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雌雄の役割分化8~雌雄分化の中間まとめ

Posted By nodayuji On 2010年12月9日 @ 10:01 PM In ③雌雄の役割分化 | No Comments

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これまで、7回にわたって雌雄の役割分化の歴史を勉強してきました。そこで明らかになったのは、そもそも生物がオス・メスに分化したのは、進化を促進するためだったということでした。

実現論第一部:前史ロ「雌雄の役割分化」より抜粋 [1]

進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。その突破口を開いたのが組み換え系や修復系の酵素(蛋白質)群であり、それを基礎としてより大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。

□雌雄の役割分化1 ~雌雄分化って何?~プロローグ [2]

では、この困難な課題である安定と変異をどのように両立して来たのか、振り返ってまとめます。

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■単細胞生物の接合

生物の雌雄分化の原初的現象は、単細胞生物の「接合」に見ることができます。
原核生物における細胞同士の部分的な融合と「遺伝子の受け渡し」、真核生物における「細胞同士の合体→遺伝子の組み換え→減数分裂」ですが、こうした接合は多くの場合、外部環境の変化=逆境を契機として行われます。

つまり、外圧変化に適応するために、細胞同士で遺伝子を組み替えて「変異」を生み出すメカニズムです。同一の自己を複製するのではなく多様な同類他者を生み出すことによって環境への適応可能性を高める戦略が雌雄分化の起点にあります。

同時に重要なのは、変異するだけでは適応できないので、安定的な細胞分裂システム(有糸分裂)、一つの細胞が染色体を2対持つ2n体などの「安定機構」を備えていったことです。安定的に変異を組み込むことor安定と変異の両立が生物にとって大きな課題であったのだろうと推察されます。

もうひとつの注目点は、単細胞生物には類型の異なる「型」がはっきり存在し、それを互いに認識しながら接合が行われている点です。この「接合型」が精子と卵子の分化、進化へとつながっていった可能性が高いと考えられます。

□雌雄の役割分化 2 ~単細胞生物の「接合」~ [6]

■殖産分化

約10億年前、生物は単細胞生物から多細胞生物へ進化します。この進化過程の最大のポイントは「殖産分化」です。

単細胞生物は、その細胞一つで生殖も生産も担っています。そのため細胞の負担が大きく高度な機能進化は困難です。

※ゾーリムシは、単細胞の中で小核(生殖)と大核(生産)を分化した生物。単細胞としては非常に複雑な形に進化したが、多細胞化に向かわず一つの細胞で何とかしようとしたため、進化の袋小路に入ってしまった。

 一方で、多細胞生物は、生殖を担う生殖細胞と生産を担う体細胞を分化します。体細胞は生殖負担を無くすことで、筋肉、神経、消化器官などの各機能に特化・増殖していくことが可能となりました。また、「殖産分化」により、生殖細胞を生産過程=闘争過程にさらす必要がなくなり、生殖細胞を安定的に守ることも可能になりました。

この生殖と生産の専門分化がそれぞれの機能進化へと発展していく要因となったのです。殖産分化をもって、生物の安定機構は完成したと言っても過言ではありません。生物の進化ですごく重要なことだった事が分かります。

※ボルボックスは多細胞化するときに、まず体細胞と生殖細胞の2種類に分化しており、殖産分化が多細胞化の原点であることがわかります。カイメンでは生殖細胞と体細胞の互換性も残した原始的な段階ですが、体細胞の形や機能にも変化が出てきて、上皮細胞は自分を使い捨てにして生殖細胞を守る役割も持ちます。

更に、殖産分化(=生殖細胞と体細胞に分化)する中で、体細胞は不死性(テロメラーゼ)を捨てます。体細胞は不死性を捨てることで、さらに生産に特化し捕食などの仕事の機能を高め、有性生殖による変異を必然的に組み込み進化を促進しました。殖産分化が生き物の寿命=個体の死を生み出した原因であり、個体の死を許容した種の方がより適応的であり進化してきたのが実情なのです。

□雌雄の役割分化3 ~雌雄分化の第一段階=殖産分化~ [7]

■精卵分化

多細胞化=「殖産分化」とほぼ同時に、生殖細胞=配偶子は精子と卵子に分化しました。これが「精卵分化」です。もともと有性生殖が誕生した当初は、雌と雄の配偶子は同型同大であった、つまり同型配偶子接合を行っていたと考えられています。そして、徐々に雌の配偶子が雄の配偶子よりも大きくなった異型配偶子接合が出現し、卵生殖へと進化していきました。

同型配偶子接合の時代はお互い動きあっていた配偶子ですが、一方が動き、一方が静かに待つ方が出会う可能性が上がりエネルギー保持にも優れていることから、運動役割を担う精子と栄養役割を担う卵子という形に進化していったと考えられます。

精子は運動を担うとともに、卵子を目指す過程で数多くの精子が淘汰され、より強い精子の遺伝子が伝えられると言う形で、変異に対応する役割も担っています。さらに、哺乳類のオスの体細胞には抗原タンパク質(HY抗原)という物質があり、精嚢と精巣を結ぶ輸精管の途中には、抗原物質を精子に浴びせるシャワー機能があります。これは、体細胞で外圧変化をキャッチして、精子に伝達するシステムが存在している可能性を示しています。

精子は変異に対応する「変異配偶子」に、その一方で卵子は栄養の蓄積から発生を主要に担う「安定配偶子」に進化しました。

配偶子が精子と卵子に分かれたのは、運動と栄養の役割分担により、受精過程(出会い)と発生過程(栄養を必要とする)の両方に適応的な形態への分化だといえます。そして精卵分化の本質は、精子:変異配偶子と、卵子:安定配偶子への分化なのです。

