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太陽系を探検しよう-22.太陽系の起源、これまで追求されてきた諸説(2)

Posted By kumana On 2012年11月24日 @ 5:00 PM In ⑫宇宙を探求する | No Comments

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前回記事 [1]の続きです。
 
1970年代に太陽と惑星は同時に形成されたことがわかり、太陽起源説は星雲説を基礎に、組成の違う惑星がどのように形成されたのかを組み込んだ理論の追求がはじまります。そこで登場したのが、ガス惑星の形成を主眼に置いた「大質量モデル」と岩石型惑星の形成を主眼にした「低質量復元円盤モデル」です。
 


大質量モデル(木星と土星の形成を主眼にした説)
 
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中心となる太陽と同じ程度の質量を持った、重たい円盤を考えます。このような重たい円盤は、自分自身の重力で分裂していくので、木星や土星のような、水素・ヘリウムを主成分とした大きな質量のかたまりがいきなり形成されます。形成時間は短くおよそ一千年と推定されました。
【問題点】ほとんど重元素で形成される地球型惑星やほんのわずかのガスしかまとっていない巨大氷惑星(天王星や海王星)がつくられるためには、円盤が分裂して水素・ヘリウムのかたまりができたあと、そのうちの90~99%もの水素・ヘリウムガスが選択的に取り去られるメカニズム、あるいはなぜか地球や天王星のできた場所にはガスがなかったという理由を説明しなければなりません。
 
また1990年になると、星が誕生しようとしている領域の観測がされ、低温の円盤が確認されました。86個の恒星の観測から円盤の全質量は、およそ太陽質量の千分の一から十分の一に分布し、質量の平均は100分の1と推定されました。観測した星は質量がほとんど太陽くらいの平均的な恒星です。原始太陽系も太陽質量の100分の1くらいの円盤を持っていたと考えるのが自然で、これは復元円盤モデルによって推定された円盤の質量と一致します。これで、大質量の円盤は完全に否定されました。
 
 
低質量復元円盤モデル
 
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これが現在、標準モデルとなっています。

太陽そして円盤をつくったのは、ともに同じ星間雲ガスであるから、原始太陽系円盤の組成比は現在の太陽と同じはずで、水素ガス4分の3にヘリウムガス4分の1、そしてそのほかの重元素1~2%だったはず。原始太陽系円盤中の固体(塵)成分である重元素は、現在の太陽系の岩石惑星とガス惑星内部の固体の推定量の総和に等しいと考えてみる。それをすりつぶして分布し、そこに水素ガス、ヘリウムガスを上のような比率で付け加える。そうすると太陽の100分の1に相当する質量の円盤ができる。現在のガス惑星に存在する水素・ヘリウムガスの量を考えると、初期円盤ガスの90%程度が太陽系形成後に消え去ったという勘定になる。
まず、円盤ガスの中で固体成分(塵)が分子間力(電磁気力)でくっつきミリメートルサイズまで成長する。原始太陽の形成とともに塵は太陽の重力と拮抗できる遠心力をもつ赤道面のみが残され(他は太陽に吸収され)円盤状に層をつくる。この層の中でキロメートルサイズの微惑星が誕生する。
 
微惑星は相互の引力の影響で軌道を円から楕円へと歪め、相互作用が働く距離の微惑星がなくなるまで衝突成長し、地球型惑星やガス惑星の核をつくる。その結果がボーデの法則に見られる惑星軌道の間隔に帰結する。
 
太陽に近いところでは太陽の重力の影響が強く、惑星の重力の影響が遮られ、近くの微惑星のみが集められ小さな岩石惑星ができる。温度が比較的高いためガスは取り込まれにくい。
木星や土星の領域では太陽の重力影響が小さく、かつ、惑星間の距離も大きいため広い範囲の物質を集められる。温度が低いためガスは取り込まれやすく、巨大ガス惑星ができる。核の質量が地球の10倍ほどの大きさになると、ガス大気は不安定となり核の表面に落ち込み、つられて周囲の円盤ガスが流れ込み、質量の増大とともに加速し、すべてのガスを吸い尽くすまで成長する。
 
更に遠い天王星や海王星の距離になると、物質の密度が小さく、動きも遅く、微惑星の衝突頻度が小さいため、コアの形成が遅い。原始惑星ができた頃にはガス円盤は消失しており、巨大氷惑星となった。

 
 
【標準モデルの問題点=未明課題1】
他の恒星の観察から円盤は一千万年ほどで消滅してしまうと推定されています。固体コア(原始惑星)ができるまでには二千万年かかると見積もられており、円盤ガスが先に消えてしまい木星や土星にガスが流れ込む暇がない。これを「木星型惑星の形成時間の問題」と呼んでいます。更には、外縁部の天王星、海王星は太陽系年齢内ではできないという指摘もあります。
  
【標準モデルの問題点=未明課題2】
円盤の研究が進むにしたがって、円盤ガスは沸騰した湯のような乱流状態にあるのではないかということがわかってきました。そうなると塵はかきまぜられて赤道面に集まって層をなすことはできず、標準モデルのようにかたまりに収縮することもできなくなります。円盤ガスの乱流状態の中で、いかにして微惑星はつくられたのか。この問題はまだ解決していません。
 
【標準モデルの問題点=未明課題3】
微惑星や原始惑星が形成されると、相互作用により軌道が真円から楕円へとゆがんでいき、衝突するようになります。金星や地球サイズまで成長すると、惑星間の距離が遠くなり相互の引力作用は小さくなります。一方で、単体としての引力は強く、軌道上のガスを集めつつ楕円運動するため、円運動をするガスを後ろにたなびかせながら進むようになります。そのガス(の引力)がブレーキ作用を生じ、惑星の軌道は楕円から徐々に円に近づいていきます。このブレーキ作用は、軌道を円に近づけるだけでなく、惑星の回転力を小さくし=軌道の半径を小さくし、太陽に落ち込ませる可能性があります。木星や土星がなぜ太陽に落ち込まなかったのか、説明できていません。
 
 
まだ太陽系さえも説明しきれない標準モデルですが、1995年以降の系外惑星の相次ぐ発見で、それが太陽系の常識でしかなかったことが明らかになります。恒星系の形成はもっとダイナミックで、惑星はもっと多様だということがわかるのです。
 
 
次回は、それまでの常識を覆す太陽系外惑星の発見と大きく揺らぐ起源説の状況を紹介します。
 
次回の記事 [2]
 
 


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