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過去の科学理論は、その根幹である対象世界の捉え方から大きな見直しを迫られている

『負の誘電率』『負の透磁率』『負の屈折率』『負の抵抗』『負の質量』のような物理量は、近代科学の主流理論から外れたところに、ジャンルを限って一部理論化されている。

メタマテリアル [1]

マイクロ波領域の“負の屈折率”を持つ人工物質メタマテリアル

(画像はコチラ [2]からお借りしました)

よって、常識(≒近代科学の主流理論)からすると、なんとも実態が掴みづらい観念だと感じてしまう。これは、その科学理論が間違っているか、科学的認識は全て現実を表わしているという認識論的誤謬=科学理論の神格化からくるものかの、どちらかになる。 ところで、現実世界で起こっている、エントロピーの法則に反する生命現象、フリーエネルギーに近い現象、ソマチッドや、それを見る可視光線による超高倍率顕微鏡のソマスコープなど、現代科学理論では説明できないものはいくらでもある。 そうすると、その理論が、近代科学の主流理論に照らして正しいかどうかという視点ではなく、現実の現象をどこまで説明できるのかの程度によって、その正しさを認めるという、対象と論理の関係性に照準を合わせた思考法への転換が必要になる。というよりも、これが本体の科学的思考法であるが、近代科学ではこれが欠如しているだけである。 そして、近代科学では説明できない物理現象を説明できる可能性の高い佐野理論等の新理論は、今までにない対象世界のモデルをともいえる新しい世界観を基にしているので、近代科学の主流理論に照らして理解しようとすると、今までの常識が通用しないという意味で難解だ。 しかしこれは、素粒子の世界から生命までの現象を、かなりの精度で言い表す理論であることは間違いなさそうなので、現実の現象をどこまで説明できるのかという視点で読み解いていくことで、その価値が見えてくる。 その理論の中には、先の『負の○○』という物理量が多用されており、新しい対象世界への道標になっている。それは、今まで近代科学が、その論理を通してのみ見てきた限られた世界を拡張し、現実世界に肉薄するというベクトルをもつ。この延長には、近代科学の欠陥を超えて、かつて人類が獲得した真っ当な科学的思考への回帰と、そこからの進化がある。 そこで、類似の理論や現象がないかと調べていくと、いろいろと、今までの理論では説明できないような現象と物理量が発見されていることが分かった。その一例が、負の屈折率という物理量で、これにより、ソマスコープのような可視光線の高倍率顕微鏡も理論的に証明できるようになり、今までの電磁気学がからむほとんどすべての理論は再検討を迫られてくる。 それは、電磁波理論を基にして生み出された相対論や宇宙論まで行き着くことになる。つまり、今や過去の科学理論は、すでに佐野理論がそうしているように、その根幹である対象世界の捉え方から大きな見直しを迫られている。

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光学技術に革命を起こすスーパーレンズ(リンク [3]) 40年前,ロシアの科学者ベセラゴ(Victor Veselago)は光学の世界を根底から覆す物質を考えついた。これまで知られている物質は,光の折れ曲がり具合はさまざまだが,屈折率はいずれも正の値をとる。ところがベセラゴは,これまで知られていない奇妙な光の折れ曲がり方を示す「負の屈折率を持つ物質」がどこかに埋もれていると考えた。 例えば屈折率が負の液体中では光が“逆戻り”したり,鉛筆を半分浸すと,浸したはずの鉛筆の先が液体表面から空気中に飛び出してくるように見るはずだ。彼は数年がかりで探索したが,そんな物質はどこにもなく,彼の予想はいつしか忘れ去られた。 しかし,最近の科学技術の進歩でベセラゴが夢見た物質の話が息を吹き返した。それはある特定の組成を持つ化学物質の塊ではない。微細な構造体を組み合わせた人工の疑似物質「メタマテリアル」だ。メタマテリアルの微細構造は自由に設計できるので,原子や分子にはない特性を持たせられ,普通の物質が持ち得ない電磁気的特性を実現できる可能性がある。 2000年,カリフォルニア大学サンディエゴ校のグループはマイクロ波に対して負の屈折率を示すメタマテリアルを開発,検証実験に成功した。以来,メタマテリアルの不思議な特性を利用した技術開発が世界各地で進んでいる。なかでも最も先端を走るのが「スーパーレンズ」だ。 屈折率が正の物質でできた普通のレンズでは,回折限界という理論的限界から光の波長よりも小さな対象の画像は得られない。しかし,屈折率が負のメタマテリアルでできたレンズ「スーパーレンズ」なら,この限界を突破し,もっと微細な構造物の像を得ることができる。 ナノテクノロジーにとって非常に魅力的な特性だ。一般に半導体の微細加工では,写真と同じ原理でレンズを使って回路パターンを縮小して半導体基板に焼き付ける(光リソグラフィー)。ナノメートルサイズの超微細回路を持つチップや,今より格段に記録密度の高い光ディスクが実現する。 2004年,トロント大学の研究グループはメタマテリアルを使って,無線周波数帯域で回折限界よりも小さな分解能を出せることを実験的に示した。 さらに2005年,ニュージーランド・カンタベリー大学とカリフォルニア大学バークレー校のグループはそれぞれ厚さ約40nmの銀薄膜を用いて,その波長よりも狭い幅の開口部から発せられた光(波長365nm)の像を得ることに成功した。銀薄膜は理想的なスーパーレンズではない。しかし,実質的に解像度を向上できたことで,可視光域でもスーパーレンズの基本原理が成り立つことを証明した。 スーパーレンズの実験成功によって電磁気学がからむほとんどすべての現象は再検討を迫られている。屈折や回折限界など,完全に解明されたと考えられてきた基本的光学現象でさえ,屈折率が負の物質の登場で新たな修正が加えられることになった。

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