免疫って何(2)~免疫の概要~
なんでや劇場資料35より
進化とは変異の塗り重ね。
また、免疫機能は変異のメカニズムが非常に多様。
免疫を調べることで、進化過程で塗り重ねてきた普遍的な仕組みが解明できるのではないか、という目論みで免疫シリーズを始めたわけですが、今日はまず免疫細胞の概要を記事にしたいと思います。
さて『免疫って何?』をひと言でいうと、ウィルスや細菌から身をまもる防御機能といえます。
どのように防御するか?
その仕組みは大別すると以下の2つになります。
Ⅰ 上皮障壁による防御
一つ目は皮膚や粘膜によって、ばい菌等の異物を体内に侵入させない方法です。皮膚による物理的な遮断もありますし、くしゃみや涙による異物の排除もあります。厳密に言えば下記に示す免疫細胞の働きも関与していて、花粉症のくしゃみは後々出てくる抗原抗体反応(免疫グロブリンE)の一つでもあります。今回は話がややこしくなるので一旦棚上げしますが、その仕組みはこのシリーズで扱います。
要は外で防御し、体内にばい菌を入れない方法ですね。
Ⅱ 免疫細胞による防御
二つ目は体内に進入したばい菌等の異物から身を守る方法で、これが免疫細胞です。どうやって免疫細胞は守っているか。その方法をさらに大別すると以下の2つになります。
Ⅱ-1 食べて殺す免疫=血球系
いたってシンプル。ばい菌等の異物やウィルス等に犯された細胞を食べて分解する方法で、顆粒球、単球と言われる免疫細胞がそれに該当します。
顆粒球の代表は好中球で、体内に異物が侵入するとまず真っ先に駆けつけて食べ、食べた後は自爆します。この自爆した跡が膿なんですね。
単球の代表はマクロファージで、ばい菌や感染細胞だけでなく、ホコリも死骸も何でも食べてしまう大食い細胞です。
でもさすがにあまり大きすぎるものは食べれないようですね・・。
女性の天敵であるシミもレーザーで分解するとなくなりますが、レーザーでマクロファージが食べられる大きさに分解しているのですね。
今後のテーマとして・・
マクロファージってどうやって食べてるの?
正常な細胞は食べないの?
そもそも食べるってどういう事?
どの生物にもマクロファージっているの?
などを扱います。
Ⅱ-2 異常細胞をアポトーシス(自殺)させる免疫=リンパ球系
もう一つの免疫細胞は大きくいえば、最終的には異常細胞を自殺(アポトーシス)させる免疫です。ウィルスに感染した細胞や、突然変異等によってガン化した細胞を、強制的に自殺させる免疫細胞でリンパ球系の免疫細胞といわれています。
さらこのリンパ球系の免疫細胞を分類すると2つに分けられます。
Ⅱ-2-① 単独行動で異常細胞を自殺させるNK細胞
近年ガン治療で脚光を浴びていますが、独自行動でガン細胞に捕りつきガン細胞を自殺させる免疫細胞で、ナチュラルキラー細胞の頭文字をとってNK細胞と言われています。ガン細胞を壊すという意味では当然欠かせない存在ですが、常に体内をパトロールし異常細胞を発見すれば強制自殺を促すという何とも危険な奴でもあります。
今後のテーマとして・・
どうやって自殺させているの?何でまた自殺なの?
NK細胞ってどうやって正常と異常を見分けているの?
NK細胞って他の生物にもいるの?
何でNK細胞ってできたの?
などを今後扱っていきます。
そしてもう一つのリンパ球系の免疫細胞が
Ⅱ-2-② 複数の免疫細胞の連携プレーで自殺させるT細胞、B細胞
独自行動をするNK細胞と違って連係プレーで守る免疫細胞で、最終的には、NK細胞同様に自殺を促すか、マクロファージに食べてもらうことで処理しています。
この免疫細胞の守備範囲は広いのですが、主要に対応しているのはウィルスです。色んな型のインフルエンザがあるように、ウィルス(特にRNAウィルス)というのは変異性が非常に高い。あるウィルスに対抗できる抗体やワクチンが生まれても、すぐに違ったウィルスに変異してしまうので、常にこちらも変異する必要性がでてきます。B細胞はこの変異性に対応した免疫という点も一つの特徴です。
今後のテーマとして・・
どうやって連携して守っているの?
どうやってウィルス変異に対応しているの?
T細胞、B細胞って何で生まれたの?どの生物からいるの?
などを今後扱っていきます。
さらに細かく分類できますが、どんどんマニアックになるので、今回はここまで。次回は、各々の免疫細胞がどの生物の時代に誕生したのかを記事にしたいと思います 😀
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