2013-05-09

醗酵食品 その素晴らしい健康効果② ~究極の醗酵食品 みそ~

みなさんこんにちは 😀
5月5日の記事で醗酵食品の歴史とその素晴らしさを紹介しました。
このように優れた特性を持つ発酵食品の中でも、究極と言える―品があります。
それは、日本人なら誰もが知っている「みそ」です。
本日は「みそ」の素晴らしさを紹介したいと思います。
%E5%BE%A1%E5%91%B3%E5%99%8C%E6%B1%81.jpg

 にほんブログ村 科学ブログへ

 みその歴史

みその歴史は古く、弥生時代にはその原形が既にあったと言われており、奈良時代ごろに現在のみそに近い形態となったと考えられています。当時の文献に「未醤」と言う食品の記録があり、鎌倉時代の徒然草にも登場します。
「醤」(ひしお)とは、食品を麹と食塩で発酵させた調味料や食品を意味します(中華料理の豆板醤やX0醤も同じ意味で使われています。)が、“未”醤とは、醤になりきっていないもの=豆の粒が残っている醤と言う意味で使われていました。
現在のみそでも地方によって完全にペースト状ではなく、粒が残ったものが見られますが、昔のみそは全て「未醤」状態で、調味料と言うよりは、つまんで食べるおかず的な保存食であったようです。
kinzanji-title.jpg
現在に残る「つまんで食べる味噌」の一つ、和歌山県の金山寺味噌
醤油もこの金山寺味噌から生まれたと言われます。
和歌山観光情報より頂きました。
この未醤が現在のように調味料として使われはじめ、形態もペースト状となったのは、江戸時代になってからで、各地の風土気候を反映して、全国で多様なみそが作られるようになります。(東北~中京地域の赤みそ、関西圏の白みそなど)
sanomiso_ms-34.jpgsanomiso_mt-13.jpg
「赤みそ」と「白みそ」
佐野みそさんから頂きました。
みそは保存性と栄養価に優れることから、戦国時代には陣中食として重宝され、その健康増進効果から、江戸時代には「医者殺し」と言われていたそうです。
このように歴史が古く、昔からそ特性が重宝されてきたみそですが、最近の研究で更に驚くべき健康効果かあることが、明らかになってきました。

 放射能被爆を軽減するみそ

2011年11月4日 中国新聞より引用

福島第1原発事故以降、放射線被曝(ひばく)と日本の伝統食「みそ」の関係に注目が集まっている。「みそが被曝の影響を軽減するのではないか」との 期待は広島、長崎の被爆者の体験談に端を発する。
長年、マウスの実験で放射線とみその関係を研究する広島大名誉教授の渡辺敦光さん(71)に研究成果を聞いた。渡辺さんが参考にしたのは、長崎の医師秋月辰一郎さん(2005年、89歳で死去)の実践だ。自らも被爆しながら負傷者の救護活動に当たった秋月さんは、毎日ワカメのみそ汁や玄米おにぎりを患者や看護師らに食べさせた。秋月さんは後に、著書「体質と食物」にこう書いている。「その時、私と一緒に患者の救助や治療に当たった病院の従業員にいわゆる原爆症が出ないのは、その原因の一つは『わかめのみそ汁』であったと私は確信している」。
渡辺さんらの研究グループは、1990年からマウスによる実験を繰り返し、みその放射線被曝に対する効果を確認した。みそ、しょうゆ、食塩をそれぞれ混ぜた餌を、1週間与え、6~12グレイのエックス線を照射。3日後、細胞増殖が盛んで放射線の影響を受けやすい小腸を調べると、みその餌を与えたマウスは他と比較して、より多くの小腸組織が再生されていることが分かった。みその発酵具合では、熟成期間の長いみそほど再生が速かった。渡辺さんは「熟成の段階で生まれる茶色い物質メラノイジンに、放射線防御効果があるのではないか」と推察する。

