2009-07-06

両生類→有羊膜類→爬虫類+哺乳類へ~有羊膜類って何~

こんにちわ。arincoです。少し前になりますが、両生類から哺乳類への進化の整理という題名でエントリーを書きましたが、その時に、両生類と哺乳類、爬虫類との中間に有羊膜類という種が存在する事が分かりました。そこで、今回は有羊膜類についてまとめる事にします。
 有羊膜類への進化は、大きく言うと陸上進出の為という事が出来ます。では、なぜ有羊膜類=陸上進出なのでしょうか?その疑問に答える為に
①有羊膜類ってなに?
②有羊膜類になる事で何が可能になったの?
の2点を整理していきましょう 😀
応援よろしくお願いします!
ブログランキング・人気ブログランキングへ
にほんブログ村 科学ブログへ

 にほんブログ村 科学ブログへ


①有羊膜類ってなに?
有羊膜類ってなに?
 まずは、そもそも有羊膜類ってなに?という所ですが、その名の通り、羊膜をもつ生物の事を有羊膜類と言います。
%E5%8D%B5%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0.jpg
 
羊膜ってなに?
 では、羊膜とはナンなのでしょうか?
 羊膜とは、「胚」を包み込む「胎膜」の一種の事を言います。胚とは多細胞生物の個体発生におけるごく初期の段階の個体のことを言います。生物種によって胚とされる期間が異なります。例えば昆虫は一般には卵から孵化するまでを胚と呼び、孵化後は幼生と呼ばれています。胎生の動物、特にほ乳類の場合は、大まかな幼生の形が作られるとその後は胎児(胎仔)と呼ばれます。
 「胚膜」には、大きく「漿膜」、「羊膜」、「尿膜」と呼ばれる膜が存在します。有羊膜類だから羊膜しかないかというとそうでもなくて他の3つの膜も持っています。 中でも「羊膜」は、胎児と羊水と呼ばれる液体を包む膜で、胎児を物理的な衝撃から守っています。
 また、「漿膜」は、漿液を分泌する細胞が並んで出来ている膜の事を言います。
 漿液は、粘性の低いサラサラした水溶液で、体をつくっている様々な液体や、体の内外に分泌された液体を汗や唾液などの総称の事を言います。
 漿液といえる液体は数多くありますが、通常は、水に塩類や蛋白質、糖類などが溶けている液体の事を指します。
 「胚」の発生初頭では、「外胚葉」の一部が伸び広がって這い全体を包むと共に、「中胚葉」からも膜が広がり始め、最終的に内外で二重になった膜が胚を完全にくるみます。この時
・外側の膜を「漿膜」
・内側の膜を「羊膜」
と呼んで区別しています。
 「尿膜」は、胚から伸びだす袋状の膜のこと言います。この膜は、漿膜と羊膜の間の空間に入り込み、漿膜を通して外界とのガス交換(酸素、二酸化炭素)や老廃物の排出を行います。
 爬虫類等の卵では、漿膜の外をさらに卵殻膜が包みます。この殻の細かい隙間を通して、尿膜は外気との間でガス交換(酸素を吸収し、二酸化炭素を排出する)を行います。
②有羊膜類になる事で何が可能になったの?
 
 さて、羊膜獲得の主目的は、陸上進出=乾燥適応です。では、具体的にどのような事が可能になったのでしょうか。比較対象として、両生類と爬虫類の卵の特徴を挙げていきます。
□両生類の卵は、胚の一番外側はゼラチン状の皮膜で覆われており、その内側に小さな孔のある膜で覆われています。
 このゼラチン質の皮膜は、酸素と水分を通し、胚が出す二酸化炭素を外に出します。つまり、両性類はゼラチン質の皮膜⇔水を介して呼吸をしているという事です。
%E4%B8%A1%E7%94%9F%E9%A1%9E%E3%81%AE%E5%8D%B5.gif
画像は、こちらからお借りしました。
□一方、有羊膜の卵は、尿膜を介して外気から直接酸素を取り入れたり老廃物を捨てたりする事が出来ます。また、固い殻を所持しています。
 これは何を意味するかというと、膜が栄養補給や老廃物処理をしてくれるので、オタマジャクシの様な幼生ではなく空気呼吸をする成体の小型バージョンにまで卵内で成長する事が出来るという事です。ちなみに成長する為の栄養は、卵黄(黄身)
として蓄えられています。
%E6%9C%89%E7%94%A8%E8%86%9C%E3%81%AE%E5%8D%B5.gif
画像は、こちらからお借りしました。
 つまり、羊膜を獲得する事で硬い殻で卵を保護しつつ、卵内外の物質のやり取りを可能にする事で、水中で孵化する必要がなくなったのです。さらには卵の中で過ごせる期間が長くなり、生体に近い形(ミニチュアバージョン)で生まれてくる事が可能となりました。
 まとめると、羊膜を手に入れる事で
・地上で卵を育てる事が出来るようになった。
・生体に近い形(ミニチュアバージョン)で生まれてくることが出来るようになった

 という事になります。このようにして生物は、乾燥適応が可能となった。というわけです。
最後に、今回のエントリーと前回のエントリーを合わせて生物の陸上進出から哺乳類の流れを再度、大きく整理すると、
両生類の台頭
→陸上進出の為の乾燥適応(有羊膜類の誕生)
→石炭紀後期における氷河期に酸素濃度の上昇を利用して寒冷適応に成功した単弓類(体温調節機能の獲得)(哺乳類)が一時繁栄
→ベルム期の酸素濃度低下で大絶滅して、爬虫類系が台頭

という流れになりますね。
爬虫類は乾燥適応、哺乳類は寒冷適応というのは間違いと思いますが、その前に地上進出の為の乾燥適応段階が存在し、それが有羊膜類の段階であったという事なのだと思います。

List    投稿者 arinco | 2009-07-06 | Posted in 未分類 | 2 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2009/07/820.html/trackback


コメント2件

 匿名 | 2009.10.01 21:48

>だから、統合されたあとで過去を振り返ると、あたかもその方法しかなかったような錯覚に陥ることがある。
 なるほどと思った。
 意識下であろうとも無意識であろうとも、結果、統合したからこそ一つの方針(道)に収束した事が分かる。後で分かる時もある(その方が今は多い)。
 収束→統合しようと意識している段階では「ある可能性のレンジをもつ方向性に全エネルギーを投入することで適応しようとしている」に過ぎない。
>収束と統合とは生きているという現実そのものをあらわしている。

 matsu子♂ | 2009.10.06 19:15

>収束と統合とは生きているという現実そのもの
深いですね~
気づかないけど言われてみると実感するということが、心の奥底に響いていると言うことでしょうか。
直近の危機が想定される昨今、しっかり可能性をにらみ収束・統合していきたいと思いました。

Comment



Comment