微笑みの起源を探ると…
真猿は顔の表情筋が発達しており、威嚇・劣位・笑いなど、少なくとも、10種類の表情があることが分かっているそうです。(サイトによれば30種というところもあるくらい)
ところで、私は表情の中でもやはり笑顔が一番ステキ!と思うのですが、笑顔が作れるのは、霊長類の中でもボノボなど一部のサルとヒトだけなのだとか。
ボノボは、仲間とのコミュニケーションのため、楽しい時うれしい時に「歯を見せる」ようです。ヒトもにっこりと白い歯を見せると、笑いや友好の表情になるで、同じですね。
普通の動物は、歯をむき出しにすると犬歯が現れてどちらかと言えば威嚇を表しますが、ボノボの犬歯は小さく、威圧感がないためにヒトと同じように友好を表すことができるようです。
では、他の真猿に全く笑顔がないのかな?それを調べてみました。
ニホンザルは、「グリマス」と呼ばれる唇とその両端を引き、歯をむきだしにする特異な表情をするそうです。これは「微笑みの起源」と言われているようですが、どんな時にこの表情になるの?
「ニホンザルのグリマス表出がもつ意図と効果について」という実験があったので、簡単にまとめてみます。
ヒトも、困った時に愛想笑いをしたり、笑みを浮かべながら「助けて~」と目でサインを送ったりしますよね。微笑みの起源というよりは、「迎合」「愛想笑い」の起源といった方がいいかもしれません。
しかし、グリマスのすごいところは、表情を作ることによって相手への働きかけをしているところにあるのだと思います。
恐怖・怯え・驚きの表情は猿によく見られるそうですし、温泉に浸かった猿なんかはゆったりした表情(安堵かな?リラックスかな?)をよくしていますが、これらの表情は、相手に向けて発せられたものというよりは、自分の感情が表出したものです。やはり相手に対して微笑みかけるというのは一段高度な表情なんでしょうね~。
相手の表情によって順位を付けたり、強い物に従属したりと、表情があるおかげで、集団の中で互いの関係を明確に意識しながら共同生活することができます。表情があるということは、固体でただ生きているのではなく、複数の仲間とともにどう共に生きるのかという課題を、常に担っているということなんですね。
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