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シリーズ「がんの正体に迫る」その7 森下敬一氏の唱えるガン説~①血液は骨髄ではなく腸で造られる

みなさん、こんにちは~
シリーズ第7回は、森下敬一氏のガン説を紹介します。
ガンの食事療法で知られる森下敬一医師。学会では異端視されていますが、最近るいネット [1]でも取り上げられているように、一般の人々から注目が集まっています。
以下、著書の「ガンは食事で治す」より引用します。
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◆「骨髄造血説」のウソ
・・・現代医学と現代栄養学の誤りを指摘してきたのは、その誤りの上に立った治療や食事指導が行われている限り、ガンに苦しむ方々を救うことはできないからです。そこで、もう少し、現代医学の重大な誤りについてお話をしておきたいと思います。
それは、「血液は骨髄で造られる」という定説です。この誤りを正さないことには「ガンは食事で治せる」という私の話の信憑性が疑われてしまうでしょうから。
現代医学では、この定説を学校でも教えています。
しかし、私は、早い段階からこの説に疑問を持っていました。少しそのお話をしておこうと思います。
もっとも原始的な原生動物のアメーバやゾウリムシなどを除いて、すべての動物たちは血液の構成要素である血球を持っています。骨がないイカやタコにも血球は存在しますし、イソギンチャクやヒドラなどの腔腸動物、ミミズやゴカイなどの環形動物でさえ、血球(または血球様遊走細胞)を持っています。
血液(血球)が骨髄で造られるとするならば、これら骨のない動物の血液はいったいどこで造られているのでしょうか?
こんなことを考えていた私は、ある日、新宿御苑の池で食用ガエルの大きなオタマジャクシを見つけ、研究室に持ち帰り、早速、その血液を調べてみました。後日、カエルについても同様のことを行いました。すると、驚いたことに、オタマジャクシもカエルも、ほとんど違いは見られなかったのです。
ご存知のように、オタマジャクシには手足がなく、造血を行うはずの骨髄といえるものは、体全体でもごくわずかです。にもかかわらず、手足がしっかり形成されているカエルとほとんど血液の状態は変わりません。唯一、オタマジャクシの血液には、卵生時代の名残りである卵黄球という物質が見られるだけでした。オタマジャクシとカエルの血液が同じなら、同じ組織で、同じシステムによって血液が生み出されているはずです。
オタマジャクシのときは別のところで造血され、カエルになったら骨髄で・・・というのは、生命において最も大切な「造血」という作業が、その動物の個体において、ある時期からまったく別の場所(臓器組織)に引っ越すという考え方で、どう考えても不自然ではありませんか。
こうした実験結果によって、ますます「骨髄造血説」に疑いをもった私は、今度は人間の血液を調べ始めました。
当時、私がインターンとして住み込み勤務していた病院は、旧陸軍の病院で、第二次世界大戦で負傷され、帰還された傷痍軍人の方々が多くいらっしゃいました。その中には、不幸にして、両手両足を切断された方もおられました。両手両足がないということは、人体の全骨髄組織の90%以上を失っているということです。だとすれば、この方たちは造血が難しく、極度の貧血状態にあるはずです。
そこで私は、両手両足を失われた何人かの方にお願いしてご本人の許可をいただき、血液を調べさせていただきました。その結果は、貧血どころかまったくの正常値の範囲であり、赤血球にいたっては、一般の方たちよりも10%も多かったのです。
私はこうした事実を確認できたことで、いよいよ「骨髄造血説」は間違いであるという確信を抱くに至ったのです。

◆補足◆
現代医学の定説では、ヒトの血液は、胎生5~6週目ころから肝臓で造られ始め、この赤血球は成人のそれと同じ大きさ・構造をしており、その後、脾臓でも造られるようになり、胎生4ヶ月ころから骨髄での造血が始まるとされます。そして、胎生6~7ヶ月ころ以降は骨髄が造血の中心となり、出世時には唯一の造血器官となる、とされます。
つまり、胎児の間に、造血器官が変わっていくということです。
骨髄というのは、骨の中にある柔組織で、造血機能を営んでいる骨髄は赤色を呈するため赤色骨髄、造血機能を失い脂肪化している骨髄は黄色を呈するために黄色骨髄と呼ばれ、加齢とともに赤色骨髄は黄色骨髄に置き換わっていきます。
そして人体でもっとも大量の骨髄が存在し、血液のおよそ半分が作られるとされるのが、腸骨とされています。
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上図の13番が腸骨です。
(画像はWikipediaよりお借りしました。)
それでは森下氏の説の続きです。

