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生物学的元素転換・・・その1

福島原発の放射能除染対策として、表土を削り取るという方法で進められていますが、この方法では、根本的な対策になっておらず(放射能に汚染した土砂を別の場所に移すだけ)、かつ、遅々として進んでいません。

その中で、放射能を細菌で除染する方法が提起され、かつ、成果(除染)を挙げているのですが、その理論的根拠が解明されていないという、摩訶不思議な理由(*1)で広がりを見せていません。

*1:細菌で除染ができている事実を抜きにして、理論的根拠が解明されていないという理由で採用しないのは、摩訶不思議というか狂った判断としか言いようがありません。

恐らく、細菌が生体内でセシウム元素をバリウム元素に変換させるという事実が、明るみに出ると既得権者にとって都合が悪いことになる、ということを示しているのだと思います。

 

上記の摩訶不思議な理由を突破するため、生物学的元素変換メカニズムの追求を進めて着ましたが、一つの切り口として「常温核融合」が「生物学的元素転換」に非常に近い、即ち、元素転換は、超高温・超高圧下以外でも起こりえることを共に示唆していることを鑑み、常温核融合実験や自然界で「生物学的元素転換」と思われる植物・動物等の事象の紹介からスタートしたいと思います。

現時点で、再現性の高く、元素転換の解明度が高いと想定される、かつ、多くの研究者が取り組み始めている常温核融合実験の紹介から取り組みたいと思います。

今回は、先進技術研究センターの岩村康弘インテリジェンスグループの「重水素透過によるパラジウム多層膜上での元素転換の観測」を紹介させて頂きします。

■実験方法

元素転換 1-1 [1]

 

元素転換 1-2 [2]

 

上図に示すようにPd(パラジウム)薄膜とCaO(酸化カルシウム)Pdの混合層から構成されるPd多層膜の表面にCs(セシウム)たSr(ストロンチウム)等の元素を添加し、片側を重水素ガス、片側を真空状態にすると、Pdは重水素を透過させやすい性質を持っているため、Pd多層膜の重水素側の表面で、重水素ガス分子が重水素に解離し、多層膜中を通過する。この際、添加したCs等の元素を分析すると時間とともに減少し、代わりに最初存在しなかった元素が検出される。

図中

・D2:重水素ガス

・D :重水素(デュウテリウム) → 核種は、d:重陽子(デューテロン)陽子1、質量数2

 

■実験結果

時間と共にCsが減少し代わりにPr(プラセオジウム)が表面に出現してくる。数十回以上の実験を行い、ガンマ線も微量ながら検出しており、CsからPrへの元素変換の再現性は、ほぼ100%である。

元素転換 1-3 [3]

次にCsの代わりにSrを多層膜の表面に添加し、同様の実験を行うと、時間と共にSrが減少し、Mo(モリブデン)が現れる。

このMoの同位体を分析すると天然のMoとは異なっており、質量数96のMoのみが突出して多い。従って、検出されたMoは環境から混入した不純物ではないと考えられる。

さらに、カルシウムがチタンに、タングステンが白金に変わることも確認されています。

元素転換 1-4 [4]

■再現実験

・大阪大学の高橋教授のグループでは、類似の実験装置を構成し、CsからPrへの元素転換を3回の実験で3回とも確認している。

・静岡大学のグループも同様の実験でPrを検出している。

・イタリアの核物理研フラスカティのDr.Celaniのグループも手法は異なるが、CsからPrの変換を観測している。

追記

以下の実験も試み、結果のみを記載します。

・CaO層がないと重水素でも元素転換しなかった。

・重水素の代わりに軽水素を用いた実験では、元素転換しなかった。

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・上記実験で特筆すべきは、その再現性の高さです(ほぼ、100%)。これまで「常温核融合」が多くの学者から否定されていた一つの壁を乗り越えたところにあると思います。

 

○実験結果からどのようなことが導き出せるのかを見ていきます。

・まず、元素変換している訳ですから当然、陽子数が変化しているはずです。その陽子数の変化を見てみましょう。

元素転換 1-10

陽子が2もしくは4増加し、増加数はいずれも偶数です。当然、電子数についても同様のことがいえます。

 

・周期表での位置変化も見てみましょう。

元素転換 1-9 [5]

同周期内で元素転換が生じている。

*周期:元素の周期表上での列(横1列)を指す。ある原子が持つ電子殻の数によってその原子がどの周期に含まれるのか決まる。

 

■仮説

陽子数の変化が偶数であることから考えて、重水素ガス分子がPd多層膜を通過する際に、重水素に解離し(Pd多層膜に取り込まれる)、核融合でヘリウム4(陽子数2、中性子数2、質量数4)が生成され、そのヘリウム4がセシウム・ストロンチウム・カルシウム・タングステンと結合して元素転換したと考えられます。

また、「CaO層がないと重水素でも元素転換しなかった」ことから考えて、CaO(Ca、もしくは、「O」が、触媒として働いている可能性も考えられます。

しかし、一つの実験の考察から元素転換のメカニズムを導き出すのは、非常に困難なため、植物、動物、鉱物の事例、さらに、元素転換の仮説の紹介をした上で、「生物学的元素転換」のメカニズムの解明に取り掛かりたいと思います。

 

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