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生物学の常識を覆す?!“iPS細胞”って何?

皆さん、こんにちは
今回は、新聞やテレビを連日にぎわせているノーベル賞を受賞したiPS細胞について、取り上げてみたいと思います 😀
生物学の常識を覆したとも言われているiPS細胞の作製
どのあたりからそう言われていて、どういう点が評価されてのノーベル賞の受賞だったのでしょうか
またiPS細胞とは何なのでしょうか 🙄
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日経新聞2012.10.9の記事より引用します

スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル生理学・医学賞を、生物のあらゆる細胞に成長できて再生医療の実現につながるiPS細胞を初めて作製した京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所長(50)と、ジョン・ガードン英ケンブリッジ大名誉教授(79)の2人に贈ると発表した。
医学研究では治療実績が重んじられがちだが、山中教授はiPS細胞の作製からわずか6年で、ノーベル賞の栄誉に輝いた。
授賞理由について、カロリンスカ研究所は声明で「細胞や器官の進化に関する我々の理解に革命を起した」と説明した。
山中教授は、06年に世界で初めてマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作った。IPS細胞は受精卵のように体のどんな部分にも再び育つ。皮膚などにいったん変化した細胞が、生まれた頃に逆戻りするという発見は生物学の常識を覆した。細胞の時計の針を巻き戻せることを示した「初期化」と呼ぶ研究成果は「まるでタイムマシン」と世界を驚かせた。生命の萌芽とされる受精卵を壊して作る胚性幹細胞(ES細胞)と違い、倫理面の問題からも特に欧米社会で高く評価された。
初期化の実現の可能性を最初に示したのが同時に受賞するジョン・ガードン博士の成果だ。1962年、オタマジャクシの腸の細胞から取り出した核を、あらかじめ核を除いたカエルの卵に移植したところ、受精卵と同じようにオタマジャクシが生まれた。腸に育った細部でも、時間が遡りすべての細胞に変化できることを示した。09年には、米ラスカー賞を山中教授とともに受賞している。


体のどんな部分の細胞にも育てられ、ほぼ無限に増やせる
しかも多くの研究者の挑戦を阻んできた大いなる謎を、たった4つの遺伝子を組み込むだけという非常に単純な方法で実現など、すごい偉業であることは間違いないようです
そんな万能細胞であるiPS細胞
もう少し詳しく解説してくれている記事がありますので、紹介します リンク [1]
            
◆再生医療で注目されている『万能細胞』(iPS細胞)とは?
多細胞生物の体細胞は全て同じDNAを持ちますが、細胞分裂の過程でDNAに部分的な「封印」が施されることで、細胞自身が作り出すタンパク質の種類が変わり、異なった細胞に分化していきます。免疫細胞もその一つ。DNAの封印の場所の違いが体細胞の違いというわけです。
[2]
体細胞分化の過程。分裂のたびにDNAに異なる「封印」が施され、その違いが様々な体細胞を生む。
通常、この封印は後戻りできません。だから、同じDNAを持っていても、一度筋肉になった細胞は神経の細胞になることはできない。逆に、まだ封印の無い状態なら色々な細胞になることができる。ここに目をつけ再生医療に使おうと研究されてきたのが、いわゆる「万能細胞」で、iPS細胞もその一つです。
さて、その万能細胞(多能性幹細胞)として、これまで作製されてきたものは以下の通りです。
ES細胞(胚性幹細胞)
受精後3.5日目(6~7回分裂後)の「胚」から取り出した幹細胞。’81年にマウス、’98年にヒトで培養に成功。しかし、ドナーの受精卵を犠牲にしないと取り出せないという倫理問題と、DNAがドナーのものなので本人以外は拒絶反応を起こし使えないという課題が残った。
クローンES細胞
ドナーの受精卵に患者の核を移植し、一定の分裂の後、幹細胞として取り出したもの。受精卵への核移植でDNAの「封印」が解かれる、というクローンの原理を応用。患者のDNAを持つので拒絶問題は解決できるが、誰かの受精卵を犠牲にするという倫理問題は残る。
iPS細胞
DNAの「封印」を解く『初期化因子』と呼ばれるタンパク質を生成する遺伝子を、患者の細胞内に人工的に送り込み、幹細胞状態に戻す。本人の細胞しか使わないので倫理問題も拒絶問題も生じない、ということで期待されている。
            
DNAの封印を解くための遺伝子がiPS細胞
ふむふむ 😉 何となく分かった気がします
(参考)
最近よく聞く「iPS細胞」ってなに? [1]
Science誌2008年科学的進歩ベスト10 [3]
iPS細胞 [4]
第1回 iPS細胞研究の進展 [5]

[6] [7] [8]