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地平線近くの満月は、なぜ大きく見える?

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この前、帰宅中に地平線近くにあるキレイな満月をみました☆.:*・゚ なんだか神秘的な感じがします。
昔から月は、人間の生活に密着している存在です。農作物の収穫などにも月のサイクルは大きく関わってきました。そして、そんな月に対して、古代の人々は、その時々の植物、動物、または天候の動きを基にして満月に名前を付けてきたとのことです。
北部のネイティブアメリカンは、開花の早い野花にちなんで4月の満月を
Pink Moon(桃色月)と呼んでいる。ほかの文化では、
Sprouting Grass Moon(萌芽月)、
Egg Moon(卵月)、そして
Fish Moon(魚月)と呼ばれています。 
引用元:<National Geographic [1]>
常に自然に対して畏敬の念を抱いていた先人の想いが伝わってくる名前ですね。
 
 
ところで、月を見ていて、ふと思ったのですが
地平線近くでみる満月はすごく大きく感じるのに、真上に来たときに見た満月は普通の大きさに見えるな。何でだろう」ということ。
 
今回はその謎を紐解きたいと思います。


結論から言うと、なんと 実際の大きさは、地平線近くの時も、真上の時も、ほぼ同じ大きさだということです。
(しいて言えば、実は真上の時の方が若干大きくなります。地球と月の距離により)
つまり、「錯覚」でそう見えているだけとのこと!!
これには、びっくり です!
ではそのメカニズムを解明していきましょう。
「本当に錯覚なの?」と思われる方は、まずは 五円玉 を用意しましょう。
五円玉を手に持って、腕を伸ばして、五円玉の穴から月を覗きます。なんと 、月は五円玉にすっぽり収まるではないですか!思った以上に小さいことにびっくり です。
これ、本当にその大きさなんです。
計算してみましょう。
月の理科年表から視直径は、およそ0.5度です。腕の長さは、50cm、五円玉の直径は、0.5cmです。
手を伸ばした長さ50cmを半円とした円周を考えます。
円周と五円玉の穴の直径0.5cmの比と、360°に対する五円玉の穴の視角が等しいことから、五円玉の穴の視角を求めます。
360°:X°=50×2×3.14:0.5
    X =0.573≒0.6
五円玉の穴の視角は約0.6°と求められます。
したがって、五円玉の穴の視角のほうが、月の視角0.5°より大きいので、五円玉の
穴から満月が見えることがわかります。
詳しくはこちらをどーぞ。坪田新左衛門プロジェクト [2] 算数 耳寄りな話 [3]
思った以上に月は小さいことが分かります!
実際の月の大きさを実感できましたね。
では、「なぜ錯覚が起こるのか?」それに入っていきましょう。
なぜ錯覚が起こるのか?
どのように「錯覚」が起きているのかは、諸説があります。
1.瞳孔散大説
地平では光線が弱められ、瞳孔が散大し大きく見える。
2.水晶体扁平説
天頂を向くと眼球の水晶体が薄くなるため、小さく見える。
3.比較説
地平の小さく見える木や家と比較して、大きく見える。
4.対比説
天頂の月は青黒い夜空との対比効果で小さく見える。
5.視線説
視線を上げて見ると小さく見える。
6.地平視角説
地平のものに対する視角が、天頂方向での視角より大きくなるため。
7.周辺視説
天頂の月は地平より感度の良くない周辺視になりやすい。
8.介在説
地平には月との間に様々なものがあり、距離感が増し大きく見える。
9.遠景説
靄(もや)とか薄明のため地平の月は遠く感じ、大きく見える。
10.天空形状説
天空の形を扁平に認識しているため、放射距離の大きい地平の月が大きく見える。
 
引用元:The Moon Age Calendar [4]
 
比較説の検証
一番、言われているのが「比較説」 です。
それを実験する図を用意しました。
下に2枚の「月」の写真があります。まずは「上の写真のみ」を見てみて下さい。
(下の月の写真は何か物などで隠して下さい。)
上の写真
moonhi.jpg
じっくり見た後に、今度は「下の写真のみ」を見て下さい。
(上の写真は隠して下さい。)
下の写真
moonlo.jpg
どうでしょうか?下の写真の月の方が、大きく感じましたせんでした?
実は、同じ大きさです。
どの説が正しいのか、みなさん検証してみて下さい☆.:*・゚

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