親の乳首を吸うことが刺激となって母親の脳に作用し、生殖機能を抑制するというメカニズムを、名古屋大生命農学研究科の束村博子助教授(47)と山田俊児大学院生(28)らのグループが解明した。米国・内分泌学会誌「エンドクリノロジー」(電子版)に論文が掲載された。
 束村助教授らは、子育て中の母親ラットについて、授乳をさせたものと、赤ちゃんラットと引き離したも
のとで、脳内を比較検討。その結果、授乳しているラットの方が「メタスチン」と呼ばれる神経伝達物質の量が少なく、乳首を吸われるという刺激によって「メタスチン」の合成が抑えられることが分かった。
 メタスチンは、2001年に日本の研究者の手によって、がん転移を抑える物質として発見された。その
後の束村助教授らの研究や欧米の研究で、メタスチンが少ないと排卵しにくいことなどが分かり、哺乳(ほにゅう)類の生殖を制御する最も重要な神経伝達物質と考えられるようになっている。
 今回の研究結果は、不妊治療や家畜の繁殖力を増やす薬への応用が期待されるという。束村助教授は「授乳中の母親の生殖機能が抑制されるのは、次の子供を妊娠しないための摂理と思われるが、その脳内メカニズムは不明な点が多かった。今回の研究で、その中核部分を解明できた」と話す。

哺乳類は雌雄分化のベクトル上で、雌の生殖負担を大きくすることで適応してきました。
進化の過程で、そのメカニズムをちゃんと脳回路に具えてきたんですね。
ちなみにヒトのホルモン分泌の観点からは以下のようにメカニズムが解明されています。(参考サイト

■乳汁分泌
オキシトシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。このホルモンの役割は正確にはわかっていませんが、陣痛の開始に関係し、その後子宮を妊娠前の大きさへと収縮させます。また、授乳中の乳房からの母乳の分泌を引き起こす上で重要な役割を果たします。
プロラクチンは、下垂体前葉から放出されます。このホルモンは、他の腺を刺激することなく標的組織に直接作用すると考えられ、性腺刺激ホルモンと同様に生殖のコントロールに深く関わっています。女性ではプロラクチンは、乳房を刺激して母乳を産生させます。大量のプロラクチンは、排卵と月経周期に対して抑制的に働きます。
分娩後のオキシトシンおよびプロラクチンの分泌は、新生児による乳房の吸飲作用に刺激されます。出産直後、新生児が最初に母乳を吸い始めると初乳と呼ばれる濃厚な母乳が分泌されます。初乳には、特に蛋白質が豊富で、新生児を感染から予防するための免疫すなわち移行抗体を含んでいます。産後2~3日目までは通常の母乳は分泌されません。新生児による乳房の吸飲が母乳の産生を刺激し、乳房での母乳産生は要求に見合うように調整されます。すなわち、成長に伴って母乳要求量が増えるに従い、母乳産生量も徐々に増えていきます。

ちなみに、ヒトの分娩間隔って4年なんだそうです。
「えっ? 十月十日じゃないの?」
という声も聞こえそうですが・・・
それは妊娠期間で・・・、それを引いた3年強がヒトの哺乳期間に当るんだそうです。
(参考:「 哺乳類の生殖戦略-ヒトの視点から俯瞰する- 」
授乳をする→排卵抑制→次の生殖期間への移行を留める→子育て期間(生殖課題)に集中する
むやみに多産にするのではなく、哺乳により十分な安心感を与えることを体にセットしていったんでしょうね。
この構造を知っていると「三つ子の魂百まで」の意味が深いものに感じられますね。
こうして読むと授乳に関わる話って奥が深い! 😉
↓↓こちらも参考にしてみてください。
「哺乳中は排卵しない。なのに年子がいるのは何で?」(fromるいネット)
母子を通じて受け継がれる免疫環境

List    投稿者 shimicho | 2007-03-12 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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