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雌雄の役割分化13~オス猿の序列統合

前回の記事は、サル時代の雌雄分化を、メスの性収束にスポットを当ててまとめました。
ポイントは、2点ありました。
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●闘争共認に基づく同類闘争→メスは闘争上の役割欠損から強力に依存収束、性収束。オスは闘争、メスは生殖と解脱充足という役割共認による雌雄分化、雌雄共認が一段と進化している。
●サルの集団は、原猿段階で形成された「雌雄解脱共認」を中心的な紐帯とし、真猿時代の同類闘争に対応する陣形を塗り重ねた内雌外雄の集団形態に進化している。

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雌雄の役割分化12~サルの雌雄解脱共認 [1]より)
今回は、オスにスポットを当ててサルの雌雄分化を見ていきます。
原猿から真猿への進化の過程で、単独生活⇒単雄複雌⇒複雄複雌へと集団形態が変わっていきますが、複雄複雌型の集団になってくると、オスがどう集団を統合していくかがポイントになってきます。
では、オスはどのように集団を統合しているのでしょうか?
その前に復習として、これまでの記事も併せて覗いてくださいね

【過去シリーズ記事】
雌雄の役割分化 1 ~雌雄分化って何?~プロローグ [2]
雌雄の役割分化 2 ~単細胞生物の「接合」~ [3]
雌雄の役割分化 3 ~雌雄分化の第一段階=殖産分化~ [4]
雌雄の役割分化 4 ~雌雄分化の第二段階=精卵分化~ [5]
雌雄の役割分化 5 ~雌雄分化の第三段階=雌雄躯体分化~ [6]
雌雄の役割分化 6 ~雌雄分化の第三段階=躯体分化(特殊編)~ [7]
雌雄の役割分化 7 ~オスとメスが決まる仕組みとその進化~ [8]
雌雄の役割分化 8 ~雌雄分化の中間まとめ~ [9]
雌雄の役割分化 9 ~哺乳類の集団形態(事例紹介) [10]
雌雄の役割分化10~哺乳類の集団構造と外圧の違いによる特殊性 [11]
雌雄の役割分化11~哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い [12]
雌雄の役割分化12~サルの雌雄解脱共認 [1]


■オスの性闘争と序列統合

実現論第一部:前史 ホ.サル時代の雌雄分化
[13]より引用

また、「自分以外は全て敵」とする性闘争回路と自我回路が不可分に相乗収束しているのは、オスも同じである。従って、真猿集団の内部に発生するオス間の性闘争(更にはエサの取り合いetc.の私権闘争)は、集団を破壊する危険性を孕んでおり、何としても止揚されなければならない。しかし、「全て敵」である限り、共認は成立しない。この様な欲と欲がせめぎ合い、自我と自我がぶつかり合う性闘争・私権闘争は、力によってしか制圧されない。そこで真猿は、性闘争・私権闘争を制圧した力の序列を共認することによって(力の序列を秩序原理とすることによって)、性闘争・私権闘争を止揚し、共認の破壊=集団の崩壊を喰い止めている。事実、真猿集団のオスたちは、15匹居れば1番から末端の15番まで序列化されており、一方では挨拶などの序列規範を守りながら、同時に絶えず序列闘争を繰り返している。(私権闘争は力の序列共認に収束するというこの原理は、人類の私権時代にも顕在化する。私権時代三〇〇〇年間は、力の序列⇒身分制が秩序の根幹となり、体制の主軸となっている。もちろん、社会主義国の指導者序列もサルの序列原理と同じである。)

真猿のオスたちは力の序列を共認することによって集団を統合しています。その事例として、ニホンザルとチンパンジーを紹介します。
参考:るいネット「闘争集団の成立 資料編」 [14]

<ニホンザル>
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1つの群れに複数の雄雌を含む複雄複雌型。雌は基本的に一生生まれた群で生活。雄は、4~5年で生まれた群を離れる。群れの数は10~70頭前後。
集団内雄間には優劣順位システムが存在し、順位の上の雄が多くの雌と交尾を行なう。また、雄間でもマウンティングやグルーミングによる親和行為が認められる。
集団間同士が接触すると、縄張り闘争が行なわれる。

<チンパンジー>
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複雄複雌型。メスは性成熟すると生まれた群れから別の群れに移籍。雄同士は、群れ内では血縁同士であり、結びつきが強いが、その反面、所属以外の雄同士は排斥しあう。
集団内の雄間には、明確な順位が存在し、順位毎の役割が存在する。

ニホンザルの写真はコチラ [15]
チンパンジーの写真はコチラ [16]
このように、一般的な真猿のオスは、性闘争を序列規範により抑制しながら、一方で序列闘争を行い、全体として同類闘争に向う集団を形成しています。

■高等なサルは純粋腕力だけで序列が決まらない!

るいネットボスの役割は闘争と集団統率(メスの期待に応えること) [17]より抜粋引用

<ニホンザル>
横暴ボスザル、3カ月でクビ 淡路島、いじめに若手反撃
兵庫県洲本市にある野生ザルの見学施設「淡路島モンキーセンター」で、8代目のボスザルに昇格したイッチャンがわずか3カ月でその座を追われた。弱い者いじめを繰り返す横暴ぶりに業を煮やした若いサルたちが集団で反撃したのだ。

[18] [19] [20]