◆血液は腸で造られる~造血のプロセス
では、血液はいったい体のどこで造られるのでしょうか?単細胞である原生動物は、一個の細胞の中で生存に必要な作業の一切を行っているので、これは除外するとして、それ以外の動物の体をみていきますと、体を構成している共通の要素は「体組織」「消化器」「血球」の三つになっています。
動物の体が存在しているということは、骨や内臓や皮膚などを構成する「体組織(体細胞の集合体)」がありますし、その動物が生きていくためには食物を摂り入れる必要があるので、その処理器官として「消化器」があります。
そして、その「体組織」と「消化器」を有機的につなぎ、栄養を補給し、動物の体全体が統一のとれた生命活動を営めるようにするのが、「血球」という存在です。
「血球」があるということは、その「血球」を造る「造血器官」がどこかにあるはずで、それは、「体組織」か「消化器」のどちらかということになります。「食物を摂り入れて、体を造る」という順序から考えると、「血球」を造り出すのは「消化器」しかないという推測が成り立つわけです。
「骨」という組織が出現するのは、動物の進化がかなり進んでからの話になります。
先にも触れましたように、「造血」という重要な機能を果たす場所が、途中から引っ越すのは難しいのですから、「造血器官」は「消化器」と考えるのはごく自然な流れなのです。
私はこの「造血は骨髄ではなく、消化器官で行われる」という仮説を立証するために、大学の研究室でさまざまな実験を行い、「血液は腸で造られる」という結論を導き出しました。

◆腸粘膜はアメーバ
腸の働きをご説明する前に、現代医学が唱えている腸の働きについて確認しておきましょう。
現代医学では「食物は胃腸の消化酵素によって、アミノ酸やブドウ糖といった小さな分子に分解され、小腸粘膜を通過して、血液やリンパの流れに乗って、栄養分として体の各部に運ばれていく」としています。
要するに、腸粘膜は、不要な残りかすと必要な栄養素とを分ける濾紙のような、静的な役割の膜であると捉えています。
ある期間、断食させたウサギを解剖して、その腸粘膜を詳しく調べました。ウサギは餓死寸前になると、自分の体毛をむしって食べたり、自分が入れられている木箱をかじったりしますので、解剖すると、腸の中に体毛や木片がたくさん見られます。
腸のいちばん内側で、食物と接する粘膜には突起があり、その突起が腸内に向かって絨たんの毛羽のようにたくさんはえています。この突起をもった腸粘膜を「腸絨毛組織」といいます。現代医学がいうように、腸の粘膜が受動的で静的な組織であれば、ウサギの腸の中の体毛や木片は、絨たんにたまったホコリのように、腸絨毛と腸絨毛のあいだに入り込むことはあっても、腸絨毛組織の細胞に取り込まれるようにはなっていないはずです。
ところが、実際には、体毛や木片は、腸絨毛の組織に食い込まれるように、組織の中にしっかりと取り込まれていたのです。
単細胞の原生生物、アメーバやゾウリムシは、体全体で食物を包み込んで、いつの間にか同化してしまうのですが、腸絨毛表面の絨毛上皮細胞もアメーバと同じように、ドロドロに消化された食物を自らの細胞内に取り込んで消化し、同化していくのです。
その後、上皮細胞の核は、絨毛の内奥組織に送り出されていきます。その核は、やがて数十個の赤血球を含んだ「赤血球母細胞」に変化発展するのです。「赤血球母細胞」とは、文字通り、赤血球の母親の細胞です。赤血球母細胞が腸絨毛内の毛細血管に接触すると、そこから血管内に赤血球だけを放出します。放出された新しい赤血球は血流に乗って全身をかけめぐるようになります。
このように、腸では食物が分解・吸収されるのではなく、腸粘膜内に取り込まれた後、いろいろな要素の結合・変容によって、赤血球という新しい細胞が造り出されるのです。
これは大変重要な仕組みですから、もう一度、整理・確認しておきたいと思います。
1.食物は消化液の作用や腸の運動の影響で、ドロドロの状態になる。
2.ドロドロ状の食物が、腸絨毛組織の表面にへばりつく。
3.ドロドロ状の食物が絨毛組織内に取り込まれつつ、その場の細胞に同化してしまう。
4.同化作用が完了した細胞の核は、絨毛内腔に押し出されて、その周りに細胞質がつけ加えられることによって赤血球細胞に変わっていく。
5.赤血球母細胞は、数十個の赤血球を胞子形成(酵母菌の繁殖過程)し、やがてその赤血球たちを絨毛内腔・毛細血管内に送り出す

このプロセスで、赤血球(血液)は造られていきます。ですから、繰り返しますが、現代医学の「骨髄造血説」はまったくの誤りなのです。

いかがでしたか
現代医学の常識を覆す説であるだけに、疑問点も色々浮かんできます。
骨髄造血説が誤りであるという根拠は?
骨髄と腸管では、造血環境としてかなり異なるように思われるが、実際はどうなのか?
骨髄でも腸管でも造血が行われている、ということは考えられないか?
次回、森下氏が腸管造血説から導き出した「ガンの正体」を紹介します。
続きをお楽しみに

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