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進化生物学から見た「カタワのサル(人類)が生存出来た理由」 その3

Posted By seibutusi On 2020年3月5日 @ 9:30 PM In ⑧科学ニュースより | No Comments

 

進化生物学から見た「カタワのサル(人類)が生存出来た理由」 その3

洞窟に隠れ住む事で言葉を創出した。

>人間の新生児の脳は,未成熟な状態で生まれてきて, 生後に周囲からの音声刺激や言語刺激を受けることによって,言語のデジタル処理に必要な機能(たとえば母音や子音を聞き分ける能力(音素表),舌や唇の発声運動制御,文法書,脳内辞書)ができあがるという。これは,人類に特有のデジタル言語を処理するための中枢神経回路の進化である。

ゴンドワナランドの分裂と人類の誕生https://ci.nii.ac.jp/naid/10025572274

(得丸公明)より抜粋。

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【中枢神経回路の発達とデジタル言語】

人類と他の動物を区別する最大の違いは,コミュニケーションに用いる音声符号がデジタル式か,アナログ式かではないか。人類が文明を構築し,世界を支配できたのは,きわめて効率のよいデジタル方式のコミュニケーションを獲得したからだ,ということに最近私は気づいた。

デジタル符号といっても,単純な判断しかできないコンピュータが使っている0か1かの二元デジタルではない。ヒトは,離散的な母音や子音を用いて1音が約100種類の音節でありえる多元デジタル符号を使ってコミュニケーションを行なっている。我々の言語は, たとえば,アカ,アキ,アサ,アサイ,アサリ,アキタと,たった2音か3音の似たような音で,まったく異なった意味を持つ単語を無数にもてる。また,助詞や助動詞,動詞や形容詞の活用,敬語や代名詞などの複雑な文法規則を使いこなすことによって,多様・微妙な意味の違いを表現できる。

この多元デジタル言語が,いつ,どこで,どのようにして生まれたのか,どのような環境で生まれたのかと考えているうちに,分子生物学者による面白い論文に出会った。未成熟のリンパ球が外敵であるバクテリアに合わせて自らの形状を変える,免疫の抗原抗体反応で起きている「親和性成熟」に似た現象が,脳の中枢神経でも起きているというのだ

人間の新生児の脳は,未成熟な状態で生まれてきて, 生後に周囲からの音声刺激や言語刺激を受けることによって,言語のデジタル処理に必要な機能(たとえば母音や子音を聞き分ける能力(音素表),舌や唇の発声運動制御,文法書,脳内辞書)ができあがるという。これは,人類に特有のデジタル言語を処理するための中枢神経回路の進化である。

洞窟の中は,外部の音が遮断されることと,夜間は完全な闇の状態になるので,音によるコミュニケーションが発達しやすかったと考えられる。

東アフリカの赤道地帯のサバンナの地下トンネル網の中で一生を過ごすハダカデバネズミは,人類同様に体毛が極めて薄いのみでなく,晩成性で寿命が長く, 音声コミュニケーションが発達していて,身分制度をもち真社会性である。人間も洞窟の中で過ごしていたから,音声コミュニケーションが発達し,晩成化して脳の中枢神経が音声コミュニケーションのデジタル化に対応したのではないか。

人類進化の謎のひとつに,「おばあさん仮説」というものがある。これは,人類だけが,閉経後のメスが生き残って,「自らの繁殖から解放されたあと,その知恵と経験を生かして自分の娘や血縁者の子育てを援助することにより,結局は繁殖成功度を上昇させることができた」というものである。これは,ヒトの幼児が晩成化し,四六時中その面倒をみることが必要となり, 同時にいろいろなお話を聞かせてあげて言葉のトレーニングをする「孫の世話」の役割が,閉経後のメスに求められたためではなかろうか。

こう考えてくると,現生人類の最古の居住跡であるクラシーズ洞窟で,人類のデジタル言語が生まれた可能性は否定できない。そしてデジタル言語の獲得こそ, 現生人類の誕生を意味すると言ってよいと思う。

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