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ヒツジの不思議(4つの胃のしくみ)

○ヤギとヒツジはどこが違う?
紙を食べるのがヤギで食べないのがヒツジ!
なんて思われるかも知れませんが、ヒツジも紙を食べることができます。
なぜなら、ヤギとヒツジは、ウシと同じ「反芻動物」の仲間だからです。

ヒツジとヤギ [1]

 

 

 

 

(写真はコチラ [2]からお借りしました)

 

○反芻動物とは?
牧場や動物園などで、のんびりしている牛やヒツジ、ヤギ、キリンたちが口を「もぐもぐ」させているのを目にしたことはありませんか?

これは一度食べた草を、お腹からまた口に戻して噛み直すことで消化をよくしようとしているところなのです。

反芻(はんすう)と呼ばれる行動で、草を主食にしている動物「草食動物」のなかでも、特にこの動作をする動物を「反芻動物」といいます。反芻動物のウシやヒツジ、ヤギは、人間が消化できない草やワラなどを消化して栄養にすることで、人間にミルクやお肉をあたえてくれる大切な家畜です。

そんな、反芻動物の「お腹の中=胃」はいったいどうなっているのでしょう?

○反芻動物の「4つの胃のしくみ」
草食動物の主食となる草は、食物繊維のかたまりです。
草に含まれている栄養はこの食物繊維の強固な壁(セルロース)に守られています。私たち人間は、これを壊して中の栄養を取り出すことはできません。もちろん、牛やヒツジ、ヤギといった反芻動物も実は、反芻だけではその固い壁を打ち破ることはできないのです。

4つの胃の模式 [3]

 

 

 

 

 

(画像はコチラ [4]からお借りしました)

反芻動物である牛やヒツジ、ヤギは4つの胃をもっています。反芻をして粉々にされた草は、まず1番目の胃に入ります。1番大きな、消化をするための主役である胃で、ルーメン(発酵室)と呼びますそこには、びっくりするほど多く(数億くらい)の細菌や真菌(カビ)といった微生物が住んでいます。この微生物は、動物が噛み砕いて粉々にした草が大好物でしかも食物繊維の壁を打ち破る(分解といいます)力をもっています。

「紙」は主に樹木の食物繊維(セルロース)を主成分としています。そのため「紙」を食べるには、このセルロースを分解し「消化」できなければなりません。私たち人間のような単胃動物には、セルロースを分解できませんが、反芻動物は胃の中の微生物の力を借りてセルロースを分解し「消化」することができます。

そこで、ヤギは紙を食べることができる、と思われるようになったのかもしれません。当然、同じ反芻動物であるヒツジも同様に紙を食べることが出来ますが、最近の紙は製造の過程で薬品などを使っているためむやみにヤギやヒツジたちに紙を食べさせないようにしましょう。

○ヤギとヒツジの違い
では、ヤギとヒツジの違いはあるのでしょうか?

動物形態学的には、
「尾が立っていて常におしりが見えているのがヤギ」「尾でおしりを隠しているのがヒツジ」、
目の下と蹄の間そして後あしの付け根に「分泌腺があるのがヒツジ」「分泌線がないのがヤギ」といわれています。

また、「好奇心が強いのがヤギ」「ヤギほど好奇心は強くないのがヒツジ」といわれ、好奇心が強いヤギの中で、特に飼いなされたものは人間が差し出したものを口にする習性があり、差し出されれば紙も口にすることもあるようです。

他には、このようにいろいろと違いがあります。

ヒツジとヤギの違い

 

 

 

(イラストはコチラ [5]からお借りしました)

 

 

他にも違いがいろいろ→「▼ヤギとヒツジはどこが違うの? [6]

良く観察してみると違いが見えてきます。今度、機会があったら牧場や動物園などに行って、ヒツジとヤギをよく見くらべてはどうでしょうか。

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