「続・人類の拡散」シリーズ プロローグ第二回です。
続編は化石から辿る人類の拡散がテーマですが、タイムリーなニュースがありましたね
「早期にアラビア半島進出か=現生人類、アフリカから」
時事通信 1月28日(金)4時57分配信現生人類(ホモ・サピエンス)が約20万年前にアフリカ東部に出現した後、約12万5000年前にはアラビア半島東部に居住していた可能性が高いことが分かった。これまでは、インド洋沿いに同半島に進出したのは約6万年前とみられていた。
英ロンドン大などの国際調査隊が、アラブ首長国連邦(UAE)の遺跡の中から現生人類が作ったと推定される約12万5000年前の石器を発見したと、28日付の米科学誌サイエンスに発表した。この遺跡はペルシャ湾とインド洋をつなぐホルムズ海峡近くにある。調査隊によると、石器の特徴はアラビア半島の他の遺跡で発見された物より、アフリカ北東部で見つかった石器に近かった。アフリカ東部とアラビア半島西部を隔てる紅海の入り口にある海峡の水位が気候変動で下がり、渡りやすかったのではないかという。
これらは12万5000年前の石器とのことですが、今回のテーマはここに着目しています。
・遺跡や化石はどんなところで発見されるのか?
・どのように年代を測定しているのか?を紹介します。
[1]
[2]
[3]
◆化石はどこで発見されるのか?
人類の化石はアフリカを中心に発掘されていますが、今回のアラビア半島や中国でも続々と発掘され始めています。
人類が住処としていた洞窟から多く発見されていますが、その他に人類に限らず古生物の有名な化石は主に鉱山や採石場で発見されることが多く、そこで働く人も学者たちが化石を高値で買ってくれることを知っています。
例えば南アフリカで発見された「アウストラロピテクス・アフリカヌス」は金鉱山で、
湊川原人やハイデルベルゲンシス等は石灰石の採石場で発見されています。
また「アウストラロピテクス・アファレンシス」や「ホモ・ハビリス」など、アファール盆地やオルドヴァイ渓谷など大地溝帯=地面が隆起し古い断層が露出している地域でも多くの化石が発見されています。
アファール盆地
オルドヴァイ渓谷
写真 [4]
つまり、採掘の手間がかからない場所やたまたま化石が見つかった場所の周辺から化石を探しているので、発見場所が限られているのです。今後、アフリカに限らず中国など世界中で資源の採掘が進めば、新たな人類の化石が見つかる可能性は十二分に予想されます。
では、発見された化石の年代はどのようにして推定されるのでしょうか
◆化石の年代測定方法
化石の測定方法はいくつかありますが、代表的なものは放射線炭素法やカリウム-アルゴン法(K-Ar法)と言った有機物や岩石中の放射線同位元素を用いた手法です。
a.放射線炭素法
放射性同位元素とは不安定な物質で、放射線を放射して別な元素に変わっていきます。
例えば炭素はC12が一般的ですが、地表の大気中では不安定な物質である炭素C14が一定比率で存在しています。生物の体内も同じ比率で炭素を有しています。
炭素C14は5730年後には半数が安定した窒素N14に変わります。生物が死ぬと代謝されないため、体内の炭素14が5730年の半減期毎に半減していく性質を利用して、炭素14の比率から年代を算出する方法です。
化石が発見された貝殻や木炭を分析し、精度は±50年、3~4万年前まで有効な手法と言われています。
ただし、過去と現在でC14の存在比率が一定であることが前提となりますが、それは証明されていません。
参考 山賀 進のWeb site [5]
b.カリウム-アルゴン法(K-Ar法)
放射性同位元素のカリウム40は12.5億年で半数が安定したアルゴン40に変わる性質を利用したのがこの方法です。詳細は割愛しますが、化石が発見された地層の岩石を熱して放出されたアルゴン(気体)の量から年代を推定します。10万年以上前に存在した猿人や原人・旧人はこの方法で年代を推定しています。
問題は、半減期が12.5億年と長すぎることと、発見されるまでに岩石が熱せられていればアルゴンが発生し気化している可能性もあることから10~500万年前の人類の化石年代を測定するには精度が低いとも言われています。
c.分子時計による年代測定
DNAやRNAの変異が一定の確率でおこるという仮定で測定される手法ですが、外圧や種に関わらず変異の確率が不変であるという前提そのものに疑問が残ります。
参考:にほん民族解放戦線^o^ [6]
その他にもいくつかの年代測定方法がありますが、700万年の人類史を貫いて、化石の年代を正確に測定できる方法は確立されておらず、参考程度にとどめておいたほうが良さそうです。
まだまだ未解明の人類史ですが、次回はいよいよ本編のスタートです。