- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

哺乳類の知能進化③~哺乳類の遊びの役割とは?~

今回は「哺乳類の遊びの役割」についてみていきます。

ほぼすべての哺乳類は子どもも大人も遊び行為を盛んに行っています。
じゃれ合いをしたり、追いかけっこをしたりする姿は頻繁に見られます。
うさぎはボクシングをして遊んだり、ネズミはかくれんぼをして遊んでいるんです!
ゾウはなんとおしくらまんじゅうをしたりもします!
哺乳類の遊びは本当に多様です。哺乳類も無意味に遊んでいるとは思えません。
「哺乳類にとって遊びは知能の発達上、能力形成上どのような意味を持つ」のでしょうか?

哺乳類のほとんどは、可変性・組み換えが可能な状態、つまり未熟な状態で生まれてきます。
哺乳類は、生まれてから【後天的に】生き抜く力を身に着ける戦略をとったのです。
生き抜く力を身に着けるためには、生まれてくる外圧状況も変化します。
常に変化し続ける外圧に対応するには、【後天的に】生き抜く力を身に着けることが必要なのです。
それを哺乳類は【遊び】の中で行っているのです!

■【後天的に】身に着けるとは具体的にどういうことなのか?

生まれたときには神経細胞は存在しますが、乳児期にはそれらはほとんどつながっていません。(そのため記憶もほとんど覚えていない)
生後の訓練や経験によってその回路を繋ぎなおさなくてはいけないのです。
つまり後天的な訓練の場が求められます。
哺乳類は状況に合わせて「どうする?」を考えて、外圧状況に柔軟に適応できるような戦略をとったのです。
その訓練の場が「遊び」なのです。

神経回路を繋ぎなおすためにまず【遊び】の前に、赤ん坊は周りの大人を【真似】することで様々な行為を習得していきます。
生き抜く術を周りの大人、主に母親の真似をすることで身に着けていきます。この真似をすることが赤ん坊にとってはとっても幸せなのです。
これを真似【充足】本能と呼んでいます。

さらに後天的な脳回路と運動回路の形成の様式として開発されたのが真似【充足】本能を進化させた、遊び【充足】本能
つまり真似で覚えた生きる術を今度は遊びの中で定着させていきます。
真似で覚えたことを遊びの中で試行錯誤し多様に組み換えていくのです。この遊びが訓練と言えます。
哺乳類の子どもたちにとっても、遊びは楽しいもの!この楽しい感情=遊び充足を得るために遊ぶのです。
遊びには少なくとも3つの系統があると考えられます。

①集団行動の訓練(防衛訓練・逃避訓練、狩りの訓練)
②性闘争訓練(オス中心)
③親和行為(スキンシップ)

将来必要な力に合わせて遊びも多様化しているのです。

後天的に様々な身体機能も含めて身に着けるなら、地獄のような特訓でもいいはず、、、。
ですが、常に生きるか死ぬかの高い外圧がかかっているのに、そこまでして身に着けたいとは思わない。
遊びを通して生き抜くための力を何度も反復したり、工夫をしたりして、自在に適応できるまで、楽しんでやる、楽しいから遊ぶ、それが身につくのです。

■なぜ「DNA変異」ではなく、知能進化「脳回路の組み換え」戦略をとったのか?
「DNA変異」は、に基づく進化は基本的に賭け!
遺伝子を組み替えるので相当な時間がかかり、さらに不適応となることがほとんどなのです。
それに比べて知能の進化後天的な「脳回路の組み換え」はどうでしょう?
スピードも速く、組み換えも容易なのです。
脳は探索し、それに合わせて判断をして、さらに行動するためにあります。
そのためには柔軟に変化しないといけない。
そこで「DNA変異」ではなく、知能進化「脳回路の組み換え」戦略をとったのです。

その意味でも哺乳類の知能進化はDNA進化に次ぐ「脳回路進化」と呼べるのではないでしょうか。
今回は以上です。次回をお楽しみに^^

[1] [2] [3]