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今週の福島原発(6/29~7/5)~循環注水冷却の状況/5号機は大丈夫?/福島周辺の被ばく実態が徐々に明らかに・・・

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福島第一原子力発電所4号機 原子炉建屋5階 使用済み燃料プール(2011年6月29日撮影 東電)

<今週の福島原発の動き>
6/28 循環注水復旧へ作業開始 [1] 
6/29 放射能漏れ防ぐカバー設置 [2]  
7/01 汚染水浄化処理システムを停止 [3]  
7/02 3号機原子炉建屋にロボ投入、床面の清掃開始 [4]  
7/03 5号機の海水のホースに水漏れ発見、取り換え工事→運転再開 [5]  
7/04 1号機原子炉への注水量が減少。原因調査中 [6]  
7/05 3号機に窒素注入準備 [7] 

気になる点は、、、
目下の最大の課題である「汚染水浄化→循環注水冷却」は、今週もトラブルによる停止と再開が続いているが、現況と今後の見通しはどうなっているか?
これまでトラブルがほとんど報道されてこなかった5号機の系統に漏水があったようだが大丈夫なのか?
また別の情報では、福島周辺の子どもたちを対象にした放射線被ばく調査の速報も非常に気になる。
福島第1原発事故 福島市に住む子どもの尿を簡易検査した結果、放射性セシウムを検出 [8] 
福島第一周辺の子1000人調査 甲状腺微量被ばく45% [9] 

今日の情報紹介メニューです。
1.汚染水浄化→循環注水冷却はどうなっているのか?
2.5号機・6号機は問題ないのか?
3.福島周辺の被ばく状況の調査結果をどう見るか?
4.東京都大田区蒲田の放射線量測定


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◆1.汚染水浄化→循環注水冷却はどうなっているのか?
循環注水冷却装置が本格稼動
汚染水の増加を食い止める循環注水冷却装置が7/02 18:00頃に、ようやく本格稼働を始めた。運転を開始した6/27以降も配管の水漏れ等でトラブルが続出していたが、ようやく稼動の目処が立った。
循環注水冷却の本格運転以降のトラブル
6/27 16:20 「循環注水冷却」の運転を開始
6/27 17:55 仮設貯蔵タンクから延びる塩化ビニル製ホースの継ぎ目から外れて
         水漏れ、停止。継ぎ目が約100ヶ所あることから、28日に全て確認
6/28 16:00 循環注水冷却を再開
6/29 08:10 塩化ビニル製ホースの2箇所の小さな穴から水漏れ、停止
6/29 09:30 淡水化装置の処理水(濃縮塩水)を受けるタンク下部で漏洩
6/29 14:49 除染装置を点検していた作業員がふたを開けたところ、水があふれ
         警報が鳴ったため、装置を手動で停止する。
6/30 09:00 濃縮水貯蔵タンクの増設などに伴い、淡水化装置を一時停止
6/30 14:36 除染装置の処理水タンクの水位設定を「30%」以上とすべきところ
         を「3%」誤って設定。水位低下により自動停止
7/02 14:00 「循環注水冷却」を調整運転。18時頃から完全稼動が可能に。
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循環冷却するための配管は約4キロにも及び、直径約10cm、長さ20mの塩化ビニル管を何本もつなぐ必要がある。今後も継手の漏水トラブルが生じる恐れがあるため、定期的に点検を行うことが求められる。
東電の6/26の発表によると、処理水の放射性物質の濃度は、ヨウ素131が1100ベクレル/立方センチ、セシウム134が15ベクレル/立方センチ、セシウム137が18ベクレル/立方センチとなり、処理前に比べてそれぞれ3分の1、15万分の1、13万分の1に低減できたという。

とりあえず何とか稼働にこぎつけた状況、今後も大小のトラブルは起こりうるだろうが、現場の健闘を見守りたい。

◆2.5号機・6号機は問題ないのか?
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福島第一原子力発電所 5号機仮設RHRSポンプ出口配管部漏えい状況(2011年7月3日撮影 東電)

東電は7/03、福島第1原発5号機の原子炉を冷却する残留熱除去系で、海水が流れるホースの亀裂から海水が噴き出しているのが見つかったと発表。海水が漏れたのは直径20センチのポリ塩化ビニール製の仮設のホースで、U字形に曲がった部分。長さ約30センチ、幅約7センチの亀裂から海水が噴出。冷却を止めていた時間は約3時間半、その間、炉内の水温が約43度から約5度上昇した。

読み飛ばしそうになったニュースだが、海水が漏れたのが「仮設のホース」というところが引っかかる。今まで、5・6号機は無傷だと思い込んでいたが、仮設のホースというのはどういうことか。調べてみると、5号機も6号機も、3月11日の地震で被害を受けて、3月20日に仮設のポンプで残留熱除去系を復活させていたようだ。1~4号機同様、5・6号機も津波の被害を受けて損傷していた。

