2013-01-31

君もシャーマンになれるシリーズ19 ~扁桃体がシャーマン脳の鍵を握る!?~

 
これまで、シャーマンの能力が右脳に秘められていることや右脳左脳の機能は分化しており右脳には外敵や危機を察知する機能があることなどを解明してきました。さらに前回、危機察知や仲間認識などの脳の機能について生物進化を遡って見てきました。そして、たどり着いたのが「扁桃体」です。魚類以降、シャーマンに通じる危機察知や仲間認識は「扁桃体」が担っていることがわかってきましたので、今回は「扁桃体」を詳しく見ていきます。 
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◆危機対応(外圧適応)の進化と扁桃体 注:適応的脳機能は前方に移動
  
まず最初に、シャーマンの能力の一つである「危機察知能力(広義に予知予言)」が生物進化上どのような機能から派生しているかについて、今まで調べてきたことを仮説も含めてまとめます。
 
【魚 類】 魚類の扁桃体は、後の扁桃体に相当する機能をもつ「領域」として存在する。この領域が仲間を認識し、群れ行動を司っている。なお、危機に対する反射行動は延髄のマウスナー細胞等が司るが、より多様な外部環境に対する高度な適応機能を扁桃体領域が担っている。
 
【両生類】 反射行動を司る延髄のマウスナー細胞は、水中の幼生期には存在するが、生体になると消滅する。このことから、地上における外界の多様な変化(危機)に適応する機能が扁桃体に集約されたと考えられる。
 
【爬虫類】 扁桃体が形成される。危機に対しては扁桃体と青斑核が携わっており、逃走or攻撃の判断を行う。危機に対する適応様式に「攻撃行動」が加わる。
 
【ほ乳類~人類】 扁桃体は、危機に対するあらゆる情報処理の起点となっており、脳の各部と密接に連係して様々な危機に対応(反応)する。外敵におよばず、同類に対する反応(表情からの感情の察知や共感)も扁桃体が司ると考えられる。快不快等の情動も扁桃体が司る。 
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陸上での環境と外圧の変化はすさまじく、水中での単純な反射行動では対処出来ないことは容易に推測されます。それ故に、危機察知と逃避行動の神経回路をより高度で多様な判断が可能な扁桃体に集約したのでしょう。なお、一言で「扁桃体」といってもその構造や機能は複雑なことには注意が必要です。(それについては、後半にまとめます。)
 
◆扁桃体の機能 注:危機察知と仲間認識はセットで機能する。。。。。。。
 
扁桃体には様々な特徴があります。その具体的な内容をみていきましょう。
 
①危機察知、仲間認識の右脳扁桃体
 
扁桃体は、生存に重要な危険や恐怖を呼び起こす対象(外敵や獲物)、愛くるしい対象や仲間に対して反応します。危機等に素早く反応するために、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、内臓感覚などのあらゆる生情報が直接的に扁桃体に入ってくるのです
 
また、扁桃体には、大脳皮質で認知し、高次に処理された情報も扁桃体に入ってきます。大脳皮質からの入力は、直接情報に対して僅かに遅れて伝達されますが、適正かつ精密な情報となります。
 
これらの粗と精、原始的と識別的、低次と高次という2種の情報が扁桃体内で遭遇することで、反射的な反応は、成体の知恵や経験により、快か不快か、有益か有害かの判断に基づいて環境適応的に補正・修正されることになるのです
 
なお、ここでいう有益か有害かの判断は実利的なものにとどまらず、周囲(社会)の情報を処理し、広く動因となるものを選定します。例えば、芸術などに接した場合の精神的に有益な情感の判断や自然の景観、宗教的経験における崇高な感情や超越的感動も扁桃体に根ざしていると考えられるのです。
 
なお、扁桃体は社会性にも関係が深く、人の顔を区別したり表情を読み取る機能を持ち、扁桃体が傷つくと集団の中で孤立するなど社会生活がうまくいかなくなることが確認されています。
 
