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人間の体温は19世紀以来、一貫して「下がり続けている」

人間の体温は19世紀以来、一貫して「下がり続けている」ことが判明。ついでに「人間の体温を維持しているのは腸内細菌」であることも知る

外部環境(人工環境)に順応した結果、肉体的には退化の方向へ進んでいるか?

>「室内の温度、微生物との接触の度合い、食物の種類など、私たちが生活している環境は大きく変わりました。これらすべてのことは、私たち人間は、進化においては単相型だったかもしれないですが、環境はそれを変える可能性があります。実際に、今回の研究が示すように、人間は生理学的に変化しています」

https://indeep.jp/human-bodie-temperature-have-steadily-grown-loewer/ より転載します

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人間の体は数世紀にわたって着実に冷え続けていることを証拠が示した

この 1世紀以上、人間の体温の健康の目安は 37℃とされてきたが(※日本では 36.5℃)、この目安の体温は調整されるべきではないのかと疑われることがあったが、最近の新しい調査では、人間の体温に関して驚くべきことがわかった。

この 37℃という体温を基準としたのは、19世紀のドイツの医師カール・ブンダーリッヒ(1815年 – 1877年)だった。

しかし、米スタンフォード大学の医学研究者であるジュリー・パーソネット(Julie Parsonnet)博士は「現在の私たちの体温は、そのようなものとは言えない部分があります」と言う。

「今では、人間の平均体温が 37℃だということは間違いだとわかっています」

しかし、カール・ブンダーリッヒ博士が、19世紀に人々の平均体温が 37℃だと定めた際には、何万人もの人々から、文字通り何百万回もの体温の測定をおこなった。その結果から出された数値なのだ。それだけに、このブンダーリッヒ博士が定めた人間の体温の平均が 37℃だということが今でも基準となっている。

ただ、ブンダーリッヒ博士による体温の測定で使用された体温の測定装置が正しいものだったかどうかには疑問があった。何しろ、19世紀は、まだ体温の測定が始められたばかりの頃だったからだ。

そのこともあり、最近では、ブンダーリッヒ博士が定めた 37℃という標準体温に対して批判的な研究も出ており、それらは、「標準体温を下げるべきだ」と呼びかけている。

パーソネット博士と研究チームは、この 19世紀に定められた標準体温が現代と適合しない理由が、体温測定技術にあるのか、それとも、実際の人間の生理的変化を反映しているのかに興味を持った。

それを調べるために、研究チームは、アメリカ南北戦争(1861-1865年)後の約 2万4000人の北軍の退役軍人の医療記録を掘り下げ、今から 1世紀前のこの時期の人間の体温がどのようなものだったかを調査した。

そして、これらの 19世紀の体温の数値を、1970年代前半のアメリカ国民健康調査の約 1万5000件の記録と比較し、その後さらに、西暦 2000年代前半の米スタンフォード大学の臨床データの 15万件の記録と比較した。

合計で、チームは 50万を超える個別の体温測定の詳細を把握した。

その結果、年代の経過とともに明確で有意な差が見出された。

19世紀の終わりのアメリカ人たちの体温は今より少し高かったのだ。たとえば、西暦 2000年代に生まれた男性の体温の平均値は、1800年代前半に生まれた男性の平均より 0.59℃低かった。

そして、10年ごとに 0.03℃ずつ平均の体温が下がっていたことがわかったのだ。

この低下は、女性でも同様で、1890年代以降 0.32℃低下していた。

それぞれのグループの体温は、ほぼ同じ精度の体温計で測定されていたと仮定すると、南北戦争の退役軍人たちの記録は、その後の数十年にわたり、緩やかに体温が低下していく傾向を見せていた。

このような着実な体温の低下の傾向は、体温測定技術の精度によって現れた可能性は低いために、実際に私たちの体温は毎年下がり続けてきたと考えられる。

私たちの環境の何が体温を低下させ続けているのだろう。

パーソネット博士は以下のように言う。

「私たち人間の生活は、生理学的に過去とまったく異なります」

「室内の温度、微生物との接触の度合い、食物の種類など、私たちが生活している環境は大きく変わりました。これらすべてのことは、私たち人間は、進化においては単相型だったかもしれないですが、環境はそれを変える可能性があります。実際に、今回の研究が示すように、人間は生理学的に変化しています」

ブンダーリッヒ博士が19世紀に定めた標準体温は調整が必要かもしれないが、今回の研究は、それが当時の体温計測器機の問題ではなく、私たち人間の体温が下がり続けていることによるものだと多くの医師たちに知らせることになりそうだ。

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