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太陽系を探検しよう-20.地球を揺るがす地震のメカニズム(2)液状化現象は悪いことばかりじゃない!?

Posted By kumasuke On 2012年10月15日 @ 8:00 PM In ⑫宇宙を探求する | No Comments

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(画像はこちら [1]からお借りしました。)
 
これまで地震により、日本列島では液状化地域では大きな被害を受けてきました。
 
液状化現象では、地震の際にゆさぶられた地盤の砂が液体状になることで、当たりは水浸しになります。
重い構造物が埋もれ、最悪は倒壊したり、地中の軽い構造物であるマンホール等が浮き上がります。
橋が落ちたり、道路が崩壊したりという現象も起きます。
 
東日本大震災では、関東地方を中心に、大きな被害が生じました。
被害は、東京湾の沿岸部だけでも東京ドーム900個分に相当する約4200ヘクタールに及びました。住宅被害は関東地方だけで約1万7000棟。
戦後に造成された、比較的新しい埋め立て地や新興住宅地での被害が大きかったようです。
液状化による被害規模は”世界最大”といわれています。
 
液状化被害が大きかった地域では、地域の機能不全は生じましたが、幸いな事に犠牲者は殆どいませんでした。また、震度の大きかった東北地方の方が液状化の被害は少ないという結果になりました。
 
そこで今回は、液状化と地震の大きさの関係について着目してみます。
 
軟弱地盤では地震波が増幅され、地震の被害が大きくなることを紹介しました。
液状化が生ずることで、地震の大きさはどのようになるのでしょうか。


◆はじめて液状化現象が注目された新潟地震%E2%91%A1%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%9C%B0%E9%9C%87%E5%9C%B0%E5%9F%9F.jpg
(画像はこちら [2]からお借りしました。)
液状化の被害で典型的な地震は、1964年に起こった新潟地震です。
新潟地震では,昭和以降の埋立てによる信濃川旧河川敷(図に示す地域)において,非常に目を惹く被害が発生しました。
 
 
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(画像はこちら [3]からお借りしました。) 
被害は日本海側を中心として9県に及び、家屋全壊:1,960棟、家屋半壊:6,640棟、家屋浸水:15,298棟と、激しい被害でしたが、死者が僅か26名だったことから「奇跡」と評されたこともあります。
 新潟市内の鉄筋コンクリート建物で被害を受けた建物では、建物構造にはほとんど損傷を受けないまま,全体として沈下、傾斜、または写真の通り倒壊まで至りました。
 
東北大震災でも液状化による死者はわずかで、被害の大きさに対して、人的被害の小ささが特徴です。ではなぜ、人的被害は少ないのでしょうか。
 
それを紐解くために、次は液状化の仕組みついて、説明します。
  
 
◆液状化の仕組み
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砂は粘着性のない粒の粗い粒子です。締まりがゆるい状態でこの砂が積み重なっているとき、砂粒子はお互いに角を接触させ、いわば突っ張りあって全体を支えています。
粒子間には広い隙間があり、互いにつながっています。地下水面が高いと,この隙間は水で完全に満たされています。
 
ここに地震動が加わって砂粒子が繰り返し揺すられると、お互いの支えがしだいにはずれ、やがては砂粒子間の接触はなくなり,水圧を高めた水の中にばらばらになって浮いた状態になります。
地盤が沈下し、内部の水が表層にあふれ出します。
 
これが液状化です。
 
 
◆液状化により揺れが小さくなる?=地震エネルギー減衰!%E2%91%A4%E5%8A%A0%E9%80%9F%E5%BA%A6%E4%BD%8E%E6%B8%9B.jpg
(画像はこちら [5]からお借りしました。)
兵庫県南部地震では、海岸埋め立て地で液状化が発生しました。
この液状化により、揺れの早さが、地中に対して地表面では60%に減衰したという観測記録が得られました。
液状化地域では、揺れが小さくなる(減衰する)ことが分かりました。
 
(一般的には、揺れの早さは「加速度」で表され、数字が大きいほど早く揺れるため、被害が大きくなる傾向にあります。)
 
 
◆液状化により揺れが減衰するメカニズム%E2%91%A5%E6%B6%B2%E7%8A%B6%E5%8C%96%E6%B8%9B%E8%A1%B0%EF%BC%88%E6%A6%82%E5%BF%B5%E5%9B%B3%EF%BC%89.jpg
地震の力は地盤深くから振動の揺れ(波)として、土を媒介として伝わってきます。
 
バットのような固い棒を横に振ると先端まで曲がることなく手からの力(≒エネルギー)が伝わります。
これに対して、水の中で同じことをすると、抵抗が大きく力が先端に伝わりません。
 
これは、手で発した力(≒エネルギー)エネルギーが、水に吸収されてしまったためです。液状化層でも同様で、液体状の層に地震のエネルギーが吸収され、表層まで伝わる地震のエネルギーが減衰していためです。
 
これが、液状化により揺れが減衰するメカニズムです。
 
液状化により地震力が減衰するならば、その効果を利用することは出来ないのでしょうか。
出来ます!
次は、液状化の特性を活かした事例を紹介します。
 
 
◆液状化の特性を活かした事例%E2%91%A6%E6%B6%B2%E7%8A%B6%E5%8C%96%E5%88%A9%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BE%8B%EF%BC%91.gif(画像はこちら [6]からお借りしました。)
1846年に造られた鹿児島市の西田橋(写真に示す石造4連アーチ橋)は歴史的建造物として移築保存されていますが,これは2008年1月に放映が始まったNHK大河ドラマ“篤姫”の天璋院も渡ったと言われています。
 
移築先には地震時に液状化する恐れがある19メー トルの厚さの地層があります。
石橋のような組積造(そせきぞう)構造物は耐震補強が難しく,かつ橋の上または付近の不特定多数の観光客への強震の影響を考 慮しなければならないので,地震の揺れを減らすことが重要です。
 
そこで、改良深さをいろいろに変えて検討した結果、一部を改良し,その下を液状化層として残す案が採用されました。
こうして、液状化を活用して、地震力を減らしたのです。
 
 
地震時の液状化現象は、人的被害は少なくとも、多大な被害をもたらします。
 
人口増加、技術力の向上により、先人が住むことのなかった地域でも、埋め立てなどにより建物を建設することが多くあります。そのような地域で実際に被害が生じており、改めて先人に同化し自然の摂理に則ることの重要性を感じます。
 
一方で、その現実を対象化する必要があります。
今回は、今後も液状化の特性を活かし、地震時の建物の倒壊による人的被害を防ぐという点に着目して、可能性を紹介しました。今後、更に可能性を考えていきたいと思います。


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