②想像した危機や恐怖に反応する左脳扁桃体
 
上記は主に右脳扁桃体に関する機能ですが、扁桃体は左右に二つ存在しています。では、左脳扁桃体はどのような役割を担っているのでしょう。左脳扁桃体の機能と考えられる一つの事例を示します。
 

まず病院のベッドに寝ている患者の写真を見せます。あるグループには、「治る見込みなし」と説明し、その患者になることを想像させます。すると、左脳の扁桃体の活性が上がります。ここは恐怖に関係する場所です。そしてもうひとつ、左脳の前頭前皮質の活性も上がります。ここは、想像に関係します。つまり、恐怖を想像していることが分かります。
 
一方で、別のグループには、同じ写真を見せながら「病気は重くなく回復途上である」と説明します。すると左右の扁桃体とも活性が下がります。そして、前頭皮質の一部の活性が上がります。これは、認識を変えることで、感情的反応をコントロールできることを意味しています。

 
この事例は、左脳扁桃体は「想像した恐怖」によって活性化することを示しています。右脳扁桃体が生の外界刺激に直接反応することに対して、左脳扁桃体は左脳の大脳新皮質が想像した恐怖信号を受けて反応していると考えられるのです。言語や観念を司る左脳と結びつきが強い左脳扁桃体らしい機能だと思われます。
 
 
③危機や恐怖に対する反応を発令する扁桃体
 
感覚器を通して入ってきた信号を受けて、扁桃体は過去の記憶をチェックしはじめ、「嫌いなものか?傷つけるものか?こわいものか?」を判断します。答えが「イエス」ならば、扁桃体は即座に反応して脳全体に緊急事態を発信します。
 
「恐怖」と判断したときは、扁桃体は直ちに脳の各部に緊急事態を知らせ、戦ったり逃げたりするのに必要なホルモンの分泌を命じます。脳は興奮状態になり、感覚は鋭敏になります。表情はこわばり、筋肉は必要のない動きを中断し、心拍は早くなり、血圧は上昇し、呼吸数は少なくなります。他の器官は恐怖の対象に注意を集中し、必要に応じて筋肉を動かせるよう準備します。大脳新皮質は思考を一時中断し過去の記憶をめくり、目の前の非常事態に関連する知識を引き出そうとします。
 
④幼児期に形成される情動反応
 
扁桃核の情動反応は、生で粗な情報に反応することから不正確さを孕みます。また、幼少期の虐待や遺棄などによって心が深く傷ついた場合などの情動記憶が関わるため、本来不要な恐怖や不安反応を示すことがあります。
 
生後まもない時期の大脳新皮質は発達途上であるのに対して、扁桃体は誕生の時点でかなり発達しており、生後まもなく完成します。幼少期には扁桃体と海馬はそれぞれ独自に記憶するため、扁桃体完成後の幼児体験が後々の情動反応に強く影響を及ぼすと考えられるのです。
 
⑤長期記憶に関わる扁桃体
 
扁桃体は海馬と隣り合わせの位置にあり、相互に情報交換をしており、長期記憶には扁桃体が強く働いています。例えば、私たちは、特別に好きなことは努力しなくて覚えられ、喜怒哀楽の感情を強く抱いた出来事はいつまでも覚えています。また、強い恐怖や危機体験も強く記憶されることに扁桃体が関わっています。なお、海馬を電気的に刺激すると過去の記憶が鮮明に呼び起こされる「フラッシュバック」が生じることがわかっています。
 
⑥幻聴、幻覚のメカニズム
 
視覚情報は目から視床へと流れ、それが扁桃体、海馬、そして前頭葉へと流れるのが通常の流れですが、扁桃体など視床下部の下に直結している組織から視覚聴覚情報が逆に入力してくることがあります。実際に目に見えている情報ではありませんが、この情報が視床で映像として再現された視覚情報が前頭葉へと流れます。これが幻覚の仕組みであり、それが言葉や音の情報になると幻聴となるのです。
 
