2012-08-12

自由研究にもバッチり!?海の生物を見てみよう!①

みなさん、こんにちは 😀
今回は夏休み特別企画として「海の生物の生態と進化史」をお送りしたいと思います。夏休みに海に行かれる方も多いと思いますので、ぜひともこの記事を読んだ上で、海の生物の不思議な生態を探求して見てください。
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なお、最近の当ブログの記事は、内容も難しくなっていますので、今回記事はできるだけ小学生・中学生の皆さんにも楽しんで読んでいただけるように作成してみました 😀
大人の方も気軽な気持ちで、楽しんで読んでみてください。
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「進化の歴史=進化系統樹

生物は、今から約38億年ほど前に誕生してから、多種多様に進化を遂げてきました。
その進化の過程は以下のような「進化系統樹」として表されます。
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生物の進化と発展は、長い長い間、海の中で遂げられ、陸上に上がったのはほんの4億年ほど前です。今回は、この進化系統樹に沿って、各分類ごとの生物の特徴を紹介していきます。

カイメン(海綿)

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①進化の段階
無脊椎(脊椎≒背骨が無い)動物で、海綿動物に分類されます。
体を構成している細胞は、まだまだ分化が進んでおらず、組織や器官と呼べるようなものも形成されていません。神経や筋肉もない、もっとも原始的な動物です。
②いつからいるか
5.5億年前に起こったカンブリア大爆発より1億年以上昔に誕生したと言われています。
③とくちょう
・食物をろ過(こして食べる)して摂取する、ろ過食性の動物で、体内の溝系(空洞部分)に水流を起して、水とともに運ばれてくる小さい有機物や粒子を食べて生きています。小さい穴がたくさん開いた多孔質な皮膜で覆われていて、海水に含まれる有機物や微生物を体内に取り込んで消化しています。
・海綿の体内にはたくさんの微生物が共生していて、種類によっては全体の 40% を微生物が占めています。
・体の大きさは、数ミリ~1mのものまで様々です。
・細かいあみ目状の海綿質繊維からなる骨格は、スポンジとして化粧用や沐浴用に用いられます。
④どんな仲間がいるか
世界中で約700種類もの仲間が生息しています。
⑤どこで見れるか
水の綺麗な海の、海底の岩などにひっついて生息しています。
⑥どうやって増えるか
生殖方法は有性生殖と無性生殖があります。
有性生殖の場合は襟細胞と呼ばれる細胞が精子を作り、原生細胞が卵子となります。精子と卵子で受精して増えます。
無性生殖の場合は原生細胞が植物の胞子のような役割を果たして、出芽(芽が出る)により別の個体がつくられます。
⑦食べれるか
基本的に食べられませんが、とても良質なスポンジとして利用されます。
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クラゲ(水母、海月、水月)

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①進化の段階
無脊椎動物で腔腸動物(刺胞動物)に分類されます。
まだ明確な内臓は持っていませんが、原始的な消化・排泄器官を持っています。
また、筋細胞もあり、網目状に広がった神経系も持っています。
②いつからいるか
クラゲの祖先が誕生したのは6億年前と言われています。
最初にヒドロクラゲと呼ばれる種類が誕生し、その後鉢クラゲ類と立方クラゲ類に分化していったと推測されています。
③とくちょう
・大きさは様々で、1cmに達しないものや、1mを越えるクラゲまでいます。日本の海にいる種類はだいたい30cmぐらいです。
・口と肛門が一緒なことが特徴です。オスのクラゲは精子を放出、メスのクラゲは精子をとりこむ場所としても利用されています。
・傘のふちに沿ってくっついている8つの小球はクラゲの感覚器(原始的な目)で、人では目にあたります。明暗と光の方向がわかる程度しか見えていません。
・刺胞動物のクラゲは、刺胞という毒針を使って餌を捕らえます。動物プランクトン、甲殻類や魚卵、幼魚、ほかのクラゲなどが大好物。また、タコクラゲなどは体内に共生藻と言われる「藻(甲虫藻)」を持っていて、この藻が光合成して作り出したエネルギーで生きていくことができます。
・クラゲは、じっとしていても傘の縁をパフパフ動かしています(パルセーション開閉運動と言います)。これは、体液や栄養を水管と呼ばれる血管のような器官に送り込むための行動で、あのパフパフで泳いでいるわけではありません。
水管の内部には、せん毛と呼ばれる繊維状の仕組みがあり、傘の開閉運動が無くても、体液や栄養を少しずつ循環しています。
・クラゲの寿命は、数ヶ月から2~3年です。基本的には潮の流れに漂って生活しているため、水流が無いところでは泳ぎ疲れてすぐ死んでしまいます。
④どんな仲間がいるか
クラゲは大きく2つの種類に分けられます。
一つは、フウセンクラゲ(いわゆるクラゲとは別の種類)などが属する有櫛(ゆうし)動物門、もう一つはミズクラゲなど一般的なクラゲが属する刺胞動物門で、イソギンチャクやサンゴなどもこの部門に属しています。
⑤どこで見れるか
淡水から海水まで、世界中に生息しています。
日本の海でよく見かけるのはミズクラゲ、エチゼンクラゲなどです。
⑥どうやって増えるか
クラゲの増え方はとても特徴的で不思議です。
1)卵子か精子を海中、もしくは傘の内側にあるポケット(生殖巣下腔)に放出します。
2)卵子と精子が受精した受精卵が孵化すると、ゾウリムシのようなプラヌラ幼生と言われる幼生が生まれ、遊泳していきます。
3)プラヌラ幼生は、海底の岩や貝殻の上に着底して、イソギンチャクのような形のポリプに変化します。
4)ポリプは繁殖時期になるとポリプ上部をエフィラと呼ばれる形に作り変えていきます。
5)エフィラが成長し、クラゲとなります。
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⑦食べれるか
日本と中国では、一部の種類(エチゼンクラゲなど)が食べられています。コリコリした食感が人気です。中華料理では「海蜇」といい、細切りにして乾燥させ塩蔵したものを、水で戻して酢の物や和え物などにする調理されています。
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ウニ(雲丹)

