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太陽系を探検しよう-25.地球生命の起源(6)エネルギー代謝とは何か

Posted By okamoto On 2012年12月24日 @ 10:54 PM In ⑫宇宙を探求する | No Comments

前回 [1]は、進化系統の解明から、生命の共通の祖先(=生命の起源)は、あらゆる嫌気的(酸素を使わない)化学合成エネルギー代謝パターンを持つ超好熱菌であることを見ました。
続いて、では最古のエネルギー代謝とはどのようなものであったかを探りたいと思いますが、そのためにもまずは、エネルギー代謝とは何かの基礎を押さえたいと思います。
 
 
1 代謝とエネルギー代謝
 
すべての生物(細胞)は、生きて活動するためにはエネルギーを必要とします。
このエネルギーは物質中に蓄えられており、物質を分解すれば取り出され、合成すれば再び物質に中に蓄えられます。
(下図はこちら [2]からお借りしました。)
 
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応援、よろしくー


生きている細胞内ではつねに物質の分解と合成が起こっているが、このような物質の化学的変化全体を代謝(または物質交代)といい、代謝と同時に起こるエネルギーの出入りや変換をエネルギー代謝という。
 
代謝には二つの方向がある。
同化=物質の合成: 吸エネルギー反応(エネルギーを物質中に吸収する)
    :光合成・窒素同化など
異化=物質の分解: 発エネルギー反応(物質からエネルギーを取り出す)
    :発酵・呼吸
 
 
2 代謝は酸化還元反応
 
代謝では、酸化と還元という化学反応が頻繁に起こるので、次に酸化還元反応とは何かを見ます。
 
細胞内で起こっている酸化と還元には、次の3通りの起こり方(定義)がある。
①ある物質が酸素と化合することを酸化といい、酸素を失うことを還元という
②水素化合物から水素が離れること(脱水素反応)を酸化といい、水素と結合することを還元という
③ある物質が電子(e-)を失う反応を酸化といい、電子を受け取る反応を還元という
 
image20121225005.gif
(図はこちら [3]よりお借りしました。)
 
地球の生態系(食物連鎖)においてエネルギー媒体となっているのは、分子の最外殻にあって酸化還元に寄与している電子だが、電子は単独では存在できないため、多くの場合水素原子がその運搬役として機能している。即ちエネルギー媒体は大きくは水素と見なしてよい。
 
では次に、酸化還元反応の具体例を以下に見る。
図は、すべての物質が持つ「位置エネルギー」という潜在エネルギー(酸化還元電位とも言う)の一例で、通常反応に与る原子や分子の最外郭の電子が、反応に関わる際のエネルギーレベルを電気的ポテンシャルとして表現したもの。(図は高井研著『生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る』より。)
 
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この潜在エネルギーがマイナスになればなるほど(図では上に行くほど=エネルギーが高く不安定で)エネルギーを放出したくて、
逆にプラスになればなるほど(図では下に行くほど=エネルギーが低く安定で)エネルギーを受け入れたい
(注:潜在エネルギーは、負の電荷をもつ電子の電位で表現しているので、マイナスが大きいほどエネルギーが高いという、直感的な印象と相反するので注意。)
 
図の左側は酸化反応、右側は還元反応で、可逆の場合は同じ高さになっている。
 
左側の酸化と右側の還元が反応したとして(酸化還元反応)、右下がりの場合は、エネルギー放出量に比べてエネルギー受入量が少ないので、余剰のエネルギーが基本的には熱となって発散する(発熱反応)。
例えば、水素と酸素が反応した場合(図の赤線の反応)、急な右下がりの坂で、すごいエネルギーが余り爆発する。
 
逆に右上がりの場合は、エネルギー放出量が少なく受入量が大きいので、エネルギーが足りない(吸熱反応)。よって何かエネルギーを足さないと反応は起きない。
例えば、図の青線の反応では、水の電気分解のように、わざわざ電気というエネルギーを与えることによって、水から水素を作っているのである。
 
以上のように、エネルギー代謝とは、左側の出発物質を右側の出発物質で酸化したときに、右下がりになる反応が基本であり、そのとき放出されるエネルギーを使って、「アデノシン三リン酸(ATP)」を合成する作業なのである。
 
(補足)図の左側の上のほうにある出発物資が重要で、冒頭で「エネルギーは物質中に蓄えられており」と書いたとおり、一番上の有機物が最も高エネルギー。また、無機物では水素が最強であることが分かる。
 
 
3 ATP
 
%EF%BC%A1%EF%BC%B4%EF%BC%B0%E3%81%A8%EF%BC%A1%EF%BC%A4%EF%BC%B0.gifすべての生物は有機物などから取り出したエネルギーをそのまま使わずに、必ずATPに蓄えてから使う
ATPは、アデニン、リボース、リン酸の3分子からなる非常に反応性の高い化合物で、生体エネルギーは、ATPの末端のリン酸エステル結合の部分に貯蔵される。
 
ATPからリン酸が1分子はずれて「アデノシン二リン酸(ADP)」になるとき、7.3[kcal/mol]のエネルギーが放出される。
逆に同じだけのエネルギーを取り込めば、ADPとリン酸からATPが再生される。
(右図はこちら [4]よりお借りしました。)
 
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以上でエネルギー代謝の半分は理解できたと思います。
長くなったので、あとの半分は次回にします。お楽しみに
 
(参考)
高井研著『生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る』
水野丈夫・浅島誠共編『理解しやすい生物Ⅰ・Ⅱ』
水質管理の基礎科学大綱 第一部 基礎編 [5]


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[2] こちら: http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0340/contents/f3/04/f31100.html

[3] こちら: http://www.eonet.ne.jp/~hidarite/dokugeki/kagaku04.html

[4] こちら: http://univers.sakura.ne.jp/minus-6.html

[5] 水質管理の基礎科学大綱 第一部 基礎編: http://www.geocities.jp/acaradisco55/Taikou/science.html

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