幻覚や幻聴は、脳の誤作動ともいえます。不安や恐れストレスなどが原因で、扁桃体からの言語情報、視覚情報が視床に伝わり、それが現実の言葉、視覚として前頭葉に伝わり、現実的なものとして脳が捉えるのです。
 
◆扁桃体の機能とシャーマンの能力 注:シャーマンに限らない能力です
 
ここまでに扁桃体の機能を見てきましたが、改めてシャーマンの能力との関連を整理します。
 
これまでの本ブログの調査からシャーマンの能力の特徴として、危機察知、共同体環境での能力の発揮、常人には認知できない情報のキャッチ、幻覚・幻聴にも近い予知予言や巫病現象などがあげられますが、これらの多くが「扁桃体」の機能と密接な関係にあると考えられます。下表にそれぞれの関連をまとめます。
 
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以上の関連性から、精霊を見て、集団を統合し、導いてきたシャーマンの特殊な能力は、『扁桃体』と深い関わりがあることが見えてきます。
 
さて、扁桃体は脳の各部と密接に繋がっており、連係することで様々な反応を示しています。特に海馬との繋がりは強く、記憶にも関与していることがわかってきています。さらに、扁桃体には、20種以上の神経伝達物質が関与しており、様々な興奮と抑制にも関与しています。人間らしい情動行動の起点となる扁桃体は、深く脳全体と関わっているのです。
 
今後シャーマンの能力を追求する上でも、扁桃体と脳の各部との関係は重要になるでしょうから、最後に簡単にまとめておきます。
 
◆扁桃体の構造と関連脳回路の概要 注:多様な神経伝達物質。。。。。。
 
扁桃体は側頭葉の内側、海馬のやや内前方に位置し、長さ15-20mm程度のアーモンド(扁桃)型をしています。扁桃体は系統発生的には最も古い「旧皮質」に位置します。海馬などは「古皮質」に位置するのでそれらより古いことになります。やや荒い表現になりますが、扁桃体は嗅脳とともに脳が形成される魚類から存在し、海馬などは両生類以降の構造といえます。
 
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扁桃体は、「扁桃複合体」という全体名称があるように、多数の核(神経細胞の集まり)から成る複雑な内部構造を持ちますが、大きくは「外側核」と「内側核」に大別され、この二つは相反する働きを持つといわれています。たとえば、摂食行動を一方は抑制し、他方は促進するなどです。この扁桃体の神経細胞は、錐体細胞と星状細胞という二種類から成っており、錐体細胞は長い突起で外部との連絡を行い、星状細胞は扁桃体内部の回路と考えられています。
 
また、扁桃体が複雑な機能をもつ理由の一つに神経伝達物質の多さがあり、20種以上の神経伝達物質が確認されています。ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリンなどです。加えて扁桃体には、五感のすべての情報が集中する神経回路網が連絡しており、快感回路=ドーパミン神経回路網なども含まれています。また視床下部との連絡回路も発達しており、視床下部の様々な活動をコントロールしていると考えられています。
 
以下に、扁桃体を中心とした神経回路の概要図とチャート図を示します。
 
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      神経回路概要図(上:外側面、下:内側面)
 
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海馬と扁桃体を中心においた大脳辺縁系の神経回路チャート図
 
以上の様に、扁桃体は脳の各部と連係して、複雑で高度な反応を示す起点となっていると考えられます。
この複合機能体である「扁桃体」とシャーマン能力との関係はどのようなものなのでしょう。
 
次回は、扁桃体とも関係が強く、シャーマンの能力に関わる「脳の記憶」を司る『海馬』について見ていきます。

List    投稿者 cosmos | 2013-01-31 | Posted in ①進化・適応の原理, ④脳と適応, ⑬宇宙人・スピリチャルNo Comments » 

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