足で枝をつかめなくなった原オランウータン(初期人類)は、地上で生活せざるを得なくなり、活力源であった「同類圧力」と「充足対象」を全面的に喪ってしまいました。その結果、強烈な虚無感や絶望感に苛まれたことは想像できます。
そこで初期人類(地上に落ちたのはメス)は全存在をかけて同類を注視し、樹上にいるアンフランジオスを挑発して遭遇を試みたと予想されます。初めてオスが訪問してきた時の感情は想像に余るものがあります。
この時に、同類が居るだけで満たされる=有難いという感情が生起したと思われます。そんな中で得られた同類との共認充足が彼らの活力源となり、先日のブログでは、初期人類のオスメス関係がオランウータン時代からいかに変わったかを投稿しました。
今回は「親子関係の変化」について取り上げたいと思います。
〇親子関係はどのように変化したか?
初期人類(メス)は訪問してくれたアンフランジオスに対して、同類が居るだけで満たされる=有難いという感情を受け、オスはメスを庇護する意識が形成されました。
そのオスとの間に子どもが生まれることで、最大の懸念だった同類欠損も解消されます。ただ生まれてきても、厳しい外圧下ではオスも子どもも生き延びるのは難しい状況。
だから危険な食糧探しを担うオスに対しても、子どもに対しても、ただ「生きていてくれることに対してありがとう」という次元に進化し、より一層「感謝回路」が強化されたと思われます。そして、このサイクルを何世代もかけて徐々に太くしていった可能性が高いです。
〇母子密着期間はどうなったか?
オランウータンは体制感覚を磨く必要から、密着期間を7年と引き延ばし、そのスキンシップによって共認機能を発達させました。それに対して、地上では体制感覚を樹上ほど必要としません。またオランウータンは5年に1回出産しているのに対し、現人類は年子もいることから、授乳期間中も排卵できるようになり多産化戦略に切り替えていることが分かります。
これらのことから、初期人類の母子密着期間はオランウータン時代より短くなったと思われます。ただ短い密着期間でも、先述の「感謝回路」の形成に伴い、オランウータン時代より共認機能を十分に発達させることができたと思われます。
次回は、初期人類になって、成体のオス同士の仲間関係(=性闘争)はどのように変化したのか?を扱いますので、お楽しみに!