2008-03-15

3胚葉生物 旧口動物の進化過程① ~扁形動物~

こんにちは。
今日は、前回のナマコ・ウニ・ヒトデに続いて初期3胚葉生物である
プラナリア・サナダムシ・ヒラムシ=扁形動物と、センチュウ、ギョウチュウ、カイチュウ=線形動物を紹介します。
いずれもあまり見たことのない生物で、なじみが薄いですが、生物の進化を考える上で、非常に重要な分岐点となる生き物達です。
さて、その生態はどうなっているのでしょうか?
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扁形動物も線形動物も、ナマコ・ウニ・ヒトデ=棘皮動物と同じ初期3胚葉生物ですが、所属している「門」が違います。

※生物の所属している分類は、ドメイン・界・門・綱・目・科・属・種と階層化されており、門は3段階目の階層です。例えば、哺乳類である人類は、ドメイン:真核生物、界:動物界、門:脊索動物門・脊椎動物亜門、綱:哺乳綱、目:霊長目・真猿亜目・狭鼻下目、科:ヒト上科・ヒト科、属:ヒト属、種:ホモサピエンス・サピエンスとなっています)

ナマコ・ウニ・ヒトデ=棘皮動物は、「新口動物」と呼ばれる上門(門と界の間を繋ぐ分類)に属し、扁形動物と線形動物は「旧口動物」と呼ばれる上門に属しています。さらに、同じ「旧口動物」の中でも、扁形動物は「脱皮動物」、線形動物は「冠環動物」と分類されています。
「新口動物」も、「旧口脱皮動物」も「旧口冠環動物」も全て二杯葉生物である刺胞動物(クラゲ・イソギンチャク等)(詳しくは13日の記事を参照)から進化し、分かれました。
この後、「新口動物」は原索動物(ホヤ等)を経て、脊椎動物へと進化していきます。つまり新口動物は、我々人類に繋がっています。
「旧口脱皮動物」は節足動物(三葉虫・甲殻類→昆虫)へと進化していきます。
そして、「旧口冠環動物」はゴカイ・ミミズ等の環形動物を経て、軟体動物=カイ・ウミウシ・タコ・イカ等に進化していきます。
この進化過程を図解化すると、このような感じになります。
リンク
3門とも、同じ二胚葉生物から進化して分かれたのに、その後の進化過程は全く違う訳です。
それぞれがどのように進化した結果こうなったのか?分かれ道は何だったのか?
それを追求する為に、今回は「旧口冠環動物」と「旧口脱皮動物」 それぞれの初期生物を比較しながら詳細に見ていこうと思います。
■扁形動物=旧口冠環動物
まず扁形動物ってどんな生き物?
プラナリア・サナダムシ・ヒラムシ等が属するのですが、名前を聞いてもどんな生き物か良く解りませんよね。姿を見たこと無い人が殆どだと思います。
プラナリアは、主要に淡水中に生息(祖先は海水中に生息)し、どれだけ体を切っても分裂→再生する生き物として有名な生き物です。下の写真見てください。驚きでしょ!!
frol_03.jpg
サナダムシは、誰もが名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。脊椎動物の消化管に寄生する生物で、人間の腸にも寄生します。現在日本では衛生環境の改善等によって殆どお目に掛かりませんが、ほんの数十年前までは日本でも多く寄生していました。現代でも、ペットからの感染や海外旅行先などで感染する人は少なくないようです。
nekoneko.jpg
ヒラムシは、海水中で石の下(半土中)や岩の表面を這って生活している生物で、ぱっと見はウミウシのように見えるものもあります。扁形動物は、進化上 カイ・ウミウシ・タコ・イカ等の軟体動物へと繋がっていきますが、ヒラムシを見ていると、軟体動物の祖先であることが、なんとなく解ります。なおヒラムシの中には、他の生物に寄生する種類もあります。
このように見てくると、同じ扁形動物と言っても、随分生態系が違います。
海水・淡水・半土中に寄生生物・・・う~ん、幅広い・・・
棘皮動物(ウニ・ヒトデ・ナマコ)が全て海中生息なのに対して、大きく生息域が違っています。
この違いは、何に起因するのでしょうか?
その謎に迫る為に、体の作りを見てみます。
前回の記事に書かれていたように、「ナマコ・ウニ・ヒトデ=棘皮動物」では体細胞が大きく進化し、各胚葉から以下の器官が、発生しています。
 ・外胚葉→神経(環状神経)、感覚器(眼点、触手)
 ・内胚葉→口~腸~肛門(ヒトデには胃ができる)、呼吸器(水管・呼吸樹)
 ・中胚葉→運動器(管足、筋肉、骨片)管足は、水管とつながり呼吸器の役割も担う。
        循環器(血管)
        生殖器(精巣、卵巣)
        内分泌器(幼体から成体への変体ホルモンを分泌)
これに対して、扁形動物では、以下の器官が発生しました。
 ・外胚葉→神経(かご形神経)、感覚器(原始的な眼)
 ・内胚葉→消化器(口~腸)
 ・中胚葉→運動器(筋肉。かなり発達している)
        泌尿器(原腎管)
        生殖器(精巣・卵巣)
こうやって比べてみると、棘皮動物には「呼吸器、循環器、内分泌器」があるのに、扁形動物にはありません。その代わり、「泌尿器」が存在しています。この違いこそ、生息域の違いの原因と考えられます。
「泌尿器」=「毒素排出機能」と、比較的発達した運動器を手に入れたことで、恒常性の実現が可能となり、生息域を一気に拡大することが可能となった。進化の過程で、この「泌尿器」を手に入れたことが、海水だけでなく、淡水や半土中・寄生など、幅広い生息域への適応へと繋がったのです。
ではなぜ、棘皮動物にはない「泌尿器」を手に入れたのか?
その謎には、次の「線形動物」を見てから迫りたいと思います。
②に続く
BY NISHI

List    投稿者 crz2316 | 2008-03-15 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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