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【実現塾】両生類→爬虫類・哺乳類への進化・・・卵生から胎生への進化を捉え直す

前々回『3段階の進化の原理と陸上進出した両生類』 [1]で陸上進出した原始的な両生類を扱った。今回は、その両生類がさらに新機能を獲得して進化し、そこから、爬虫類と両生類が登場する進化史を扱う。

まず、 初期両生類からの進化の概観は、以下のようになる

図解 [2]

このように、卵生といわれる生殖様式を起点に、陸上によく適応できるように、様々な生殖様式を獲得し、高度化した両生類→哺乳類・爬虫類へと進化していった。

この適応原理を読み解くには、生殖様式の進化という視点で、定説の『卵生・卵胎生・胎生』という3分類を超えて、多様で極めて基底的な、生物の生殖様式の進化の歴史を捉えなおすことが必要になる。

例えば、

①(初期の)卵生とは卵を体外に生み落とし、体外受精を行い、卵に蓄積された栄養を利用して成長していくここと。

②胎生は、体内受精で受精確率を上げ、胎盤や臍帯などから、胎児に直接栄養を与えること。これは、哺乳類特有のシステムであるという暗黙の了解がある。

これら分類からは、卵胎生は、卵を体内に残し、卵の栄養を使いながら体内で孵化させ、親から直接栄養を与えられることはないかのように語られる。

しかし、軟骨魚類・硬骨魚類・両生類・爬虫類(恐竜の一部も含まれる)・昆虫など、多くの生物の中には1~2割の卵胎生が存在するが、卵の栄養のほかに、進化した胎盤様の器官から栄養を受け取り成長し体外に出るもののほうが多い。

つまり、卵胎生も卵の栄養だけの孵化させるだけでなく、親が栄養をを与え成体に近い形まで成長させてから生み落とすという戦略なのである。また、進化した高度な機能をもつ後期の両生類・爬虫類も、卵を産み落とすので卵生といわれるが、そこには体外受精から体内受精への進化があり、受精確率を上げているという事実もある。

このように、卵生から胎生への進化は、受精確率を上げ、体外で出るまでになるべく成体に近くなるまで大きく育てることで、生存確率を上げるという方向に、漸進的に向かっている。

事例としては、卵胎生と呼ばれる生物でも、臍帯・胎盤などの器官があり母体から子へ栄養供給があるものや、胎内で孵化後に母体からの分泌液を子が経口摂取するものもある。

淡水魚のハイランドカープの子は、母胎内では、腸が外部に出た栄養リボンを経由して母体から分泌された栄養分を吸収して成長する。そのリボンは成長して体外に出る際には、消失する。

胎生魚類 [3]

画像は『こちら』 [4]からお借りしました

このように、生殖様式の進化は多様であり、卵胎生という言葉は意味がない。むしろこれらは、卵生から胎生への生殖様式の進化の多様性の表れとして追求すべき課題である。

そう考えると、胎生は哺乳類の専売特許ではなく、軟骨魚類の時代から、進化史の中でたびたび登場するというのが事実である。しかし、卵生と胎生を比べると、圧倒的に卵生の方が普遍的な様式であり、胎生は少数派の様式である。

これらからすると、胎生は進化の様々な段階で発生している、よく見られる様式であるが、生物全体から見ると少数派の様式であるといえる。

よって、胎生機能を獲得することはさほど困難なことではなく、むしろ卵を産む機能の方が大変であり、それを成体になるまでの養分を卵にため込んでおくか、生育途中で養分を供給するかの違いしかない。

これを『3段階の進化様式』 [1]からみると、第1の進化様式ではこのような大きな進化はあり得ない。第2の進化様式である用不用論に基づき、駆動物質が必要な方向へ進化を促したのであれば、生物に普遍的に定着していたはずであるが、現実には、進化の様々な段階で発生しているにも拘らず、少数派の様式である。

そうすると、胎生は『大進化といわれる第3の進化様式』 [1]であり『外部からウイルスが飛び込んできて共生を実現した』と考えられる。現に、哺乳類の胎盤は、レトロウィルスに感染した結果の進化であることが解っている。

このような視点を持って、進化の事実を追ってみよう。

陸上進出した初期両生類が適応すべき外圧は、系統図 [5]

☆地球環境変化への適応

・空気呼吸の効率を左右する火山活動などによる酸素濃度の変化への適応。酸素利用は窒素利用に比べ20倍ものエネルギーを作りだせるので、1%の変動でもかなり大きな影響がある。

☆陸上進出による乾燥化への適応

☆進化した他種(敵)の攻撃への適応

になる。そのような視点で進化を見ていく。

【3億7千万年前~3億5千万年前にかけて酸素濃度13%~18%に上昇】

☆新機能を獲得した両生類の登場

酸素濃度上昇の結果 [6]

→活動力が上昇すると共に、新機能(肺呼吸や四本足)が発達して両生類が登場した。

→高度な機能をもつ生物は1つの卵が大きくなり、一度に産み落とせる卵の数が減る。(魚:数千→カエル:数百)

大きくなった卵の胚を保護するために細胞膜では不十分。そこで羊膜が生まれた。

 

初期羊膜類 [7]

※定説では、単弓類・双弓類で区分。「弓」とは、物を噛む時の筋肉が外側に出っ張るのを防ぐための窪みのこと。その窪みが1つか2つかなどは進化史上どうでもいいこと。

【3億5千万年前~3億年前にかけて酸素濃度30%に上昇】

☆両生類から水辺から離れて生存できる爬虫類の登場

30%まで酸素濃度が上昇した結果

→活動力が更に上昇し、新機能が更に進化すると共に、大型化し活動領域が広がっていく=水辺を離(はな)れる

→両生類は卵膜のまま陸上に卵を産むと死んでしまうので、最後まで水辺から離れられなかった。

進化⇒乾燥適応で硬い殻をもつ卵を産む爬虫類が登場し、酸素濃度の上昇につれて大型化していった。

恐竜 [8]

