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今週の福島原発(6/1~6/7)・・・1~3号機メルトスルー/汚染水をどうする?/人体・生物への影響は?

今週も福島原発の最新状況を報告します。

<今週の福島原発の動き>
東京電力 福島第一原発事故関連ニュース [1]
福島第1原発の最新状況まとめ [2]

6/1
2号機燃料プール 水温下がる
保安院 汚染水の対策を求める
6/2
2号機、プールの水温低下 代替冷却機能を設置
2号機取水口付近 濃度が上昇
3号機 汚染水を復水器移送へ
6/3
汚染水10万トン 浄化急ぐ
原発運転員2人 被ばく量限度超す
汚染水あふれるおそれ 対策検討
汚染水10万トン余に 浄化急ぐ
IAEA 詳細報告改めて求める
6/4
汚染水を貯蔵する大型タンクの搬入準備開始
汚染水移送 仮設タンク搬入へ
2号機建屋 高湿度は変わらず
1号機建屋 極めて高い放射線量
6/5
2号機汚染水、移送開始で水位上昇止まる
汚染水浄化装置 稼働準備急ぐ
敷地外からプルトニウム検出
1号機の圧力 大気圧とほぼ同じ
6/6
福島第1原発に汚染水貯蔵タンク370基調達
1―3号機でメルトダウン 保安院解析
汚染水浄化装置の準備進める
原発作業員 熱中症など相次ぐ

今週一週間の出来事から、福島原発の現状認識として、「汚染水の増加と処理の問題をどうする?」が最大の課題であることが分かる。
また、政府がようやく「1~3号機のメルトスルー」を認めた。このまま放射能が漏れ続けると、原発周辺の生物、さらには人体への影響が出るのは避けられない状況だといえる。

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1.1~3号機がメルトスルー、今後どうなる?
政府はようやく、1~3号機のメルトダウン、そしてメルトスルーを認めた。今後どのようなことが起こりえるのか?
※「メルトスルー」の可能性、政府がIAEAに報告へ [6]
プレメルトダウン(炉心がいつ溶け出してもおかしくない温度の状態

メルトダウン(炉心が溶け出した状態)

フルメルトダウン(炉心が完全融解した状態)

メルトスルー(液状化した炉心が高熱により圧力容器を突き破った状態)

メルトアウト(液状化した炉心及び熱せられた物質が施設自体を破壊し外界に放射性物質をばらまいている状態)
————————-ここから未明領域—————————

サーフェスフュージョン(溶け出した燃料が大地を侵食した状態 以後 数百年は居住不可 )
※溶け出した燃料がさらに地中深く達していくのかどうか、その場合どのようなことが起こるのかについては未明の領域。いずれにせよ、土壌や地下水汚染は深刻なものとなる。大量の地下水に触れると水蒸気爆発を起こすという説もある。仮に、地殻の温度の高い部分(マグマ溜まり等)に接した場合は・・・?

【メルトスルーについて補足】
・自らの発する熱で高温になった溶融燃料は、鉄の融点(1500度くらい)よりも温度が高い。このため、冷却されないと、厚い鋼鉄製の圧力容器や、それに比較すると薄い格納容器の壁を溶融貫通する。
・高温になった溶融燃料が格納容器に落下した瞬間、燃料に触れた水から超大量の水蒸気が発生し、容器の設計限界圧力を超えて水蒸気爆発することも懸念されたが、これは起こっていない。
・核燃料が非常に高温のまま格納容器の底を抜けた場合には、コンクリートの床を溶かして貫通する。遮蔽コンクリートの溶融温度は2200度くらいといわれている。
・燃料に不純物の混ざって温度が下がった場合は、どこかで浸食は止まる可能性もある。(チェルノブイリでは原子炉の容器は二重構造ではなかったが、容器を抜けた溶融燃料がコンクリートなどの物質を溶け込ませて溶岩状燃料含有物質、外観から「象の足」と呼ばれるものを形成した)
・いずれにせよ容器外へ燃料が漏出すれば、大量の放射能汚染を引き起こすことになる。
・地震によって建屋のコンクリート躯体は損傷を受けている可能性が高く、クラック等から燃料が地下外部へ漏れ出る可能性もある。

