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雌雄の役割分化10~哺乳類の集団構造と外圧の違いによる特殊性

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さて、前回の記事 [1]では、哺乳類の集団の特徴について調べてみました。一口に哺乳類といっても多種多様な動物が存在し、集団形態の特徴も様々です
しかし、その中に哺乳類共通の特徴、また外圧の違いによる特殊性を見出すことができるのではないか、と考えます。
今回は、前回記事を元に哺乳類の集団形態の分析に入ります

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■哺乳類の集団構造の特徴
前回の投稿を踏まえると、哺乳類の集団構造の共通性が見えてきます。
・縄張り侵入をはじめ雄は皆、性闘争を強化している。(∵哺乳類の特徴)
・婚姻様式はボス集中婚が多い。
・集団形態は、基本的には母系集団(メスとこども)を形成し、雄は成熟すると集団を離れ単独生活を始める種がほとんど。
・草食・肉食に関らず、内雌外雄という集団形態を概ね取っている。※トラ(ネコ科)や鯨(クジラ科)は単独形態(群れていない)のように見えがちだが、雄の大きな縄張り内に雌の縄張りが包括される事からもこれも一つの内雌外雄という集団形態と言える。
・性差においては、体格が大きく異なる。雄は雌より大きいのが一般。中には2倍以上の体格差もある。

なぜ、このような特徴が見られるのか
それは、哺乳類特有の「胎内保育機能」とそれに伴う「雄の性闘争本能の強化」にあります。
詳しくは下記のリンク先を参照して下さい。
【図解】哺乳類の集団構造 [5]

■外圧の違いによる集団形態の違い
1.複雄複雌型:カンガルー、狼
カンガルー(有袋類)は、現生哺乳類の主流である有胎盤類と異なり、進化上未発達な特徴を持つ(胎盤をもたない、体温調節機能が低い)。また、かつてのオーストラリアはフクロオオカミのような大型肉食有袋類が生息しており、厳しい環境に適応するために集団化していったと考えられます。
狼(イヌ科)は、元々樹上生活営んでいたが、寒冷化による森林の減少に伴い、環境の厳しい草原適応→集団化したと考えられます(森に留まったのがネコ科)。

2.単雄複雌型:ネズミ、ウマ、ライオン
外敵から身を守るために、縄張りを守る雄(ボス)と数匹の雌とこどもで集団を形成する(ボス集中婚)。成熟した雄は縄張りを離れ、単独又は若雄同士で集団を形成し、時期をみて縄張りを持つ雄に闘いを挑む。
※ライオンは、元々森を生息域としていたが、外圧の厳しい草原に適応し、集団化したと考えられる。

3.母系集団+雄別居型:ゾウ、コウモリ、マッコウクジラ、シカ
雄は外敵闘争において敵なし。雌及びこどもは天敵から身を守るために、母系集団を形成して縄張りを確保する。雄の手を借りるまでは必要なく、平常時の雄は単独生活又は若雄同士で別居生活を営む。繁殖期は、雄は母系集団に加わり、発情した雌との交尾を巡り、雄同士で性闘争を行う。

4.雄雌単独生活型:ネコ科(ライオン除く)、モグラ
ネコ科のヒョウやトラは外敵闘争において敵なし。モグラは地中に潜れば安全。
そのため、基本的には集団で外敵から身を守る必要がなく、雄・雌とも単独生活を営むことが可能。雄の縄張りに雌の縄張りが包摂され、繁殖期のみ出会う。

■まとめ
哺乳類特有の「胎内保育機能」とそれに伴う「雄の性闘争本能の強化」により、以下の特徴が見られます。
雄は性闘争を強化し、成熟すると弱雄は集団から離れる傾向にある
残された雌と子供で母系集団を形成し、ボス集中婚を作り出す
・胎内保育と産後保護の必要性から、内雌外雄の集団形態をとる
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また、外圧の違いによる集団形態の違いも見られ、
外敵闘争(若しくは自然環境)が厳しい場合は雄雌で集団を形成し、外敵闘争に対して優位であれば、群れを形成せずに単独生活を営む傾向にあります。

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