2009-05-15

自然の摂理と「野生種⇒栽培種」の関係の歴史(1/2)

メソポタミヤの肥沃な三日月地帯で植物の栽培化が始まったのは、約1万年前といわれます。野生種から栽培種への変遷を考えるヒントとなるのは、その三日月地帯でどのような植物がどのような順序で栽培化されてきたのかをみること、という記述がありましたので紹介してみます。
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参考:「銃・病原菌・鉄――1万3000年にわたる人類史の謎(上)」
    ジャレド・ダイアモンド゙著 /株式会社 草思社 発行
●約1万年前  :小麦、大麦、エンドウなどの育成
●紀元前4000年頃:オリーブ、イチジク、ナツメヤシ、ザクロ、ブドウなどの果樹栽培
●ギリシア・ローマ時代:リンゴ、ナシ、スモモ、サクランボなどの果樹栽培

多くの野生植物の種は、動物の消化器を「通過しなければ」発芽できない、といわれます。その意味では、「排泄場は栽培実験場」という著者の話も頷けます。少なくとも、メロンやスイカの食べ残しを庭先の穴に捨て、暫くして発芽するのを見て、子ども心にも育てば実がなるかも? とウキウキした記憶がある人もおいででしょう。
栽培化の気付きもその辺にありそうだ、と推察できます。「果実が大きい/苦味がない/果肉部がたくさんある/油分が多い/繊維組織が長いetc.」などのファクターで選別栽培を続けることで、栽培種は特徴を際立たせていったに違いありません。
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「野生種⇒栽培種}の条件としては、以下の3点の選別が考えられます。
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①種子をばらまく仕掛けを持たない個体の選別
多くの植物は種子をばらまく仕掛けがあります。しかし、それでは採取し難い。そうした仕掛けを持たない突然変異種を採取し続けた結果、種子をばらまく仕掛けを持たない個体が栽培種の原種となったもの。
→小麦、大麦、エンドウ、レンズマメ(マメ) 、亜麻、ケシ
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     ▲小麦(Wikipedia)              ▲レンズマメ(Wikipedia)
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②発芽抑制メカニズムを持たない個体の選別
一年生植物には、天候異変が発生しても生き延びられるようにリスクを分散させるための発芽抑制のメカニズムがあるようです。すぐに芽を出し、実りの収穫をを期待するには、発芽メカニズムを持たない突然変異種個体の選別栽培であり、それが栽培種になったもの。
→小麦、大麦、エンドウ
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『●約1万年前:小麦、大麦、エンドウなどの育成』
当時自生していた野生種は、①②の条件を既に兼ね備えており、種子をまけば簡単に発芽し数ヶ月で収穫できたようです。そのことが、移動狩猟採集民と定住民の中間的な人々が農耕を始める上で利点となったというのです。
それらの植物は、自家受粉タイプの植物でしたので、種子を撒きちらせない遺伝子と、同じタイミングで素早く発芽させる遺伝子が発現するだけで、野生種から栽培種への移行が完了した、という訳です。
 
   つづく      by びん

List    投稿者 staff | 2009-05-15 | Posted in 6)“祖先の物語”番外編No Comments » 

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