2.汚染水の処理をどうする?
原子炉内の燃料の冷却は続ける必要があるが、メルトスルーしている以上汚染水の増加は止まらない。

東京電力は3日、福島第一原子力発電所の原子炉建屋地下などにたまる、放射性物質を含む高濃度汚染水の保管・処理計画を発表した。
 降雨の影響で20日にも汚染水が海へ流出する恐れがあるため、15日に汚染水の処理施設を稼働させ、浄化した水を別のタンクに移し替えることで、外部流出を防ぐとしている。計画は、梅雨や台風シーズンを前に海などへの流出を懸念する経済産業省原子力安全・保安院の指示を受け、策定した。汚染水の放射能量を72京ベクレル(京は1兆の1万倍)と算定。集中廃棄物処理施設の汚染水は、15日稼働予定の処理装置で浄化を始め、汚染水濃度を中低レベルに下げた上で、建設中のタンクに貯蔵する。また、高濃度汚染水を貯蔵するため、地下に埋設する「地下防災タンク」(容量約1万トン)を8月中旬をめどに設置する計画だ。

Yahoo ニュース [7]
当初計画していた循環冷却装置の設置は、建屋内の放射線量が高すぎて工事できない。また、アレバの処理装置を稼動させた場合でも、高濃度汚染水を中低濃度汚染水へ下げるだけなので、汚染水量は変わらない。冷却用の注水量は一日約約500トンのため、現在設置中の340基の保管タンク(約4万トン)も2ヶ月もすれば満タンになってしまう。
京大小出氏は、巨大タンカーで柏崎刈羽原発まで輸送し、廃液処理装置で浄化する方法を提起している。参照元 [8]

〇廃液処理装置とは?
原子力発電所は、日常の発電で発生する汚染水は蒸留工程を経て濃縮液と分離して、汚染を取り除いた水を海へ戻している(参考 [9])。
柏崎刈羽原子力発電所の濃縮廃液は各1~7号炉の濃縮廃液タンクに貯蔵し、放射能を減衰させた後、固化材(セメント系)と混合してドラム缶内に固化し貯蔵保管している。
濃縮廃液発生量はプラントによって異なるが、年平均約4~7m3 と少ないようで、現在の福島原発1~4号炉に貯蔵している濃縮廃液総量(約190m3)をセメント固化処理した場合、約320日程度(0.6m3/日・基と想定)で固化処理完了が可能となる。
濃縮廃液タンクの総量は公開されていないが、余裕はあるようで、現在20年使用しても、後20年は満タンにならないと言われています。よって少なくとも後190m3(190t)は受け入れることが可能と考えられます。
何年かけて放射能を減衰させているのかは不明だが、柏崎刈羽の濃縮廃液タンクは一次受け入れ先として、有望な場所だと考えられる。
参考 [10]

3.作業員や動植物への影響は?
メルトスルー、汚染水の漏洩が続いており、最前線で作業に当たっている作業員だけでなく、動植物への被爆による影響が懸念される。
以下、関連記事の抜粋。
第1原発に立ち入り調査=東電社員の被ばく上限超えで―厚労省 [11]
時事通信 6月7日(火)13時49分配信

 福島第1原発で作業していた東京電力社員2人が緊急時の線量限度250ミリシーベルトを超える被ばくをしたとみられる問題で、厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いがあるとして、7日午後、同原発の立ち入り調査を実施した。今後東電に対し、是正勧告などを行う見通し。
 同日午後1時40分~同4時の間、同省監督課と福島労働局の労働基準監督官4人が、社員2人が作業していた3号機と4号機の中央制御室などに立ち入り。作業環境を調べた。
 2人は「水素爆発の直後、マスクを着けていたか記憶にない」と話していることから、マスクの着用指示が出されていたかや、実際の着用状況についても、同監督官らが東電側に聞き取り調査した。
 同省は女性社員が線量限度を超える被ばくをした問題でも5月27日に立ち入り調査を行い、同30日に是正勧告した。
 また、東電から同省への報告によると、当時は2人の他に130人が中央制御室での作業に従事しており、うち3人が100ミリシーベルトを超える内部被ばくをした恐れがある。同省は東電に対し、被ばく量の詳細な調査を行うよう指示している。

被曝線量250ミリ超え 「ただちに影響なし」も将来的ながん発症リスク [12]
産経新聞 6月4日(土)22時22分配信

 2人の作業員が内部被曝した放射線量は30代男性(外部被曝73.71ミリシーベルト)が210~580ミリシーベルトで、40代男性(同88.7ミリシーベルト)が200~570ミリシーベルト。放医研は2人について「確定的影響はない」としている。
東電によると、2人と同様の環境で働いていた作業員は約130人。今後も現場で働けなくなる作業員が出る可能性は高い。事故収束に向けた作業が長期化する中で、作業員の確保が問題となるのは必至。

