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「生き物ってすごい!」第7回~除虫菊

最近、もう夏が来たかと思うほど、蒸し暑い日が続いていますね。
夏といえば、眠りの天敵、蚊の季節。
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画像はこちら [1]からお借りしました。
蚊の撃退方法をあれこれ13通り(!)も試した人によれば、
結局、蚊除けスプレーが一番効果があったのだそうです。
リンク [2]
この蚊除け成分、現在人工物質がほとんどですが、
もともとはある花の成分 に由来します。


             
その代表的な蚊除け成分は、ピレトリンと言います。
現在でも、天然ものの金鳥蚊取り線香に使われています。
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よく見かける緑色のものと違って、黄土色をしています。
このピレトリンは、「除虫菊(シロバナムシヨケギク)」という花の胚珠(花の根元の膨らみの中に出来ます)の部分に含まれており、殺虫効果を持ちます。
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除虫菊。きれいなお花ですね
画像はこちら [3]からお借りしました。
なぜ胚珠に毒を持っているのか?というと、
寄ってきてほしい虫と、きてほしくない虫がいるからです。
除虫菊は虫媒花(虫を媒介として受粉する花)なので、虫が受粉してくれなければ、繁殖することが出来ませんから、花にとって、一部の虫は、受粉するのに必須な存在です。
逆に、花粉媒介には関係ないが、花や葉を食べる昆虫(チョウの幼虫など)には寄ってきて欲しくないわけです。
例えば、ミツバチなどの、蜜や花粉を集めて食料とする虫は、花を食べないので、花に毒があっても花粉媒介に影響はありません。
一方、花の害虫の一種あるヨトウムシは、キクの花まで食べてしまいます。雄しべや雌しべまで食べられてしまっては、受粉出来なくなってしまい、種の存続が危ぶまれますね。
つまり、除虫菊はチョウの成虫は歓迎するけれど、花や葉を食べる幼虫は歓迎しない、ということなのでしょう。 😀
これは、虫媒花(鳥媒花)と昆虫(鳥)の共進化と呼ばれています。
進化の塗り重ねって奥深いですね
ちなみに、このピレトリン、人間の体内に入っても大丈夫 と心配になりますが、
人間は酵素の働きによって、体内に取り込まれるとただちに無毒化してしまう のだそうです。
とってもよく出来た物質ですね
しかし、現在市場に出回っている蚊取り線香の成分は、天然成分を真似た人工物質ピレスロイドという物質で、天然のピレトリンよりもより毒性が強いのだそうです。
これは果たして、人体への悪影響はないのでしょうか
農業・食品産業技術総合研究機構 [4]によれば、ピレスロイドは中毒症状として、軽症として筋れん縮や運動失調、中等症として興奮や手足の振せんや唾液分泌亢進、重症として間代性けいれんや呼吸困難が起こる、とあります。
天然ピレトリンは無毒ということを掲げながら、騙されているような気もしますね。。
気にされる方は、天然成分の蚊取り線香をオススメします
             
いかがでしたか
今回は蚊除け成分のお話でした。
次回はそのものに迫ります。

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