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「みんなが知りたい!原発と生物シリーズ」~生物と放射線

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画像は、こちらからお借りしました。
地球と放射線 [1]光合成細菌 [2]
原始地球は、現在の大気層はなく、地表に様々な放射線が降り注いでいたと言われています。
生物は、放射線に対してどのように適応してきたのだろうか?
この辺りを紹介したいと思います。
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まずは、生物の進化の歴史について、現在わかっている説です。
生物の進化の歴史 [6]

<主な出来事>
45億年前 地球誕生
38億年前 生物が誕生(嫌気性細菌)
30億年前 酸素非発生型光合成細菌の登場
27億年前 地球磁場の形成により宇宙線が遮蔽★
20億年前 酸素発生型光合成細菌(シアノバクテリア)の大繁殖
     地球の酸素濃度上昇によりオゾン層の形成(現在の5分の1)★
10億年前 多細胞生物の出現
5.5億年前 酸素の急上昇により現在のオゾン層が形成★
     →紫外線の遮蔽により、陸上生物の登場

・・・生物は放射線の一種である宇宙線を避けるように深い海で誕生したといわれています。地表において放射線濃度は2つの劇的な変動によって、低下してきたと考えられます。
まずは、27億年前★地球磁場の形成 [7]

地球の内部には、内核という部分とそれを取り巻く外核があります。内核は金属(主に鉄)を主成分とする固まった部分。外核はどろどろに融けた金属であるとされています。固い内核の周囲を外核が流動するためそこに電気が生じ、磁場が形成されているというのが今の地球の姿です。この磁場は地球が誕生して20億年かかって現在のようなものになったとされています。
磁場は南極と北極を磁極として地球を取り巻くように地磁気を形成しています。この地磁気は今までに何回も反転しているようで、直近では70万年前に一度反転しています。
地磁気は地球を取り巻くバンアレン帯というバリアを形成しており、これが地上に降り注ぐ有害な太陽風や宇宙線を防いでいます。地磁気がなくなるとバリヤはなくって、有害な紫外線や宇宙線が降り注ぎ、人類をはじめ多くの生物にダメージを与えます。

宇宙線とは何か? [8]←宇宙線についてはこちらで
・・・現在の宇宙線は、無害であるミューオンとニュートリノを除いて、大気中で吸収されます。
そして、2つ目 20億年前、5.5億年前★酸素発生型光合成細菌、植物によるオゾン層形成
□酸素光合成細菌とは?
38億年生物は熱水噴出口の回りで誕生し、20億年前太陽光線をエネルギー源として吸収する光合成細菌が誕生しています。
生物が増えていく過程で、エネルギーの獲得をめぐり生物間の種間闘争が激化し、放射線をエネルギーとして吸収する生物も登場したと考えられます。
例えば、チェルノブイリ原発周辺では放射線を吸収する菌類が発見されています。この菌は、植物が光合成によって「可視光線」をエネルギー源にしているのと同様に、「放射線」をエネルギー源として利用しています。この菌類が放射線を捉える為に使っている(植物でいう葉緑素の役割)のが、メラニン色素です。人間の皮膚にもメラニン色素は存在してはいますが、この菌類は放射線を吸収できるように進化しているため、人間とは異なる機能を備えていると考えられます。
光合成細菌、植物の登場により、酸素は紫外線に反応しオゾン層をつくり、酸素濃度が低かったころは地表にまで及んでいたオゾン層は、濃度の上昇とともに高度が高くなり現在と同じ成層圏まで移動しました。これにより地表では紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられきたと考えられています。
また、植物の出現によって大気中の酸素濃度が上昇した20~25億年前
には、地表付近の二酸化ウランが酸素によって酸化され、水溶性ウラニル錯イオンとなって地下に浸透し、有機物を含む地層で還元されてウラン鉱床となったと考えられています。
地表の放射線の濃度が地中に比べて低下していたとも考えられます。
ウラン還元菌の詳細についてはもう少し調べる必要があります。
20億年前、原子炉がアフリカに存在したという事実 [9]
◆まとめ
現在、放射線をエネルギーにする光合成細菌など耐放射線細菌は発見されていますが、生物と放射線の歴史からは地球磁場の形成や大気の形成により有害な放射線から生物は守られてきたと考えられます。
よって、生物が放射線に強いというのは、都合のよい解釈ではないかと考えます。

次回は、自然放射線と人工放射線の違い、耐放射線細菌のしくみについて紹介したいと思います。

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