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①進化の段階
イソギンチャク、サンゴ、クラゲなどの腔腸動物が進化してウニの仲間になりました。ウニは皮(殻)の表面にトゲがあるから棘皮(きょくひ)動物と呼ばれていて、ヒトデやナマコもこの仲間です。
この仲間は、ヒトデに代表されるように5角形が基本になっていて、歯も5本、ウニの身も一つのウニに5個が基本になっています。ウニは、トゲに混じって管足(かんそく)よばれる先端に吸盤の付いた足があって動くことができます。
②いつからいるか
5億年前の化石が発見されていることから、生物の爆発的多様化が起こったカンブリア期の頃だといわれています。
③とくちょう
ウニの体は単純にできています。
腹面(下の部分)中央に口があり、消化系は体内を一巻きのらせんを描きつつ上に抜け、殻の上に肛門があります。ウニの上に付いている小さな穴がお尻と言うことです。
この段階で、ようやく口と肛門が別れました。
ウニの口は「アリストテレスの提灯」と呼ばれていて、アリストテレスがこの口器の構造を調べて記録していることから名がつけられたと言われています。
・大きさは5cmから10cm位が標準的ですが、スイカくらいの巨大ウニもいるらしいです!
・ウニは種類によってずいぶん寿命が違って、バフンウニは7~8年、キタムラサキウニは14~15年、アメリカオオムラサキウニは100年以上生きるといわれています。ウニは成長に伴って殻板が大きくなり、年輪のような成長の跡が残るので年齢がわかります。
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④どんな仲間がいるか
紫色でトゲの長いムラサキウニ、赤色で平たいアカウニ、緑っぽくトゲが短いバフンウニ。バフンウニは名前に似合わず味がもっともおいしい(といわれています)。砂浜にはトゲがとても短いカシパンウニの仲間がすんでいます。カシパンに近いウニにはタコノマクラやブンブクチャガマなどもいます。
⑤どこで見れるか
コンブや海草の多いきれいな海の海底に住んでいます。
ウニの卵は汚れた海水では死んでしまいます。きれいな海にしか住めないからウニの卵で海のよごれを調べたりもしています。
ムラサキウニは浅い海底に住んでいますが、砂に潜っている仲間もいます。中には水深7000mに住んでる仲間もいてなかなか見つけられません(人が行けないからね・・・)。
⑥どうやって増えるか
多くのウニは、春から夏(アカウニは初冬)の、それも大潮の日等に、オスとメスがそれぞれ、精子と卵を一斉に出して海中で受精を行います。決まった時に一斉に精子と卵を出すことは、受精チャンスを高めるのに好都合ですが、どのようにしてこの時を知るのかはわかっていません。不思議ですね。
受精した卵はエキノプルテウスとよばれる幼生になり、しばらく海中を漂うプランクトン生活をしてから、やがて海底へおりて子ウニになります。
⑦食べれるか
いわずもがな、食べれます。
日本人は好んでウニを食べますが、実は外国ではあんまり食べられていません。
日本人がウニを食べるようになったのは有史以来からで、西暦713年にだされた「風土記」と言われる本にウニを食べていることがでているのが一番古い記録です。
日本以外では、イタリアのポンペイの遺跡からウニの殻が出土していて2500年以上前からウニが食べられていたといわれています。
ウニはできるだけ新鮮なほうがおいしい。
ウニは雌雄異体で、食べているウニの身は生殖巣と呼ばれる卵とか精子を作るところですが、見ただけでは卵巣なのか精巣なのかはわからないし、味も変わらずおいしいです。
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さて、今日は以上として、続きは明日お送りします 👿
お楽しみに

List    投稿者 crz2316 | 2012-08-12 | Posted in ⑨おもしろい生き物No Comments » 

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