夜への進出~「聴覚」と「大脳新皮質」の進化~
哺乳類の祖先の誕生は、今からおよそ2億年以上前(中生代の三畳紀末期)にさかのぼります。
原始哺乳類が生き抜いた中生代(三畳紀~白亜紀)は、1億5000万年以上にわたって、恐竜 (大型爬虫類)がこの地球上の制覇種として君臨していた時代だったのですね。
つまり、哺乳類の進化は、恐竜の進化と表裏一体で進んできたわけです。
ここで原始哺乳類のとった適応戦略は・・・
恐竜たちが徘徊する昼間は身を潜め 、彼らが活動しない夜中を行動の場とする!でした。
そして、哺乳類は身体は小型(およそ10~15cm前後)のまま、夜の世界で順応するために様々な進化を遂げます。
そのひとつが聴覚の進化です。
哺乳類は顎の一部を変化させ、3つの耳骨を持つようになり、鼓膜の振動をより増幅できるようになりました。また、内耳の蝸牛を収めるスペースも拡大させました。
このことにより、哺乳類は広い音域を捉えることが可能になったのですね。
哺乳類は昆虫が発する高周波の音を頼りに、暗闇の中で虫を捕らえていたと推測されます。
さらに、決定的な変化は、大脳新皮質の肥大化!
脳内には視覚、触覚といった感覚機能ごとに、神経核という神経細胞の集合体があります。
哺乳類以外の脳は、主要に情報が神経核で処理され、より上位の統合は少ないのです。
一方、哺乳類は、情報は神経核を通過するだけで、情報は上位の大脳皮質で処理されます。
(大脳新皮質は、我々が「走りながらボールを捕る」といった一連の動作を司る部位だそうです。)
夜の闇で、視覚が使えない代わり、外界を的確に把握するためには、聴覚、嗅覚、触覚といった感覚を統合させる必要がありました。
このことが脳の肥大化を助長したようなのです。
次回は哺乳類の「性闘争本能」に迫ります!
(シミズ)
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