- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

太陽系を探検しよう11.彗星~尾っぽの不思議~

こんにちは~ 😀

1997-3-27-19-30%E5%88%86%E5%BD%93%E5%88%A5%E7%94%BA%E9%9D%92%E5%B1%B1%E3%83%BB%E6%9D%89%E5%B1%B1%E5%89%9B%E8%8B%B1.jpg
97年に観測されたへール・ボップ彗星(杉山剛英さん撮影)
尾が2本出ているのが、はっきりと見てとれます。

「太陽系を探検しよう」シリーズ、前回の「10.彗星~太陽の外圧を伝える輝き~」 [1]では、
・彗星の尾は何で出来ているのか
・なぜ尾が出来るのか
について、追求してきました。

続く今回は、

・彗星に生じる2本の尾の向きが、軌道を回るなかでどのように変化するのか
・尾の動きを規定する要因は何なのか


について、書いていきます。
続きの前にポチっと応援よろしくお願いします 😀
いつもありがとうございます

彗星には未だに未解明な部分が多く、尾の動きの原因についても、いくつかの説が唱えられています。
今回、特に「彗星の尾の軌道」について探索する中で、高校で科学を教えておられる杉山剛英先生のサイト(「杉山剛英の科学実践」 [2])に出会いました。
そうして、質問のお手紙を差し上げたところ、親切なご回答を頂きました。
%E3%81%8A%E6%89%8B%E7%B4%99%E5%86%99%E7%9C%9F.jpg
↑先生から頂いたお手紙。ヘールボップ彗星の写真まで同封して下さいました!
今回は、杉山先生の説をご紹介させて頂きます。

* * * * * * * * * * * *

前回の記事で述べたように、彗星は太陽から3天文単位付近(=地球と太陽の距離のほぼ3倍程度)まで近づくと、核表面の物質が蒸発し、その成分によって2本の尾が生じます。

2本の尾は、どのような向きで生じ、太陽付近を回りながらどのように変化していくのでしょうか?
(以下、杉山さんの資料より引用)

* * * * * * * * * * * *

太陽表面からは500~1000km/sの高速で電子や水素イオン等の荷電粒子が飛び出しており、これを太陽風と言います。

%E5%9B%B3%EF%BC%91.jpg

火星軌道付近まで接近した彗星の表面からは、太陽光に炙られて、水や二酸化炭素、ちりなどが吹き出しています。
軽いガスは太陽風に流され、ほぼ太陽と正反対の方向に青く輝く尾として観察できます。尾はあたかも彗星がジェット噴射して進んでいるようなイメージを与えますが、全く関係ありません。

%E5%BD%97%E6%98%9F%E3%81%AE%E5%B0%BE%E2%97%8B%C3%97re.JPG

彗星自体の移動速度は、地球軌道付近で30km/sで太陽風より格段に遅いため、ほぼ太陽風の通りの向きに輝いて見えます。

%E5%9B%B3%EF%BC%92paint.JPG

彗星表面から吹き出したちりや砂は重いため、太陽風によって吹き飛ばされる速度が遅くなります。その間に彗星本体が移動しているので、軌道上に残される様に分布し、太陽光を反射して白っぽい尾(図の点線)になります。こうして、太陽を回りこむにつれて、2つの尾の角度は開いていきます。


%E5%9B%B3%EF%BC%93%E3%80%90%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%89%88%E3%80%91re.JPG

* * * * * * * * * * * *

尾を構成する物質あるいはプラズマの重さによって、太陽風の影響度が変わるために、2本の尾の向きに差が生じていくのですね。
杉山先生の説では、太陽風が原因とのことですが、
巷では、磁場が原因であるとする説や、太陽光の光圧が原因であるとする説もあります。これら諸説については、今後も継続して追求していきたいと思います。
最後に、今回の記事作成を快諾頂きました杉山先生、大変貴重な資料をありがとうございました。
今後も、協働の機会を持てることを楽しみにしております。宜しくお願いいたします。

[3] [4] [5]