る読者の方から『地球上で最も強い毒を持つ生物(細菌以外)は何ですか?』という問い合わせを頂きました。
毒性の強さを相対比較する指標は、
①その毒素の致死量はいくらか
②1回当たりの攻撃でどれだけの毒素を相手に注入できるか・・・など
の複数の要素の“掛け算”となります。
また、その毒素の強さと実際の被害件数が実は比例していません。したがって、完璧に順位付けを行うのはなかなか困難なのですが、主に①を明らかにすることを目指して書いてみます。
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まずプロローグとして、「毒」と言えば最初に「毒ヘビ」を思い浮かべますが、毒ヘビには「出血毒」と「神経毒」の2タイプがいます。
ハブやマムシやガラガラヘビは「出血毒」、コブラやウミヘビは「神経毒」です。一般には「神経毒」の方が毒性が強いと言われています。
ちなみに日本には「出血毒」タイプの毒ヘビしかいませんが、最も毒素の強い毒ヘビはヤマカガシです。毒牙が奥の方にあるためかそれまで被害が報告されてなかったのですが、1970年代前半の事故でにやっと毒ヘビとして認知されました。その毒素はハブやマムシを遥かに凌ぎます。ただ、毒ヘビの毒は実はあまり強くないのです。
さて、それでは本題です。
①の致死量という観点からは、動物よりも細菌の方が一般的に強い毒素を持ちますが、細菌の生成する毒素とほぼ同じものを持った動物がいるのです。それがハコクラゲ類です。ハコクラゲ類の毒素はボツリヌストキシンと言われるもので、ボツリヌス菌による食中毒の原因とされるものです。その中でもオーストラリアにいるオーストラリアウンバチクラゲ(別名キロネックスとも呼ばれる)の毒性は特に突出しています。
しかも、オーストラリアウンバチクラゲは体長40 – 50cmほどの傘の下に最多60本ほどの触手を持ち、その
長さは最長4.5mにも達すると言います。現地では大変恐れられているそうです。日本近海にもハコクラゲ類は生息していて、アンドンクラゲやハブクラゲはやはり強い毒を持ちます。
引用元:ウィキペディア [4]
次に、分子構造的にはパリトキシンという高分子が生物の持つ毒では最も危険とされていて、スナギンチャクの触手の毒がこれに当たります。
引用元:くーまるウォッチング [5]
アオブダイはこのスナギンチャクを捕食するため、体内にパリトキシンを蓄えているため、しばしばそれを食べた人が食中毒を起こします。
なお、マイトトキシンという高分子化合物はパリトキシンよりもさらに毒性が強いと言われています。これは有毒渦鞭毛藻という植物プランクトンが合成しますが、自ら相手に注入したりはしないので、一旦参考までに付記しておくにとどめます。
さらに、生物が持つ毒ではパリトキシンに次いで危険とされるバトラコトキシンをヤドクガエルが持っています。この毒素はアルカロイド系の「神経毒」で、フグの4倍の猛毒だそうです。また、ヤドクガエルの皮膚(≒粘膜)にもこの毒素があるので、噛まれなくても一定の危険があります。
さて②ですが、1回の攻撃で最も大量の毒液を注入できるのは、どうやらキングコブラのようで、噛まれたら象も死ぬと言われています。1回あたりの毒の注入量は(当然と言えば当然ですが)体格に比例します。ただ、毒の強さだけならインドコブラの方が上ですし、キングコブラは外見とは異なって意外とおとなしいヘビなので、あまり人的な被害はありません。同じ「神経毒」タイプで比較すると、日本近海にもいるクロガシラウミヘビをはじめとするウミヘビ類の方が毒性は、地上のヘビをかなり上回っていると言われています。
引用元:http://blog-imgs-30.fc2.com/a/k/i/akirou/kingcobra_t.jpg
以上、①に焦点を当てた考察では・・・
第1位 : オーストラリアウンバチクラゲ
第2位 : スナギンチャク
第3位 : ヤドクガエル・・・というあたりが結論と言えるのではないでしょうか。
なお“危険度”という観点から生物が持つ毒性について論及しているサイトがありますので、この場を借りて紹介しておきます。危険度ランキング [6]