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シリーズ 超極小『素粒子』の世界27~「色」の秘密vol2.0☆~


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皆さんこんにちわ。暑い日々が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
今回は、色の秘密 第二弾です。
色の発生には、の存在が必要不可欠となりますが、前回は2種類ある光のうち太陽光に着目しました。リンク [1]
その結果、は、物質が太陽光を吸収し再放出したエネルギー(電磁波)だという事が分かりました。
そこで、今回は物質自らが光を発している発光について追究していきます。
応援よろしくお願いします。


花火の色はなぜ綺麗?~物質と炎色反応~
物質が発光する事例は様々ですが、その一つが夏の風物詩、花火です。僕も毎年楽しみにしていますがあの鮮やかな色はどのように作り出されているのでしょうか。
その秘密は炎色反応にあります。小学校や中学校の理科で実験しているので覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
炎色反応とは、ある物質を炎の中で加熱すると物質によって様々な発光が生じる現象です。例えばナトリウムは黄色、銅は青緑に光ります。


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画像は、こちら [2]からお借りしました。

                                                          
%E8%8A%B1%E7%81%AB%E3%81%AE%E6%96%AD%E9%9D%A2%E5%9B%B3.jpg花火はこの炎色反応を利用して様々な色を作りだしているのです。
一般的な打ちあげ花火では、大きな花火玉の中に、2種類の火薬が入っています。
1つは上空で花火玉を割るための火薬です。もう1つが丸い粒状の「星」と呼ばれる火薬で、花火の光の1つずつとなり、さまざまな色をだします。
この「星」には、さきほどの「炎色反応」を起こす金属が含まれています。「星」に入っている成分が、上空で火薬により燃えて「炎色反応」を起こし、金属の種類によって、赤や青など違う色を出すのです。
花火の中には、上空で広がってから色が美しく変化するものもあります。こうした花火の「星」は、真ん中にある「しん」に向かって、違う色の火薬をまぶしていく方法で作られています。上空で「星」が外側から燃えていくため、だんだんと色が変わっていくのです。
芸術とも呼ぶべき花火も実はとっても科学的だったのですね。
しかし、なぜ炎に入れると光るのでしょうか。また、なぜ物質によって光の色が違うのでしょうか。
実は、炎色反応も前回追究した物質による太陽光の吸収・再放出と全く同じで主役は「電子」になります。
復習も兼ねて以下にその機構を記載します。
①まず、物質が炎にかざされると、物質(≒電子)は炎から熱によるエネルギーを取得します。
②エネルギーを吸収した電子は、炎からもらったエネルギーによって、外の軌道に移動します。(励起現象)
③しかし、励起状態は不安定なので、電子は元の位置に戻ろうとし、その時に余分なエネルギーを放出します。
④この時に放出されるエネルギーを私達は光として認識しています。
 色の違いは物質が持つ電子の「励起状態」と「基底状態」エネルギー差の違いにより ます。

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白熱灯はなぜ光る?
                                                             
%E7%99%BD%E7%86%B1%E7%81%AF%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg続いては発光現象の中で最も身近な事例である照明に着目します。
照明器具の中で一番歴史が古いのは白熱灯ですが、白熱灯が光る理由も基本的には炎色反応と同じです。
①まず白熱灯のフィラメント(タングステン)が「電気エネルギー」によって熱せられます。
②続いて「熱エネルギー」を吸収したタングステン内の電子が外側の軌道に移動しようとします。

但し、炎色反応と異なり白熱灯の場合は、電子が完全に励起する事は出来ません。
その為タングステン内の電子は、
熱エネルギー吸収⇒ジャンプ⇒外の軌道に届かず⇒光エネルギー放出⇒元の位置に戻る。
という事を繰り返しているのです。
白熱灯は寿命が短い。と言われますが、発光原理に無駄があったのですね。
                                                              
蛍光灯と白熱灯の違いは?
白熱灯が熱エネルギーを利用しているのに対して、蛍光灯は放電により発光します。
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①電極(陰極)に対して電流を流す事により、エミッター(電子放出物質)から大量の熱電子 が放出されます。
②出された電子は、もう片方の電極(陽極)に対して移動します。
③移動する電子は、ガラス管の中に封入されている、水銀原子と衝突し、その衝突のエネルギーにより、水銀原子は紫外線を発生させます。
④発生した紫外線はガラス管内壁に塗布されている蛍光物質に当たり、可視光線を発生させます。
                                                   

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この様に蛍光灯は白熱灯の様に熱を介さず、エミッターに電気エネルギーを直接与える事で電子の励起状態(放電状態)を作り出しているのです。
換言すると、電気エネルギーをそのまま励起エネルギーに使っているという事になります

蛍光灯が白熱灯より効率が良い理由は、「熱を介さずに電気エネルギーをそのまま励起エネルギーに使っている」からなのです。
                                                                             
LEDも基本原理は同じ。
LED2.jpg最後はLED。LEDは発光ダイオードという半導体を利用したものです。LEDの仕組は難しいですが、原理は白熱灯や蛍光灯と同じです。
LEDはp型半導体n型半導体で構成されています。
p型半導体は電子が不足している=正孔が存在している半導体n型半導体は余剰電子(金属で言うところの自由電子に近い状態)が存在している半導体の事を指します。
発光ダイオードを電気回路に繋ぐと、p、n両方の半導体内の電子が移動します。それにより正孔は+⇒-へ、電子は-⇒+へ移動します。
そして、p型半導体とn型半導体の接合面でn型半導体の余剰電子が正孔に入り込みます。
この時、剰電子が自身の持っているエネルギーを光として放出するのです。

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LEDの凄い所は、白熱灯や蛍光灯と異なり電子を励起させる必要がないという事です。
言い換えるとn型半導体とp型半導体を組み合わせる事で初めから励起状態を作りだしているのです。
だからこそ、エネルギー効率が非常に高く、寿命も長いのです。
                                                                                                                 
この様に、物質の発光も大きく見ると電子のエネルギーの吸収⇒再放出である事が分かりました。
また、色の違いは物質が持つ電子の「励起状態」と「基底状態」エネルギー差の違いですので両方の事実を組み合わせると、
エネルギー差が異なる=放出するエネルギーの強さ=波長が異なる。⇒色が異なると認識する事が出来ます。
換言すると、色を認識するという事は、物質の持つエネルギーを認識しているとも言えるのです。
今回は炎色反応や照明を通して物質の発光について追究して来ましたが、皆さんご存知のとおり、蛍やホタルイカなどの発光する生き物も存在します。
これら生物発光も電子のエネルギーの吸収⇒再放出と同じ仕組なのでしょうか。
次回は、生物発光について追求して行きたいと思います。お楽しみに。

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