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太陽系を探検しよう-33.磁化率理論・検証編~惑星の姿は磁化率で集積する物質により説明できる~水星・金星

前回の記事 [1]では、太陽系にある惑星は、その組成の磁化率に応じて並んでいることを検証しました。惑星の生成と成長は、磁化率に従って特定の物質群の塊が形成されたと考えられます。今回は、そのように集積した惑星を構成する物質群から、現在の惑星の姿をどのように説明できるのか、検証します。福田武隆さんの著書『太陽系の起源』からの抜粋・編集です。
 
水星は金属が集中してできたので重くなった
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水星
リングウッド [2]が内惑星(水・金・地・火)と月の比重を同じ圧力(10Kb)にして比較したところ、水星が最大だった。水星が5.2、金星3.9、地球4.04、火星3.7、月3.4だった。(なお、惑星の比重は軌道周期で質量が分かり、観察により大きさが分かれば算出できます。)
 
水星の比重の大きさについて、ある学者は太陽の強い輻射のために珪酸塩が蒸発して金属鉄の割合が高くなったのだろうとか、他のある学者はもう1つの惑星と衝突してその星と核の部分だけが合体したのだろうなどとかいっている。
 
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しかし、図-6によれば、水星の比重は必然的に大きくなることがわかる。すなわち、水星の位置とその少し内側の所に重い金属が集中しているので、これらが核や地殻に多量に含まれているはずであり、そのため水星の比重は惑星中随一なのであろう。
  
水星近くに集中したと考えられる金属の比重を鉄と比べてみると、鉄Fe=7.86、鉛Pb=11.34、亜鉛Zn=7.14、水銀Hg=13.546、銀Ag=10.5、金Au=19.3である。
 


金星が熱いのは炭酸ガス(温室効果ガス)が多いから
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金星については当ブログで次のように紹介しました。

金星は、地表温度が470℃と高く、火山が多く存在します。なぜこんなに熱いのかというと、大気はその9割がCO2であり、その温室効果により地上の熱が外に逃げにくいのです。金星の地表は90気圧=地球の90倍に相当します。そして地表を覆う雲は濃硫酸の液体の粒からできており、大気は100m/秒という高速で吹いています。

太陽系を探検しよう―3.太陽系惑星では、こんなにいろんなことが起きている! [3]
 
このような過酷な環境をつくっているCO2がなぜ多いのかについても、磁化率理論で解き明かすことができます。
 

無人探査機による調査でわかった金星大気の組成は、二酸化炭素(炭酸ガス)CO298%、窒素N 2%以下、酸素0.1%以下、水蒸気0.1~0.4%、その他一酸化炭素CO、塩化水素HCl、弗化水素HF、アルゴン3636Arなど。雲の主成分は74%硫酸H2SO4の液滴と液状および固状の硫黄Sと推定されている。
そのような高温は大量の炭酸ガスによる保温効果のせいであろうが、その炭酸ガスがどうして金星には100気圧もあるのか。
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それは図-6をみれば、一目瞭然である。即ち、金星の所には主な炭酸塩がズラリと並んでいる。然し、炭酸塩だけではガスにはならない。が必要である。
 
よく見ると、単体(元素)の列には塩素Clがあるし、酸化物の列には三酸化硫黄SO3がある。これらはそれぞれ塩酸HClと硫酸H2SO4の原料である。
これらの強酸は水と反応すれば塩酸や硫酸ができ、これが炭酸塩と反応すると大量のCO2ができる。
無人探査機によって観測された金星大気の成分の殆どは図-6の金星の所にある物質によって説明できる。

つまり、水星は重い金属の多い場所でできたので比重が大きくなり、金星は炭酸塩と酸が多い場所でできたので大気のほとんどが二酸化炭素になった。

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