福島原発、50代女性社員が被曝限度3倍超 ほか2人も恐れ [13]
2011.4.27 13:18

東京電力は27日、福島第1原発で働いていた50代の女性社員1人が、3月11日の東日本大震災発生後に17.55ミリシーベルトの放射線量を被ばくしたと発表した。女性の放射線業務従事者について国が定めた被ばく線量限度「3カ月で5ミリシーベルト」の3倍以上となっている。
女性は医師の診察で健康に影響がないことが確認されたという。福島第1原発には女性社員がほかに18人おり、このうち2人は同様に限度を超えた恐れがあるとみて東電は詳しく調べている。

福島第1原発 作業員3人が被曝 1号機制御室で照明点灯 [14]  
2011.3.24 21:33 (1/2ページ)

 東日本大震災で深刻な被害を受けた東京電力福島第1原子力発電所で24日、20~30代の作業員3人が被曝(ひばく)し放射性物質(放射能)が皮膚に付着した2人が病院に搬送された。被曝量は173~180ミリシーベルトで、今回の事故に限定した作業員の年間上限の250ミリシーベルトに迫る量だった。福島県立医大(福島市)に運ばれたが、熱傷の疑いがあり、放射線医学総合研究所(千葉市)に転院する。

■内部被曝 福島出身原発作業員から多数発見される。周辺住民も内部被曝の可能性。 [15]

福島出身の原発作業員が他の原発に移り内部被曝をチェックしたところ多くの人が内部被曝をしていることが判明した。
<内部被ばく>県外原発で働く福島出身作業員から相次ぎ発見
 東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。
~中略~
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器「ホールボディーカウンター」による検査で、東電が内部被ばくの目安としている1500cpm(cpmは1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から聞き取った。1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。

■3月12日、南相馬の病院→患者から、人から人へ二次被曝するほどの線量が測定されていた。 [16]
引用:南相馬市にて(衆議院議員 徳田たけしオフィシャルブログ

そして及川副院長の話から驚愕の事実を知る。3月12日の一度目の水素爆発の際、2㎞離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは人から人へ二次被曝するほどの高い数値だ。
しかし、そこまで深刻な状況だったとは政府から発表されていない。病院に立ち寄ることなく、被ばくしたことも知らずに、家に帰って子供を抱きしめた人もいたかもしれない。

7人の母乳から微量の放射性セシウム…福島 [17]
(2011年6月7日20時42分 読売新聞)

厚生労働省の研究班は7日、東京電力福島第一原発の事故を受け、福島、宮城など8県で実施した母乳に含まれる放射性物質の検査結果を発表した。
授乳中の母親108人のうち、福島県内の7人から微量の放射性セシウムを検出した。研究班では、「大気や食品中の放射性物質の影響と考えられるが、母体、乳児とも長期的な影響も心配がない量。普段通りの生活をしてほしい」としている。
調査は、5月18日~6月3日に福島、宮城、山形、茨城、栃木、群馬、千葉、高知の8県、108人から提供された母乳を調べた。事故の影響を調べるため、原発から離れた高知県も対象に含めた。
その結果、福島県相馬市、福島市、いわき市、二本松市の7人から母乳1キロ・グラム当たり1・9~13・1ベクレルの同セシウムが検出された。同ヨウ素は検出されなかった。母乳には暫定規制値がないが、厚労省は、飲料水の規制値を参考に、同セシウムは1キロ・グラム当たり200ベクレルを安全性の目安としており、これを大きく下回った。

東電社員や協力企業作業員、11人が病院搬送 [18]
(2011年3月13日19時36分 読売新聞)

東京電力は13日、福島第一原発からこれまでに計11人の社員や協力企業作業員が病院に搬送され、うち1人が放射線管理区域で働く社員の被曝(ひばく)上限である100ミリ・シーベルトを超えて被曝していたことを明らかにした。

福島原発の放射能による奇形生物、浪江町の耳なし子ウサギ、柏市の奇形バラなど [19]
2011/06/03

福島原発事故で、大量の放射性物質がばら撒かれた。この放射能により、動物、植物の奇形発生が予想されていた。
放射性物質による内部被ばくは、生物のDNAを損傷するので、細胞分裂を多く繰り返す(DNA複製を大量に行なう)細胞器官に損傷が集中する。そして、DNA損傷により、その器官で奇形が生じる。
一番細胞分裂が一番盛んなのが、動物の胎児である。そして、植物では、生殖器官(花)であり、新しい葉である。
福島原発が爆発事故を起した3月12日~15日から、2ヶ月がすぎた5月になって、いくつかの奇形生物の報告が上がっている。

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      耳のないウサギ                    奇形菜の花
関連記事:
浪江町の「白い耳なし子ウサギ」 [20]
世田谷の「奇形ハムスター胎児 [21]
いわき市の「奇形菜の花」 [22]
柏市の「奇形バラの花」 [23]

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