【3億年前~2億5千万年前にかけて酸素濃度15%に急減】

☆火山活動による酸素濃度低下で生物は危機に陥る。

3億年前、超大陸パンゲアの分裂に伴う大規模な火山活動が数千万年に亘って続き、その結果、大量のメタンが吐き出され、メタンと酸素が化学反応を起こして、35%あった酸素濃度が15%以下にまで急激に低下した。火山の爆発の度ごとに寒冷化に襲われ、海流と風向きの変化によって乾燥化が起こる等、環境が激変し続けた。

☆爬虫類:大型化しているので酸欠の切迫度大⇒気嚢システムの獲得

この酸素濃度の低下に対応して爬虫類(→鳥類)は、より呼吸効率の高い気嚢システムを進化させた。この爬虫類の肺には前部と後部に気嚢という器官がつながっており、空気は後気嚢→肺→前気嚢に還流する。それによって、息を吐いている時も肺に新鮮な空気を流すことができる連続呼吸機能を獲得した。これによって、低酸素下でも素早く動くことができ、爬虫類は繁栄してゆく。

また、大型化した恐竜は、含気骨という中空(中に薄いひだのようなものはある)の軽量で強固な骨を形成し、気嚢が体内に張めぐされる際の送気管のルートにもなる。それが、あとの時代に小型化した鳥類が飛行能力を獲得する際の一要素である、『軽量化』にも寄与するようになる

 ※『 [9]恐竜は、鳥類に繋がる気嚢システムで低酸素環境を生き延びた』 [9]

鳥類 [10]

☆哺乳類・酸素濃度低下で子を産み落とすまで体内で酸素を供給し続ける胎生機能を獲得。

卵膜類(両生類の一部)の中から、寒冷化に適応して体毛、夜行性に対応して嗅覚とヒゲ(触覚)、細菌から身体を守るための汗腺機能を獲得した原哺乳類が登場した。(しかし恒温機能を獲得していたかは不明。)

さらに外部から侵入したウイルスのDNAによって汗腺機能が進化して授乳機能、胎盤を獲得した(第3の進化様式)。なお、ウイルスの侵入などは日常茶飯事で、ほとんどは適応できずに死んでゆく。しかし、適応できれば前述の大進化につながることがある(ex.ミトコンドリアや葉緑体)

エオマイア [11]爬虫類(卵殻類)は変温動物で、寒冷地では卵をかえすことができないので、暖かいところでしか生息できない。そこで、弱者であった哺乳類(卵膜類)は、爬虫類(卵殻類)から身を守るために、気温が下がり動けなくなる爬虫類に適応して、夜行性になり寒冷地に逃げ延びて行った。

十分な酸素を得られなくなり、エネルギーも運動量も低下してほとんどの哺乳類は絶滅したが、小型のものだけが生き残り、呼吸効率を高めるために横隔膜を発達させた。更に哺乳類は、産み落とすまで酸素を補給し続ける胎生機能を形成していった。

【1億8千万年前以降、再び酸素濃度21%にまで上昇】

☆大型爬虫類から逃げて、寒冷地に向かい恒温機能を獲得した哺乳類。

爬虫類は餌が増え繁殖していくが、既に大きかったので大型化はしない。

大型爬虫類の大量繁殖の中で哺乳類は、①岩の隙間や木の葉の下に隠れる、②夜行性になる、③もっと小型化する、④爬虫類が来ない寒いところに逃げていく、などの適応をした。

酸素濃度の上昇で変温動物である爬虫類のいない温帯では、哺乳類の活動力も上昇し大型の肉食哺乳類が登場した。そこで、弱いものはさらに寒冷な寒帯に逃げていった。そこで、体温を維持するために恒温機能を獲得した。

しかし、恒温機能については現在の科学では全く説明できない。

例えば、佐野千遥が指摘するように体温36度を保つには6万キロカロリー必要なのに対し、一日の食物摂取0.25万キロカロリーで、24倍もの差があることも説明できない。更には、何年間も食べずに生きている人が何千もいるが、彼らがどのようにして生きているのか、現在の科学では全く説明できない。

要するに、人類は人体の仕組みについてさえ、ほとんど何も分かっていない。現在、恒温化や不食の人を説明できそうなもっとも有力な説は、常温で核融合(元素転換)することによって、大きなエネルギーを生み出すことのできる腸内細菌の力を借りて、恒温動物(or不食の人)になっていったという説である

【6550万年前、隕石が衝突し、粉塵が舞い上がる。】

☆恐竜の絶滅と哺乳類の適応放散

それによって日光がさえぎられ、地球は急速に寒冷化した。しかし、全生物が絶滅したわけではなく、植物がかろうじて光合成できるくらいの暗さだったと考えられる。

→恐竜は卵が孵らなくなって絶滅する。つまり、この急速な寒冷化は当時生きていた恐竜の成体が死に絶えるまで=30~50年間くらい続いたと思われる。

敵がいなくなって哺乳類はまず陸上で拡散していく。しかし、同時に木の上に向かった原猿と海の中に向かった海生哺乳類もいるが、彼らはなんで樹上や海に向かったのか?

→大型の肉食哺乳類から逃げるために、樹上や海に逃げ延びた。海に向かった海生哺乳類についてはそれ以外に食糧不足の可能性も考えられる。

 

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