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君もシャーマンになれるシリーズ23~多彩な可能性を秘めた子どもの脳の成長過程とは~

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みなさんこんにちは 🙂
これまでの追求により、シャーマンは脳の来歴-記憶を羅針盤としていることがわかってきました。
一方で、ユタの様な大人のシャーマンに限らず、子供にも驚くような能力・才能を発揮した事例が数多く報告されています。子供にはどんな世界が見えているのでしょうか?
そこで今回はまず、一般的な子供の「脳の成長過程」を下記の3本立てで調査してみました。
①誰もが生まれ持った記憶はあるの?
②子供の脳の成長過程は?
③子供にはどんな世界が見えている?

①誰もが生まれ持った記憶はあるの?

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<生まれた瞬間からおっぱいが飲める赤ちゃん>
赤ちゃんは脊髄・脳幹に反射中枢をもち、これは胎生5~6か月より発達し脳の成熟とともに消失していきます。主にモロー反射、手掌把握反射、吸啜(きゅうてつ)反射という、手をぎゅっとにぎったり、指に吸い付いたりすることを指し、原始反射と呼ばれています。

<2つの本能的恐怖の記憶>
人間には、生まれつきの恐怖、本能的な恐怖というものがあります。
それは、落下による恐怖と音による恐怖です。これは、たぶん私たち人類の遠い祖先である猿の時から埋め込まれた恐怖でしょう。木の上で生活していた人類の祖先が、その頭上生活を捨て、地上での2足歩行を行う前から、感じていた、落下の恐怖。落下の恐怖=木から落ちる=危険な他の肉食動物の餌食になる恐怖です。
もう一つ、音による恐怖は、集団生活を行っていた猿たちが、他の動物から襲われる時に発する危険を知らせるおたけび、それが音による恐怖です。このように、人類が猿の時代から獲得した、生存のための本能的な恐怖以外は、すべて幼児期などに、なんらかの影響を受けて植え付けられたものにほかならないのです。
【潜在意識を信じる】本能的恐怖より引用 [3]

当然といえば当然ですが、生存上必要な記憶・情報が先天的に本能として備わっています。また祖先である猿の頃から強く引き継がれている一面もあります。高所恐怖症が医学的に解明出来ない理由も、現代人には無関係になりつつある所以かもしれません

②子供の脳の成長過程は?


それでは、具体的に子供の脳の成長過程を見ていきましょう。今回は心理学と脳科学、両方に着目し比較してみました。そこで、下記の一覧をまとめてみました。
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<子供の発達段階の定説とされているのがピアジェ理論>
子供の思考の発達段階を説いているもので最も有名なものがピアジェ理論です。ピアジェは①「感覚運動的段階」、②「前操作的段階」、③「具体操作段階」、④「形式的操作段階」の4つの段階を提示しています。日本語が少し難しいですが、概略としては、
①段階で、まず生後から五感(知覚能力)が発達し、
②段階で、見たり聞いたりしたことを元に、自分を中心として物事を捉えられる様になり、
③段階で、いろいろな角度から思考が出来る様になり、
④段階で、抽象的な思考が出来る様になっていく、というものです。

<赤ちゃん(乳児)は五感の獲得が最優先課題>
赤ちゃんが生まれてから真っ先に身につけるのは五感と体性感覚です。これによって外部環境を知覚する力を身につけていきます。それから遊びや保育園や学校などの集団生活の中で自己と他己の存在を理解しはじめ、思春期を経て、より高度な抽象的思考を獲得しながら大人になっていきます、ということです。生きていく上で、五感の獲得が最も重要な課題であるという認識が、脳にもプログラムされていることがわかります。

