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微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・クオラムセンシングを利用した細菌集団の統合という適応戦略

Posted By seibutusi On 2014年9月9日 @ 9:39 PM In ⑩微生物の世界 | No Comments

imagesSXEXZ3GK13 [1]『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・自然の摂理に則した生き方を創造するために』 [2]では、私たちが今まで考えていた以上に細菌の生息範囲は広く、生命誕生時の苛酷な環境がいまだに残っている地中深くや深海の熱水噴出口などに、現在も数多く繁殖していることをお話しました。

共生する微生物

画像はこちらからお借りしました [3]

例えばそれは、人類の腸内にも細菌が数多く生息しており、人類進化に影響を及ぼしていることや、近代社会のエネルギーの源である石油も、細菌の分解によって作り出された可能性が高いことなど、直接的、間接問わず、細菌は私たち人類にも影響を及ぼしていることです。

これらの事実は、細菌が人類も含めた壮大な生命進化を支えてきたという新しい生命観から、微生物と共生を前提にした代謝理論を構築していく必要があることを示しています。そこで今回は、まず、その細菌たちは、どのような戦略で適応してきたのかについて、考えていきたいと思います。  

1.クオラムセンシングを利用した細菌集団の統合という適応戦略

ProteusMirabilis_Schwärmen [4]

細菌の群集は、細菌がただ山ほど集まった烏合の衆ではありません。彼らには微生物集団の中で細胞同士が互いにメッセージを伝えるシステムを持っています。

そこでは、同類の細胞や、異種の細胞が互いに反応しあって、集団の行動を変えて適応するという戦略をとっています。このメッセージ伝達システムは、クオラムセンシング(菌体密度感知)と呼ばれます。

プロテウス族の縄張り闘争

画像はこちらからからお借りしました [5]

それは、細胞がアミノ酸に似た信号分子を分泌し、それが届く1マイクロメートル程度の範囲にある隣の細胞の表面にある受容体たんぱく質で感知され、他の細胞が近づきすぎたと認識することなどです。

そうすると、異なる種類の細菌集団ごとに、独自の方法により行動を変えて行きます。例えば、遊走して密度の低い場所に移動するもの、物質の表面にしがみつくもの、池の水面を覆い尽くして、池全体の生態系をコントロールするものなど、多種多様な適応方法をとっています。

 具体的事例として、遊走性の細菌のプロテウス族は、群の密度が高くなると自動調整を行います。例えば、培地内で繁殖が始まると、集団密度が高くなり栄養が不足してきます。そのとき、成長を止めるのではなく、群としての増殖方法の変更を行い、新しい方法で繁殖を続けます。

 その際に、まずは円形コロニーの一番外側の細胞の長さが10~20倍になり鞭毛が生えてきます。そして、それらの細胞が、10個程度のチームを作り、細胞一個の時の50倍くらいの速さで外側に移動します。

 そして、コロニー本体からある程度離れ、十分な栄養が確保できるようになると、移動をやめて、また増殖を始めます。そしてまた密度が上がると、移動を始めます。この繰り返して、コロニーは世代ごとのきれいな同心円を作りながら増えていきます。

また、別のコロニーと接近すると抗菌性物質を互いに出し、縄張り闘争を行います。その結果、いくつもの同心円が接する部分で増殖はとまります。

このように、食料不足という外圧条件に適応するため、移動に特化した細菌が出現し、栄養が確保できる場所に移動します。そして、移動が完了するともとの細胞に戻り増殖を始めるという戦略をとっています。

これは、細菌は決して細胞単体で生きているだけではなく、細菌においても集団の中で、固体の機能分化が発生し、秩序だった行動をとるという、多細胞生物にも似た高度な生態を有していることを示しているのです。

 


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