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真空は波を粒子に変える変換装置

武田福隆氏の新宇宙理論「宇宙は分散系である」の紹介の続きです。
前回 [1]は「電磁波は真空そのものが振動して伝わっていく」という真空の幾何学的構造(参照 [1])について扱いました。
更に、真空中に電磁波や物質波が存在すること、真空にエネルギーを加えるとそこから電子などが生ずる事(電子対創成)などから、真空は幾何学的構造と同時にエネルギー的構造を持っていると思われます。それはどのような構造を持っているのでしょうか。
 
  
真空のエネルギー的構造
  
真空のエネルギー的構造(模式)
sinnkuukonba-ta.bmp
 
上の図が、真空のエネルギー的構造を模式で表したものです。立体構造はプラスεのエネルギー準位、とその反対にマイナスεのエネルギー準位を持ち、中間にプラスでもマイナスでもないεというエネルギー準位があると考えます。
 
電磁波は真空の結晶格子の振動が格子に伝わって進んで行きます。それはどのような振動かというと、プラスのエネルギー素子が+εの準位と-εの準位の間を往復する振動であると考えます。
 
そして、この振動エネルギーE=hvが瞬時に上下左右両隣の格子に、つぎつぎに伝わって行くのです。その際、真空は粘性ゼロ(詳しくは後述)ですから、進行途中でのエネルギー損失は生じませんが、途中に格子欠陥があると、そこを光は乗り越えなければならないのでエネルギー損失が起こります。これが遠い天体からの光の赤方偏移の原因です。
 
上図のB、Cは中間のεを通り越すほどのエネルギーを持たない振動で、Bは正の物質波 [2]、Cは負の物質波と考えます。※物質波:波として扱える粒子の運動
  
また、電磁波や物質波は、ある格子の+ε-εの間で振動が起きるとその振幅のがつぎつぎに伝播して行くものですから、波のエネルギーは飛び飛びになっているのです。(光子という粒子の性格を示す所以)
 
そして、これらの波のエネルギーがその伝播が妨げられて、一ヵ所に多量集積し、それが真空の弾性の限界を超えると、そのエネルギーは真空(の格子)から放りだされてしまいます。これがガンマ線による電子対創成で代表される電磁波の粒子化です。
 
以上から、真空は電磁波によってエネルギーを遠くへ運ぶコンベヤーであると同時に、波を粒子に変えるコンバーター(変換装置)であるといえます。
 
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真空は、結晶格子で弾性を持ちながら、粘性ゼロという仮説です。そんなことはあり得るのか?と思った方は続き をどうぞ。


 
弾性をもつ結晶格子で粘性(抵抗)ゼロってあり得るのか?
 
粘性とはまさに粘り強さのことです。一般に流体(液体)では、桶の中でぐるぐる回すと桶に接した外側で遅くなります。それを水内部の粘りで均一にするように働く力(内部応力)のことを粘性といいます。あるいは、固体をイメージすると物質を挟んで動かしたときに、内部に発生する応力であるともいいます。粘性の高い固体としては“スライム”があります。
そのように固体でも柔らかいものは粘性を持ちます。そんな中、真空は結晶格子という構造を持ち弾性を示しながら、粘性はゼロ。それはあり得るのでしょうか。
 
実は、自然界にはそれと同様のものが見出せます。たとえば、身近なものでは液晶です。結晶構造(弾性)をもちながら、粘性は極めて小さく、流動に対して非常に抵抗が小さくなっています。
 
また、液体ヘリウムⅡは、粘性がゼロです。そのため「超流動」という現象を起こします。下の写真はガラスの容器に入れられた液体ヘリウムで、容器の半分しか入っていないのに、容器の縁をのぼっていって外側にしたたり落ちています。
こんなことがなんで起きるのかというと、未だ完全には解明されていないようですが、容器であるガラスの原子の“引力”に引っ張られているのだそうです。
 
図:液体ヘリウムの超流動現象superfluid03_m.jpg
画像はこちら [3]からお借りしました。動画はこちら⇒理科ねっとわーく [4]  
 
液体ヘリウムが結晶構造なのかどうかについては誰も明らかにしていませんが、水が氷になる時の物理的性質の変化と、液体ヘリウムⅠがⅡになる時の物理的性質(比重と比熱)の変化を比較すると、非常に似ていることから、液体ヘリウムⅡは(水や氷と同様に)結晶構造であることは間違いないのです。
つまり、粘性ゼロの結晶体(弾性体)は十分にあり得るのです。
  
図:水(左)と液体ヘリウム(右)の比重と温度
mizunoonndotohijuu.bmpekitaiheriumu.bmp
 

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