2013-09-12

言葉の不思議3:言葉とミラーニューロン・ミラーシステム

自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ているときと、その両方でまったく同じ活動電位を発生させる神経細胞が、1996年にマカクザルで発見されました。この細胞は後に「ミラーニューロン」と命名されました。最初に発見されたマカクザルのミラーニューロンは下図のF5と呼ばれる領域に分布しており、それがちょうどヒトのブローカー野(=運動性言語中枢)の位置にあったため、言語の習得や発達に大きく関わっている可能性も当時から予測されていました。

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その後、ミラーニューロンには脳神経系以外の分野(ex.発達科学や心理学)の研究者たちからも注目が集まり、ヒトの脳における実験・観察も急速に進んできました。ただ、ヒトの場合はマカクザルのように脳内に直接電極を差し込んで調べる訳にはいきません。したがってfMRIやPETなどの画像技術を駆使しての実験ですから、ミラーニューロンという“細胞”の存在が見つかっている訳ではありませんが、自他の区別なしに活性化する脳の状況は確認されています。その意味で、ヒトの場合は脳全体が『ミラーシステム』に基いて働いているという表現の方が適切かもしれません。
何れにしても、現在ミラーニューロンorミラーシステムの存在はほぼ認められており、仮説も含めて以下の4点がミラーニューロンの機能と言われています。
  1.他者の意図の理解
  2.自身の情動とつながって共感を形成
  3 それまでの体験や行動から他者の考えや欲求を推測
  4.言葉の発達への関与や自閉症との関連

その中で最も物証に乏しいということで、学者の間でも賛否両論となっている言葉とミラーニューロンの関係を今日は考えてみたいと思います。
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  投稿者 staff | 2013-09-12 | Posted in ④脳と適応1 Comment »