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自然の摂理に則った「日本文明(木の文明)→地域循環共生社会」に向う

生物史を通して、植物(森林)は地域ごとの自然共生や自然循環社会の中心的存在であった。

有史以来、西洋は石の文明、日本は木の文明と呼ばれている。

一方、近代社会は、西洋文明の元で「鉄と石油を支配する産業資本」によって制覇されてきた。戦後の市場は化学工業界の送り出す石油化学製品(医薬品、化粧品、合成繊維、肥料、農薬、プラスチック、原子炉)が中枢を担っている。

ところが、十数年前から「低炭素社会・循環型社会・自然共生社会(環境省平成26年白書)」と言われ、コロナ後人々の収束先も「地域循環共生社会」に向かっている。

人類は、滅亡の危機意識を本能的に感じ、生き残りをかけ、自然の摂理に則った「日本文明(木の文明)→地域循環共生社会」に向かい始めたのではないか

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「鉄と石油の文明」から「木の文明」 [1]より

我が国は鋼鉄を作るために鉄鉱石を輸入し、各種プラスチック製品を作るために石油を輸入している。CNF(木を材料としたセルロースナノファイバー)の技術革新により、これらの原料輸入を大きく削減できる。エネルギー用途に使う石油輸入も、薪や木片チップなどを用いたバイオマス発電や、小水力発電、潮流発電など、日本の自然を活用したエネルギー利用で減らしていくことができる。 海外の原油や鉄鉱石に依存してきた我が国の産業形態を、林業、製紙産業、高分子化学産業、部素材加工業、自動車・家電・建築産業が垂直に繋がった自国の持続型資源による21世紀型脱炭素産業形態へと大きく変革できる。

かつては、家屋や家具、道具の原材料は木材であった。エネルギーも薪や木炭など、山林から得ていた。近代に入って、原材料もエネルギーも輸入品に代替されてしまったために、経済の中心は臨海部に移り、経済的役割を失った山村は過疎化していった。 CNFの技術革新によって、海外から輸入される石油や鉄鉱石を樹木で代替し、山村を再び我が国の経済構造の中心に引き戻すことができる。それによって、人口も臨海から山村に逆流し、現在の行き過ぎた都市の過密化を変えていくこともできる。森林大国日本は、その「隠された日本の財産」を活用して、新しい「木の文明」を築くことができるのである。

注)CNF(セルロースナノファイバー)で我が国は資源大国に

木のいのちをさらに活用する画期的な技術革新が生まれようとしている。紙や綿花は植物の繊維をとりだして作られるが、同様に、植物繊維の主成分であるセルロースを1ミリの百万分の一のレベルで取り出した材料がCNFである。

CNFは樹木の強さを引き継いで、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強度をもつ。自動車のドアなどの車体材料に用いれば、2割程度軽量化できる可能性がある。また歯車や軸受けなども試作されている。建設も、CNFの構造材で骨格を作り、壁や床は愛工房で乾燥させた生きた板材、ガラスはCNFによる透明な代替材料を使えば、森林由来の材料で自然と人間に優しい建物ができる。 CNFは、プラスチックの代替材料としても使える。 森林の2/3を占めるスギやヒノキなどの人工林において木材の蓄積量が毎年7,500万立米増加している。木材1立米の重量を400kgとすると、その半分はCNFなので、人工林で毎年1,500万トンのCNFが蓄積していることになる。それは我が国における年間プラスチック消費量の約1.5倍の量に匹敵する。

つまり、現在国内で消費されているプラスチックはすべてCNFに置き換えることも可能なのだ。その原料となる木材パルプは国産原料であり、100円/kg以下という安価で、大量かつ安定的に入手できる。その分の石油輸入も不要となる。またCNFは従来の紙と同様の廃棄・リサイクルが可能であり、そのための技術や社会インフラがすでに確立している。
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