<4~6歳は語学の吸収力が高い時期>
・言語(発言)を司るのはブローカー野ですが、10歳までに英語に触れた場合、日本語を司るブローカー野の領域との“重なり”が見られます。しかし、10歳を過ぎてから英語に触れるとアルファベットが言語というより記号として認知されやすく、日本語とは“異なる“領域に蓄積されることがわかっています。5~7歳からその言語や分野に触れておくとバイリンガルに一歩近づく、と言えそうですね。
・次に脳波に着目すると、生後~3歳頃まではδ波(~4Hz以下)の比較的ゆっくりとした波を形成しており、覚醒時と睡眠時の区別がつきにくいです。4歳頃になるとθ波(4~8Hz)、次にα波(8~14Hz)が優位になり始めます。θ波はレム睡眠時、海馬が主に記憶を蓄積時に表れる脳波であり、すなわち記憶力が非常に高まっている時期です。この時期の子供は正、悪の判断をする前に、次々と物事を覚えていきます。それほど吸収力が高く、状況に応じて少しずつ左右脳に機能分化を始めていくことがわかっています。

<「成長の個人差」は各段階の時期の個人差による影響が大きい>
「他の子より何かが上手」という子供の成長の個人差は、いわゆる才能の影響よりも、各成長段階を周りの子より早く迎えているかいないかに影響を受けます。
比較表より、ピアジェ理論と脳科学の成長過程に対する知見は概ね一致しています。中でも特筆すべきが、両者共に「子供は誰もが同じ段階(順序)を経て成長する」ということを強調して挙げている点です。周りの子供よりも得意なこと、優秀なことがあるということは、他の子供よりも早く経験しているか、早く次の段階を迎えているかということです。但し、五感の獲得の段階をすっ飛ばして、いきなり自己と他己の区別が出来る、という子供はいません。育つ環境により段階を迎える早さに個人差はあっても、これらの段階・順番が入れ替わることはないとされています。
<参考>
子どもの思考と言語システムの発達と脳‐神経発達心理学序論(Ⅵ)‐ 
著:永江誠司
福岡教育大学紀要、第55号、第4分冊、177-193

以上より、大きくはピアジェ理論の提示する思考段階に沿って子供達は成長し、各段階で身につける力も異なり、どの段階も重要であることがわかりました。保育園入園、小学校の入学(集団生活)といった、外的要因を含めても子供の成長には重要な時期だと言えます

③子供にはどんな世界が見えている?


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<絵や工作、固定観念に囚われず多彩な表現を用いる子供たち>
子供は、前に見た物の情景を今、目の前に見ているのと同様にはっきり思い出すことができ、その映像は直感像と呼ばれています。これはただ思いだすのではなく、まるでそれが実際に“見える”ように“感ずる“もので、知覚と記憶の「中間の現象」といわれています。調査によると、児童の3分の1~4分の1くらいが直感像を持っており、ことに児童後期にもっとも増加しますが、青年期以後になると減少します。
直感像を持つ子どもでは、絵や作文に才能を発揮して、生き生きした表現をするといわれています。幼児や児童の思考には具体的なものの見方の性質が思考にはなはだしく影響することがあります。
例:幼児では同じ数のものでも、並べ方次第で多く感じたり少なく感じたりする。成長すれば3つに並べたものはどう並べても3であると認識出来るが、見かけに実態の数は影響されないと理解できることを、“保存概念がある”という。
人間以外のいろいろのものにも、みんな心があると考える“アニミズム”の傾向や、太陽や月のような自然界のものも、すべて人間によってつくられたと考える“人工論”の傾向を持っており、大人からすると、これが固定概念に囚われない理由でもあります。
子育て応援事典 [6] より引用

まとめ


今回の探索では、

子供は誰しもが同じ段階(順序)を経て成長し、その順序が入れ替わることはない。
生まれてから最重要課題は五感・知覚能力の獲得である。
4~6歳は語学学習に適しており、記憶力・思考力が高まっている時期である。
子供は直感像、アニミズム、固定概念の有無により、大人には見えない世界を表現することが出来る

と、少し子供の成長の過程がわかってきました。
今後は特異な能力を持つ子供について、遊びを通じてどんなことを学んでいるのか、などなどをしていきたいと思います。次回もお楽しみに

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