2012-11-22

太陽系を探検しよう-22.太陽系の起源、これまで追求されてきた諸説(1)

今回は、改めて太陽系の起源に迫ります(前回の記事太陽はどうやってできたのか?)。まずは定説や新説を紹介しようと思います。それを理解するために、前提となっている太陽系の性質について押さえ、従来の説で何がわかっていて、まだ何がわかっていないのかを明らかにしたいと思います。
 
太陽系の性質
  
taiyoukeiseisitu.JPG
(浜島書店「ニューステージ地学図表」より)
 
 
1)惑星の公転方向と太陽の自転方向は一致する。天の北極から見てみな反時計まわり
 
2)惑星の軌道面は殆ど同一面内にあり、太陽の赤道面とのなす角は小さい。 
 
3)惑星の軌道はほぼ真円といえるほどの楕円。
 
4)太陽系内における角運動量はほとんど惑星が持っている。惑星の総質量は系全体の746分の1にすぎないのに、系全体の角運動量の98%は惑星の公転運動に結びついている。太陽がもつ(自転運動による)角運動量はわずか2%にすぎない。
 
5)惑星と太陽間の距離はボーデの法則(天文単位=0.4+0.3×2n、nは近世を0、地球を1…とした順番の数)が成り立つ。水星と海王星は例外。
 
6)惑星は地球型岩石惑星(内惑星)と木星型ガス惑星(外惑星)の2群に分かれる。地球型惑星の直径はいずれも地球の直径より小さく、平均比重は4~5で比較的大きく、自転周期はいずれも24時間より長い。木星型ガス惑星は対照的で、平均比重は1に近く、自転周期は半日に近い。
 
 
これまでの太陽系起源説
 
それは約300年間の追求過程です。銀河星雲のように物質群が回転しながら凝集していくモデルを出発点とします。新たな事実が観測される度に、新たな仮説が再構築されるという流れが現在も続いています。とくに、この十年ほどは、太陽系以外の惑星が次々に見つかり、その常識はずれの姿に、数々の仮説が提起されてきました。まだ、定説といわれるような理論は登場していません。では、これまでの太陽系起源説を紹介します。
 

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カント・ラプラスの星雲説(18世紀後半)
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(図版は小学館「気象天文の図鑑」から引用・加工)
     
もともとゆるやかに回転する高温のガスで、冷却にしたがって収縮して回転が速くなり、重力より遠心力が勝ると赤道付近からガスを噴出す。すると高速回転は多少おさまり、また収縮してガスを噴出す、ということを繰り返す。ガスは回転軸に垂直に撒き散らされるので何層もの円盤状になる。最後に残ったのが太陽になり、途中で撒き散らされたガスから惑星ができた、という説。
 
【問題点】一つは、撒き散らされたガス環自体が収縮することが困難な点(1859年、マクスウェルの指摘)、もう一つが、太陽の角運動量が小さいことの説明がつかない点(1884年、フーシェの指摘)です。星雲説の場合、太陽は現在の100倍以上勢いよく回っていなければなりません
 
 
ジーンズ・ジェフリーズの潮汐説(1917年)
 
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惑星の角運動量が大きいことを説明するため、別の天体が太陽の近くを通過して、その際に恒星の引力で、太陽からガスが引きずり出されるとする説が登場します。このガスが分裂して惑星ができます。角運動量問題に関しては、引っぱり出されたガスに通りすぎる恒星の引力が加わって速く回転するようになったと考えます。
【問題点】この説では、海王星を生み出すには通過星が土星付近を通る必要があり、それでは太陽からガスを引っ張り出すには遠すぎることが指摘されます(1935年ラッセル)。
 
そこで、1936年にリトルトンの連星説(1936年)が登場します。これは太陽がかつて連星であり、その伴星に通過星が接近して潮汐作用で物質を引き出し、そのごく一部が惑星になったとする説です。
 
【問題点】1939年にスピッツァーが致命的欠陥を指摘しました。引きずり出されたガスは非常に高温であり、重力に勝る膨張力により、とても惑星のような小さな塊にまとまっていられないのです。つまり、円盤が拡散しないためには、円盤は低温でないといけないのです。
 
そのほかにも様々な説が提唱されました。
アルフェンの電磁捕獲説(1942)
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ワイゼッカーの渦動星雲説(1944)
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ホイップルの光圧塵雲説(1947)
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ホイルの星雲説(1955年)
 
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低温の円盤からの形成を説明するため、かつての星雲説が復活します。銀河に漂う暗黒星雲の密度の高い部分が自らの重力で収縮し、中心部分が太陽となり、赤道部分から遠心力で円環が吹き出す。ここまではカント・ラプラス説と同様。角運動量の解決は、太陽の磁場がプラズマ化した円環と結びつき、円環は高速回転する太陽に振り回され拡がって、円盤になったと考えます。
 
星雲説の最大の特徴は太陽と惑星が同時に形成される点です。その後、地球の岩石、隕石、月の石の放射性同位元素分析と恒星の進化理論により、太陽と惑星が同じ頃に生まれたことがわかり、この星雲説がその後の起源説の基礎になります。
 
 
岩石惑星とガス惑星はどのように形成されたのか
 
次の問題は、組成の違う惑星がどのように形成されたのかです。※それまでの起源説は惑星の組成に言及しない荒っぽいものといえます。
  
アメリカのキャメロンの星雲説(1978年)はガス惑星の形成に重点を置いた「大質量モデル」、ソ連のサフロノフの星雲説 (1969年)と日本の京都大グループのモデルは岩石惑星の形成に重点を置いた「低質量復元円盤モデル」、となっています。
 
ここから標準モデルが形成され、次いで系外惑星発見による混迷期に突入します。長くなったので、続きは後日… お楽しみに。(次の記事リンク
 
 
参考文献
井田茂著「惑星学が解いた宇宙のなぞ」
小学館「気象天文の図鑑」
浜島書店「ニューステージ地学図表」  

List    投稿者 kumana | 2012-11-22 | Posted in ⑫宇宙を探求するNo Comments » 

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