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脳の進化史(2) 外識機能と判断機能の根源は膜(皮膚)

浮遊するクラゲ。約10億年前からほぼ姿を変えずに生息しているそうです。

心臓も血管も脳もない生物、クラゲ。しかし、光の明暗、音の高低を感じとるそうです。生命進化において、脳が出来る前から皮膚は存在していたので、皮膚は「0番目の脳」とも呼ばれています。

皮膚の存在は自分の内と外を区別するために不可欠で、もし皮膚感覚を失うと「自分」を認知できなくなってしまい、「自己」を喪失してしまうのです。そんな「皮膚」には、目でなくても“光”を捉え、耳でなくても“音”を聞き、舌でなくても“味”を知るという感覚が備わっていることがわかってきたそうです。


全生物の体内と外部環境の境界に存在する「皮膚」。

人類の皮膚に向かう前に進化史上の皮膚の起源となっている「膜」から見てみたいと思います。
生物進化の歴史は、 アメーバなどの単細胞生物から始まります。単細胞生物には行動を判断する脳がありませんが、 それでも自らがおかれた環境を知覚判断し、環境に適応してきました。

原生動物である単細胞生物のゾウリムシが物体に衝突して方向変換する行動や、捕食者に襲われて遊泳速度を速めて逃避する行動は、細胞内の生体電位を利用して引き起こされることが判明しています。ゾウリムシの静止電位や活動電位、先端部や後端部の機械刺激に対する脱分極性と過分極性の電位変化、体内のCaイオンによる繊毛打の制御など、まさに神経系の神経細胞・感覚器・効果器と同じ仕組みが見られます。このような仕組みは人類でも基本的にかわりません。
つまり、細胞生物の皮膚に相当する細胞膜が、外部環境を知覚し、判断しているのです。
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画像はこちら [1]からお借りしました。

皮膚は自己と環境を隔てる境界としての役割をもっており、 自己の内部の状態や、外部環境を知るセンサーとしての役割と同時に判断機能をも発達させました。

つまり、単細胞生物には判断機能はあるのです。は毒と栄養(必要物と毒)をで識別し、細胞内小器官に伝達します。この際、伝達物質や電位差が用いられています。

また、多細胞化するとタンパク(リガンド=接合タンパク)を媒介として、隣接細胞間とやり取りを行いますが、細胞が機能分化すると(接合できなくなるので?)ホルモン分泌細胞が登場し、多くの細胞に伝達物質を伝える機能が発生します。

外界との境界であった膜が進化と共に外皮(皮膚)、腸へと進化していきます。
次回は、「皮膚」について見てみたいと思います。

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