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人類の直立二足歩行 ~その恩恵と代償~

>足の指が先祖返りして、それ以前の獣たちと同様、足で枝を掴むことが出来なくなったカタワのサル=人類は、樹上に棲めるという本能上の武器を失った結果、想像を絶する様な過酷な自然圧力・外敵圧力に直面した。そこで、本能上の武器を失った人類は、残された共認機能を唯一の武器として、自然圧力・外敵圧力に対応し、そうすることによって、共認機能(≒知能)を更に著しく発達させた。 <( 実現論 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=6 [1]

人類の共認機能(≒知能)の進化には、直立二足歩行への進化が大きく関わっているようです。
直立二足歩行は、人類の知能を飛躍的に進化させる一方で、身体上の代償も与えました。

直立二足歩行がもたらした恩恵は、
①前肢が解放され、道具の使用への下地ができた。
②内臓が下がり、言語獲得の下地(発声機構)ができた。
→その代償として、誤嚥リスクが生じた。また、難産となった。
③直立姿勢で、脳の拡大の下地ができた。

札幌西円山病院リハビリテーションセンターブログhttps://www.keijinkai.com/nishimaruyama/rehacenter/blog/resp11_201906.html [2]より、

直立二足歩行(1)~(3)

約600万年前に、人類の祖先と、類人猿(チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンなど)の祖先が分かれたと考えられてます。そこでの分岐点には、二足歩行が大きく関わってます。この二足歩行は、その後に劇的な変化を生み出しました。まず、二本足で歩くことで前肢が解放されます。そのため物を持って歩くことが可能となりました。これは結果的にそうなったと言うよりは、そもそも、この二足歩行自体が食べ物を上肢で運ぶことを目的としたと考える方が自然です。必要に迫られて、やむなく行ったのでしょう。チンパンジーはナックルウォークのため、小枝など小さなものを持って歩けます。ですから、これは二足歩行の前段階とも考えられます。また、人類の祖先の化石と、類人猿の祖先の化石では、骨盤の形が決定的に違います。直立二足歩行に重要な中殿筋の位置関係が違うのですが、これについては稿を改めて書きます。

常に直立姿勢でいる事に付随した効果として、重力の影響で内臓が下がります。横隔膜や肺も下がります。気管や喉頭も下がります。その結果、声帯から口までの空間が大きく広がりました。すると、ここに広い共鳴空間が生じます。このことで、色々な音色の使い分けが可能となりました。言語の下地ができた わけです。しかしながら、巧みに出来ていた「空気の通り道」と「食べ物の通り道」の立体交差が無くなってしまいました。このことで誤嚥の宿命を背負いました。骨盤の形については既に触れましたが、下がってくる内臓を支える「お椀」のような形になりました。このため骨盤の出口が小さくなってしまい、人間は難産となりました。誤嚥も難産も直立二足歩行の代償です。どちらも悪魔との取り引きのようなものです。でも、直立二足歩行は、それ以上の恩恵をもたらしました。

直立二足歩行に関しては、もうひとつ重要なことがあります。例えば、馬の姿を想像して下さい。大きな頭をしています。かなり重たいでしょう。四足歩行の体勢では、この重たい頭を支えるために力強い首の筋肉が必要です。この筋肉群のために沢山の酸素や栄養が必要です。生物として燃費が悪いということです。通常の哺乳類にとって頭が重たいことは生存上の不利益になります。ですから頭蓋内の脳が大きくなることが出来なかったとも言えます。一方、直立した場合はどうでしょうか。頭は、背骨のてっぺんにチョコンと載っていればいいのです。バランスがとれればいいので、首の筋肉はあまり太くなくてもかまいません。ですから直立姿勢の場合では、頭が重たいという事が生存上の不利益ではなくなりました。このことで、脳が大きくなっても構わないという下地ができました。

~中略~

このように、いくつかの偶然と言うか、多くの条件が重なりました。すべてが、直立二足歩行をきっかけ としています。脳の巨大化が可能となり、知能が一気に発達しました。上肢がフリーになったおかげで、道具を使えるようもなりました。言語を獲得したおかげで、一人の体験や知識を他者と共有することができるようになりました。さらに文字によって、これらの知識は蓄積され、空間的・時間的に広がりました。人間は単独で生活してたら、非常に弱い動物なのですが、社会を形成して強くなりました。

~中略~

付け加えてショッキングな話をしますが、そもそも黎明期の人類は、他の肉食獣の餌にすぎない弱々しい存在でした。あちこちで食べられてました。人類の方は、その肉食獣の食べ残しを探すのに必死だったのです。上肢を使って安全な場所に運んで食べてたのでしょう。奇異に感じますが、特に「食べ残しの骨」は貴重な食料だった そうです。他の動物は、骨なんて見向きもしませんから探せばいくらでもあります。たまに新鮮な肉が残っていれば儲けものでしょう。骨を石で砕くと、中には栄養満点の骨髄があります。もともと骨髄は無菌ですから、多少の炎天下でも大丈夫だった可能性があります。骨は天然の保存食なのです。このように私たちの御先祖は、はじめから今のように地球上で大きな顔して君臨していた訳ではなく、最初は肉食獣に怯える弱い存在であり、彼らの食べ残しを探し回る「残飯あさり」でした。

~以下略~

 

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