□雌雄の役割分化4 ~雌雄分化の第二段階=精卵分化~ [8]

■躯体分化

生殖細胞の分化(精子と卵子)によって、安定と変異の分化が一段進みました。この段階では、生物は雌雄に躯体が分かれたわけではなく、一つの個体の中に精子と卵子を作る生殖器官が共存しています。

生物史を振り返ると、精卵分化から雌雄の躯体が固定的に分かれるようになるまで、幾つかの段階を踏んでいます。大きく見れば、 以下の方向に進化を遂げました。
・生物の生殖様式は、無性生殖から有性生殖へと進化
・オスメスを決定する仕組みは、雌雄同体型→性転換型・環境依存型→遺伝子決定型へと進化
・進化すればするほど、オスメスの差異を促進、固定化していく方向に進化

つまり、種の保存に係る生殖過程を有性生殖(=生殖細胞の合体→減数分裂システム)に限定させてきました。そうして、最も負担の大きい生殖過程を分離することによってはじめて、体細胞系列を高度に機能分化させていくことが可能になったとも言えます。

また、雌雄分化が進んでいけばいくほど、摂取機能の高度化が進み、その結果闘争圧力の上昇が生じました。これによって、更なる運動能力・防衛能力(体細胞系統)の高度化が要請され、同時に生殖器官の緻密さが求められます。このような外圧に適応するためには、オス・メスに躯体を分化していくことが適応的だったのです(特に脊椎動物以降に顕著)。この結果、雌雄躯体分化が進むにつれて、メスの生殖負担が増大すると共に、オスは闘争負担が増大する方向に進化していきました。

改めて、オス・メス分化史(殖産分化⇒精卵分化⇒雌雄躯体分化)を通してオス・メスの本質を整理してみると、
・オスとは、変異性の上に闘争能力(役割)が塗り重ねられた存在
・メスとは、安定性の上に生殖能力(役割)が塗り重ねられた存在
といえます。
生物は塗り重ね構造体であり、安定と変異を生み出すシステムを塗り重ねて進化を遂げました。

□雌雄の役割分化5 ~雌雄分化の第三段階=雌雄躯体分化~ [9]
□雌雄の役割分化6 ~雌雄分化の第三段階=躯体分化(特殊編)~ [10]
□雌雄の役割分化7~オスとメスが決まる仕組みとその進化 [11]

■まとめ

雄雌分化の歴史は、同類他者を生み出すために、安定と変異という軸上で、性の差別化を広げてきた歴史でした。雌雄分化の歴史を大きく分けると、以下の4段階に分かれます。

1.単細胞の接合:
真核生物の段階で安定と変異を両立しながら遺伝子を組み替える減数分裂のシステムを獲得。接合できる型が分かれ雌雄分化への歩みが始まる。この段階では単純分裂が中心で、遺伝子組み換えは環境が悪化した非常事態に限定されている。

2.殖産分化:
単細胞から多細胞に進化する段階で、細胞が生殖を担い安定性が求められる生殖細胞と、変異に対応し生産を担う体細胞に分化。体細胞は死ぬ事で、必ず変異した子孫を残すようになる。

3.精卵分化:
生殖に特化した生殖細胞は、安定が求められ栄養を蓄える卵子「安定配偶子」と、淘汰される事で変異をにない運動する精子「変異配偶子」に分化する。

4.躯体分化:
原始的な生物は雌雄同体が主流だが、安定が求められる卵子を生み出す体=メスと変異に対応する精子を作り出す体=雄に分化し、進化が進むほど雌雄の分化は固定化する。更にメスは安定性の上に生殖能力(役割)が塗り重ねられ生殖負担が大きくなるように、オスは変異性の上に闘争能力(役割)が塗り重ねられ闘争負担が大きくなるように、差別化を広げながら進化していく。

そして、こうした雌雄分化による生物進化の最先端にいるのが哺乳類であり、人類なのです。それでは次に、哺乳類の雌雄分化がどのように進み、サル人類へと進化してきたのかを見て行きます。


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[1] 実現論第一部:前史ロ「雌雄の役割分化」より抜粋: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=2#02

[2] □雌雄の役割分化1 ~雌雄分化って何?~プロローグ: http://www.biological-j.net/blog/2010/10/001023.html

[3] Image: http://blog.with2.net/link.php?548466

[4] Image: http://science.blogmura.com/in/073660.html

[5] Image: http://blogranking.fc2.com/in.php?id=92199

[6] □雌雄の役割分化 2 ~単細胞生物の「接合」~: http://www.biological-j.net/blog/2010/10/001024.html

[7] □雌雄の役割分化3 ~雌雄分化の第一段階=殖産分化~: http://www.biological-j.net/blog/2010/10/001028.html

[8] □雌雄の役割分化4 ~雌雄分化の第二段階=精卵分化~: http://www.seibutsushi.net/blog http://www.biological-j.net/blog/2010/11/001052.html

[9] □雌雄の役割分化5 ~雌雄分化の第三段階=雌雄躯体分化~: http://www.biological-j.net/blog/2010/11/001053.html

[10] □雌雄の役割分化6 ~雌雄分化の第三段階=躯体分化(特殊編)~: http://www.biological-j.net/blog/2010/11/001055.html

[11] □雌雄の役割分化7~オスとメスが決まる仕組みとその進化: http://www.biological-j.net/blog/2010/11/001059.html

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