 がんを抑制するみそ

日本食糧新聞社記事より引用

このほど都内のホテルで開かれたマスコミセミナー(みそ健康づくり委員会主催)で、広島大学原爆放射能医学研究所の渡邊敦光教授が「味噌の熟成度と大腸がん」と題して講演。ラットによる実験で大腸の前がん病変(ACF)の抑制を確認し、現在は味噌の熟成度による「胃がん発生率の差」を検証中で「来年3月には終えたい」としている。
味噌のがん抑制効果についてはこれまでにも肝がん(95年)、乳がん(98年)、胃がん(97、99年)などが発表されており、今回、初めて大腸がんでの効果が明らかになった。
渡邊教授によると、味噌を5%、10%、20%混ぜた3種のエサと、純食塩や粗塩を混ぜたエサをラットに与え、発がん物質を投与し大腸がんの前がん状態(ACF)を調査した。味噌の濃度が高いエサほど抑制効果が高く、味噌20%の群では普通のエサ群の半分にまで抑えられた。また、純食塩のエサ群は抑制効果はなかったが、粗塩(4.4%)の群では「味噌20%に匹敵する効果」があったと、ミネラルが抑制効果の一因と推定している。ただ、海水塩に含まれる硝酸塩は、口中の雑菌や食べ合わせ(魚の干物など)で「胃の中にニトロソアミン(発がん物質)を生成」する。腸によければ胃に悪いと、同時に予防するのは一般的に難しい。ところが味噌の場合は、同教授らの過去の実験で「塩分濃度に関係なく胃がん発生を抑える」ことを証明済みで、「大腸と胃の両がんのリスクを抑える理想の食品」と結論づけている。

山陰中央新報社 台所でできるがん予防 鳥取大学医学部教授 井藤久雄著より引用

みそ汁を飲む人に胃がんが少ない。1981年、当時の国立がんセンター研究所、平山雄疫学部長が二十六万人もの食生活を十七年間追跡調査し、結果を発表しました。みそ汁を毎日飲む人の胃がん死亡率は、ほとんど飲まない人の約50%だったのです。
この研究にはいろいろな見方ができます。まず、みそに含まれているある成分が胃がんの発生を抑える可能性です。第二として、みそ汁を飲む食事は和食であり、しかも、具に使った野菜を食べるので栄養のバランスが良く、がんになりにくいとも考えられます。
みその有効性については科学的に解析する必要があります。それに取り組んでいる研究者が広島大学原爆放射能医学研究所の伊藤明弘教授と渡辺敦光助教授の グループ。
まず、動物実験。ネズミに放射線を照射して肝がんをつくります。みそを10%含んだ飼料と含まない飼料を与えた群を比較すると、みそを食べた群では肝が んの発生率が三分の一に減少しました。発がん物質を投与する胃がんの実験でも、みそは抑制効果を示しました。みそ自体に発がん抑制効果がある、と結論して よさそうです。
一口にみそと言っても、含まれる有効成分は多種、多彩。みそは大豆を発酵(細菌が炭水化物を分解する現象)させた食品で、その過程ではいろいろなタンパクや酵素が産生されます。伊藤教授はみその有効成分を約千種類程度と推定しています。  
伊藤教授はレモンなどの植物にも含まれている高分子化合物のフラボノイドに注目しました。フラボノイドの一種であるバイオカイニンAという物質をネズミに投与すると、肝がんの発生率が低下しました。
共同研究者の柳原五吉博士は、バイオカイニンAやゲニステインといったフラボノイドを試験管内で培養されている胃がん細胞に投与してみました。興味ある ことに胃がんの中でも極めて悪性度の高いスキルス胃がん細胞だけが死んでしまったのです。タレントの逸見政孝さんを死に追いやった胃がんです。
研究は始まったばかりですが、さしあたって、みそのがん抑制効果は科学的に証明されました。みそのある種の成分が有効であり、加えて、みそ汁を飲む食習慣がいいようです。

放射能被爆の抑制にがんの抑制
もちろん、みそを過信して、みそを飲んでいればよいと言う訳ではありませんが、その効果には驚かされます。
世界で日本にだけ存在する驚きの発酵食品「みそ」。
そこには、日本人の発酵食品に対する深い智慧が活きています。
その素晴らしさをもっと知り、食と健康について見直して行くべきと感じます。
かつてみそは各家庭で作られていました。
私の家でも子供の時に祖母が仕込んでおり、独特の臭いが家に広がっていたこととその素朴で深い味を思い出して、懐かしくなりました。
残念ながらスーパーで売られているみそは添加物が加えられ、販売の関係上、発酵が抑制されている為に「生きた」みそとはなっていません。
みその素晴らしい特性を生かす為に、手造りみそに取り組んでみてはいかがでしょうか 😀

List    投稿者 crz2316 | 2013-05-09 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2013/05/1387.html/trackback


Comment



Comment