<福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ>(4月1日 午前10時現在)
5号機(定期検査で停止中)
・3月20日午後2時30分、原子炉は冷温停止状態となりましたが、3月23日午後5時24分ごろ、仮設の残留熱除去海水系ポンプの電源を切り替えた際、自動停止しました。その後、3月24日午後4時14分頃、交換したポンプを起動し、同日午後4時35分頃、原子炉の冷却を再開しました。
6号機(定期検査で停止中)
・代替の残留熱除去海水系ポンプ2台について、3月25日午後3時38分および午後3時42分に仮設の電源から本設の電源に切り替えを行いました。

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上記は原子炉の温度グラフ、3月11日から20日の間は5号機で200度、6号機で160度まで炉内の温度が上昇。この仮設の配管、大丈夫なのか?大きな余震で壊れたら、5・6号機もメルトダウンするのではと不安になる。他にやることはいっぱいあるのだろうが、通常の状態なら仮設のホースやポンプのままで冷却を続けることは考えられないだろう。

◆3.福島周辺の被ばく状況の調査結果をどう見るか?
■福島第一周辺の子1000人調査 甲状腺微量被ばく45% [9]

調査は国と同県が三月二十六~三十日に、甲状腺被ばくの可能性が高いと予想されたいわき市、川俣町、飯舘村で、ゼロ~十五歳までの千八十人を対象に実施。45%の子供に被ばくが確認された。
安全委によると、最高値は毎時〇・一マイクロシーベルト(一歳児の甲状腺被ばく量に換算すると年五〇ミリシーベルト相当)に上ったが、99%は毎時〇・〇四マイクロシーベルト以下。同様の換算で年二〇ミリシーベルトに相当するが、加藤審議官は四日の記者会見で「換算するには(調査の)精度が粗い。精密測定が必要な子供はいなかった」と述べた。

■子供の尿から放射性セシウムが検出 [12]

 福島市内の6~16歳の男女10人の尿から放射性セシウムが検出された問題で、文部科学省は1日、放射線医学総合研究所で内部被爆量を推定した結果、最大でも十数マイクロ・シーベルトだったと発表した。

■南相馬市の一部職員が内部被ばく [13]

福島第1原発事故直後、第1原発から半径20キロ圏内で勤務していた南相馬市役所の一部職員から放射性セシウムや放射性ヨウ素が検出されたことが4日、分かった。

■東北~関東で鼻血を出す子供が増加!?<福島県> [14]

問診会場近くの植え込みで、放射線測定器をかざすと、毎時二・三三マイクロシーベルトの値を示した。地面から離すと一マイクロシーベルト台に下がる。郡山市内の十二日の最大値は一・三八マイクロシーベルト。…年間積算線量は11,388ミリシートベルト。

<Twitterに集まる鼻血報告> [15]

うちの旦那も最近よく鼻血出してダルいって言ってます((((;゚Д゚)))))))RT @maikpy: うちの旦那もです!(-。-; RT @ynlk: @tokaiama うちの旦那も鼻血でてた、、、

事態を的確に知るため、まず放射線の初期症状を抑えることと、症状が発現する線量を知る必要がある。
放射線影響研究所の報告 [16]によると、情報は主として1956年から1961年の間に10万人以上の原爆被爆者の面接から得られたもので、嘔吐、出血、下痢、 皮下出血といった急性症状の中でも、より客観的に記憶されていた症状として脱毛は最も信頼できる報告と見なされているようだ。
「急性放射線症」と総称される疾患は、高線量の放射線(約1-2 Gyから10 Gy)に被曝した直後から数カ月の間に現れるようで、脱毛に関してみれば、放射線の量が1 Gyまではわずかな影響しかみられず、それ以上の量になると脱毛は線量と共に急激に増加していく。
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図. 重度脱毛と放射線被曝線量
放射線障害の症状の一つである鼻血は、4ミリシーベルトの被曝で発現するといわれている。 [17]
原発事故から4ヶ月経過した現在となれば、累積で4mSvの被爆を受けていてもおかしくない。Twitterの報告数と、被ばく放射線量の総計を考えれば、鼻血の増加は妥当な事実とも考えられる。今後はそれ以上に、嘔吐、下痢、皮下出血、脱毛とどんどん症状が変化していくことになるかもしれない、危険な状況であろう。

◆4.東京都大田区蒲田の放射線量測定
5/11から東京都大田区蒲田でガイガーカウンターによる放射線量測定を実施中。
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測定場所:東京 蒲田
測定機器:COLIY 900+
測定位置:RC造ビル4F室内窓際(窓開放)、室内、屋外(地上50cm)、屋外の地表面(土の上)
測定方法:10分間の累積線量から1時間あたりの数値に換算。
(10分間の累積線量を6倍しています。)
1日に12時と24時の2回測定。
測定放射線:α線+β線+γ線
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メモ
・5/8 3号機黒煙噴出・・・影響は不明。
・5/20 乳酸菌散布開始・・・微かだが室内の値が下降傾向に? [18]
・5/31 屋外の線量が下降傾向に。
・6/15 4号機白煙と発光?・・・5日後屋外線量が若干上昇、7日後には下がり始める。
・6/27 室内の線量は横ばいのまま?
・5/11 以降、急激な変化なし

今後も調査を続けていきます。

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