「健康・医療分野における微生物の可能性を追求する PROLOGUE [1]」で、食品ラボと肌ラボの2つのテーマで実験することを報告しましたが、今回はその実験で使うユーグレナ(ミドリムシ)の紹介です。
最近、ユーグレナ(ミドリムシ)は注目されているようです。健康食品として、そのまま飲むほかにも、ユーグレナ入りの食品や、化粧品も販売されています。将来は、ジェット機の燃料もミドリムシから作ることを目指しているそうです。ユーグレナにどんな可能性があるのか見ていきます。
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1.なぜミドリムシが注目されているのか
まず、どれくらい注目されているかですが、ユーグレナを生産している株式会社ユーグレナの売上高は過去5年間で2億円から20億円へと10倍の生長。今期14年9月期は前期の1.5倍の30億の売り上げを見込んでいます。
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なぜ、これだけ売れているのか。理由の一つは株式会社ユーグレナが大量生産に成功し供給量が増えたからですが、需要がなければ当然売れません。日系トレンディーの記事では、成功の理由をユーグレナの栄養成分に着目して紹介しています。
ミドリムシは、植物と動物の両方の性質をあわせもち、59種類の栄養素を持つ珍しい藻類。好調の要因として、ミドリムシの健康効果に注目する人が増えていること、サプリメントなどに比べて同商品のほうが価格的に求めやすく、コンビニエンスストア・量販店などで手軽に購入できることではないかと、同社では見ている。世界初のミドリムシ入りヨーグルトが売れ過ぎて一時品切れ [6]・「ミドリムシ」は“万能成分”!? ユーグレナ関連食品急増の理由4 [7]
豊富な栄養素を比較的安く手軽に購入できるのも魅力ですが、私がユーグレナのホームページを見て魅力を感じたのは、環境にやさしいことです。太陽光と二酸化炭素からつくられる自然にやさしい製造法で、天然由来の食品であるという安心感があります。また、社長がユーグレナを商品化するきっかけが世界の食糧問題を解決したいという思いだったという創業のエピソードも共感できます。志を感じる企業です。
2.ミドリムシのすごいところ
ミドリムシのすごいところ、まずその栄養成分です。ホームページ [8]から抜粋します。
「ミドリムシは藻の一種ですが、植物と動物両方の性質を持つため、野菜に多く含まれるビタミンやミネラルなどの成分に加え、魚に多く含まれるDHA、EPAといった不飽和脂肪酸なども持っています。ミドリムシの持つ栄養素はなんと59種類。植物にある細胞壁がなく、効率的な栄養吸収が可能となります。パラミロンは油分などの不要な物質を排出するだけでなく、プリン体を摂取した時の吸収を抑制します。乳酸菌の働きを活性化させる効果で有名なオリゴ糖よりも、乳酸菌の活性化を促す力があるとの研究結果が出ています。」
製造方法の特徴は、水と太陽光と二酸化炭素から作られるということと、稲に比べて十数倍の生産効率があること、大気の2000倍の二酸化炭素濃度の中でも生育可能なことだそうです。ミドリムシはどこにでもいる微生物で飼育は簡単に思えますが、天敵の微生物の繁殖を防ぐのが困難で、大量飼育に成功したのは世界で1社しかありません。その、製法の秘密を守るために特許も取得していないそうです。
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さらにすごいのが、世界の食料問題や、エネルギー問題も解決する可能性があること。まだ、生産コストが高く、食料やエネルギーとしては商品かできませんが、材料は水と太陽光と二酸化炭素ですから大きな可能性を秘めています。具体的には、JX日鉱日石エネルギーらと共同でバイオジェット燃料の開発を、いすゞ自動車次世代バイオディーゼル燃料の開発を進めています。
3.ミドリムシを使ったどんな商品があるの?
健康食品としては、ユーグレナの粉末を直接摂取するのがメインの商品です。商品かされた当初は他社からのOEM生産が主体だったようですが、今はユーグレナ株で直接商品を販売しています。ざっと調べただけで20の商品が見つかりました。
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他にも、いろいろな企業と提携して様々な商品を開発しています。「飲むユーグレナ」「飲むミドリムシ」 [30]の飲料をイトーヨーカドー165店、ナチュラルローソン105店舗で販売。「ミドリムシカラダに委員会 [31]」は、イトーヨーカドーの呼びかけにカゴメ、ロッテ、カルビー、ブルボン、永谷園、岩塚製菓、理研ビタミン、モントワールの大手食品メーカー8社が賛同して組織化した団体でシリーズ商品をイトーヨーカドーの食品コーナーで展開。山手ラーメン本郷 安庵の「みどりラーメン [32]」、東急ハンズ渋谷店ハンズカフェで提供されている「ハンズシェイク(ユーグレナ) [33]」東京ワイン酒場 アゲマキ「ミドリムシハンバーガー [34]」原宿『パフェスタジオ』の「ミドリムシ入りソフトクリーム [35]」名古屋市科学館の「みどりむしベーグル [36]」中野うどん学校(香川県)「ミドリムシうどん [37]」などなど、きりがないのでもうやめます。
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4.自分たちでも商品化できるのか。
ミドリムシの飼育ぐらい自分たちでもできるのではないかと思いますが、実は株式会社ユーグレナさんは東京大学農学部でユーグレナを研究されていた方が創業メンバーで、大量生産に成功しているのは世界でここだけ。簡単にできるとは思わないほうがよさそうです。ただし、材料のミドリムシは売ってもらえるようですし、OEM生産もお願いできるようです。OEMの紹介記事の中には、1000円の卸値で6000円で売れるというような記載もありました。既に、競争は厳しくなっていますが、アイデアしだいではヒット商品を売り出せるかもしれません。参考:ミドリムシは世界を救う [39]・株式会社ユーグレナIR担当者インタビュー [40]
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