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人類の祖先はゴリラ?オランウータン?チンパンジー?

前回の投稿 [1]では、ゴリラ、オランウータン、チンパンジーの違いを押さえ、その違いはそれぞれが置かれている外圧状況が関係していることが明らかになりました。

今回はそれらの違いを踏まえて、「人類の祖先は誰なのか?」について迫っていきたいと思います!

人類の祖先と言われているのは、「足の指が先祖返りして木から落ちたサル」
足の指が先祖返りするというのは、足の指で木が掴めなくなること。

樹上機能を失い、地上で生きていくことになったサルたちはどのような状況に陥ったのでしょうか?

・地上は外敵が多く、餌が少ない。
地上には自分たちよりも強い外敵のヒョウ(アフリカ)やトラ(アジア)がいます。
さらに樹上と比べると、一番栄養のある果実も少なく、陽も当たらないので地上の餌は大幅に減ります。
“人類は草原に進出した”という説がありますが、良い縄張りを求める(快美欠乏のある)サルたちが、このような窮地の状況の地上に進出するのでしょうか?
むしろ地上では外敵も駆逐できず、十分な餌も確保できないような逆境に追い込まれたと考えられます。

この状況で始原人類は、餌が確保できず「飢餓」に陥ったと考えられます。
飢餓状態では、体はどんどん小さくなっていくはず。
今の人類は150㎝~160㎝程度。つまりこれより小さい類人猿が人類にまで大型化したとは考えにくいのです。
この時点で今の人類より大きい、ゴリラとオランウータンに絞られます。
(チンパンジーの身長は大きくて150㎝。チンパンジーが大型化して人類になったとは考えにくい。)

・人類は二足歩行で地上に適応。
しかしゴリラとチンパンジーは地上生活が長く、現在もナックルウォークで移動しています。
ゴリラはナックルウォークで時速50㎞の速さで移動します。この状況でわざわざ二足歩行にする必要はかなり低いと考えられます。
さらにチンパンジーやゴリラは樹上機能を失ったとしても、大型化や集団化で地上に適応しています。
現在も地上に適応していることから、ゴリラもわざわざ人類に進化する必要があったとは考えにくいのです。
一方で、オランウータンはナックルウォークをしません。
以上から一番有力なのはオランウータンだと考えられます。

オランウータンが人類に進化したのか?
オランウータンは樹上中心の生活、オランウータン(90㎏程度)よりも大きいトラ(150㎏程度+10mの跳躍)がいて、地上にもほとんど降りて来ません。
そのため樹上機能を失った時、一番生存外圧の高くなるオランウータンが何らかの進化を遂げると考えられます。
さらに4年前ほどの論文で、人間の赤ちゃんの発現をたどると、骨の形から「ナックルウォークをしていない」ことが判明!
加えてオランウータンと他の類人猿との大きな違いである、「飢え(飢餓)の経験」があること。
つまり「飢え」を凌いだ経験があることも、始原人類につながる大きな理由の一つだと考えられます。
さらに、以前のブログ [2]で紹介した通り、人類との類似点がゴリラが7カ所、チンパンジーが2カ所に対して、オランウータンはなんと28カ所(歯の形、白目がある、血液型など)も類似点あること。

以上の結果からも人類の祖先はオランウータンが有力だと考えられます。

いかがでしたか?今回は以上です。

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